旬の野菜は体にいい、という話を聞いたことがある。実際のところどうなのかはわからない。だけど実際問題、旬の野菜はおいしいし、食べると元気になる気がする。冬は白菜、春はそら豆、キャベツ。そして夏は、水分をたっぷり含んだきゅうりやナスがとびきりうまい。暑い夏、できるだけ加熱調理をしたくない。今回は、たっぷりの夏野菜を生で味わえる簡単レシピを紹介しよう。山形名物の「だし」である。
だしとは何か
「だし」は山形県村山地方の郷土料理のひとつ。細かく刻んだ夏野菜をしょうゆなどで味付けしたものだ。浅漬けよりももっと簡単に作れるもので、豆腐や白飯、そうめんなどにかけて食べる。古くから親しまれる郷土料理であり、発祥や名前の由来ははっきりしていない。
山形県村山地方は、周囲を山に囲まれた盆地。夏は40度を超えることもあるそうだ。うだるような暑さで食欲が落ちがちな中、旬の野菜をたっぷり使ってご飯を食べ、夏を乗り切るためのレシピと言えよう。
現在はテレビ番組で紹介されることも増え、他地方のスーパーで「だし」を見かけることも増えた。牛丼チェーン店のトッピングに使用されたこともあり、全国的に知名度は高まっている。
使用する野菜に決まりはなく、家庭ごとに微妙な違いがあるようだ。よく使用されているのは、きゅうり、ナス、みょうがや大葉など薬味だ。今回はこれらを使って「だし」を作ってみることにしよう。
ところで「だし」は、「がごめ昆布」もしくは「納豆昆布」という、ねばりのある昆布が使われている。しかし、この「がごめ昆布」が県外ではなかなか手に入れづらい。今回は、きざみ昆布ととろろ昆布で代用して作ってみることにしよう。
レシピ
材料(作りやすい分量)
ナス 一本
きゅうり 一本
大葉 5枚ほど
みょうが 1本
しょうが(チューブ) 2~3cmほど
きざみ昆布 4~5g
とろろ昆布 ひとつまみ
【合わせ調味料】
醤油 大さじ3
酢 小さじ1
砂糖 小さじ1
みりん 小さじ2
作り方
1 合わせ調味料を作っておく。
2 ナスときゅうりを細かく刻む。一度棒状に切ってから細かくするとがやりやすい。ナスは刻んだ後、水にさらしておく。
3 水を切ったナスに大さじ1の合わせ調味料をなじませ、5分置き、水気をしぼる。
4 大葉やミョウガを刻む。きざみ昆布も長さによっては切っておくと食べやすい。
5 刻んだ野菜に、薬味、きざみ昆布、とろろ昆布、しょうがを混ぜ、合わせ調味料を加えて全体をよく混ぜる。
実食
今回はがごめ昆布不使用だったのでねばりはないが、ナスとキュウリの瑞々しさと歯ごたえに昆布のうまみがからみ、豆腐やごはんがどんどん進む味だ。さしづめ、「生野菜のふりかけ」である。
使用する野菜は、好みによって変えていい。オクラを入れるとネバネバが加わってぴったりらしい。好みの野菜や薬味をどんどん入れて、ごはんや豆腐をもりもり食べよう。きっと夏バテも遠ざけられるはずだ。