本格的な夏がやってきた。今年はレジャーにも出にくく、エアコンの効いた室内で長時間過ごす人も少なくないだろう。熱中症予防は大事だけど、冷え切った部屋で長時間過ごすと体はガチガチ。そこに冷たい食べ物や飲み物で体の中も冷え冷え……。今回紹介するのは、食欲のない夏でもスルッと食べれる宮城の温麺メニュー「おくずかけ」。夏バテ防止のためにも、なるべく温かい食事を心がけよう。
おくずかけとは
おくずかけは「お葛かけ」とも書き、宮城県南部で広く食べられている温麺の食べ方だ。片栗粉などでとろみをつけた汁に温麺、野菜などの具を入れて煮込んだもので、味付けは醤油味であることが多い。春秋のお彼岸や、お盆の時期に食べられる精進料理でもあり、タンパク質として豆麩や油揚げが用いられる。
地域や家庭ごとに微妙に具や味付けが違うのはローカルレシピならでは。本来は精進料理なのだが、家庭によっては鶏肉を加えるところもあるようだ。
宮城県でおくずかけを作る際によく使用されているのは、県南部・白石市の名産品「白石温麺」。素麺より短く、太めの乾麺だ。地元ではポピュラーで、スーパーなどでもよく見かける。とはいえ、他地域ではなかなか入手できないだろう。その場合は普通の素麺で代用できる。茹でてから切っても良いし、茹でる前に半分に折っても構わない。
今回も、通常の素麺で代用したレシピを紹介する。具は好みでアレンジしてみよう。
レシピ
材料(一人分)
素麺(温麺) 60g
なす 1/2本
にんじん 1/8本
じゃがいも 小1個
豆麩 5g
干し椎茸 1g
だし汁 120ml
しょうゆ 小さじ1
みりん 小さじ1
片栗粉 小さじ1
作り方
- なす、にんじんは小さめで5mm程度の薄さのいちょう切りに切る。じゃがいもは小さめのさいの目切りにする。
- 干し椎茸を水で戻し、薄切りにする。戻し汁はとっておく。
- 鍋に干し椎茸の戻し汁、だし汁、野菜を入れ、野菜に火が通るまで煮る。豆麩を加えて全体を混ぜ合わせ、醤油、みりんで味をつける。
- 別の鍋で素麺を茹でる。
- 素麺が茹だったら食べやすい長さに切って、お椀に盛る。
- つゆの鍋に水溶き片栗粉をいれ、とろみをつける。火を消して、器に盛った麺にかける。
実食
とろみのついた汁をまとった麺がつるんと口に入ってきて、じんわりとおいしい。野菜もちいさく切られているので食べやすく胃に優しい。お年寄りも、子どもも親しみやすい優しい味わいだ。
夏バテの時、そして夏風邪を引いてしまった時。アレンジ自在でお腹にやさしい「おくずがけ」で胃の中から体を温めてみてはいかがだろうか。