暑い日差しと、じっとりとした湿気。夏バテがやってくるのもそう遠いことではないだろう。今年はレジャーでの外出やリフレッシュもしにくく、油断すると心も体もひきこもってしまいそう。美味しいご飯でスタミナをつけたくても、キッチンに立つのも暑くて面倒……。そんな方におすすめの簡単に作れるスタミナ麺「ひっぱりうどん」を紹介しよう。
ひっぱりうどんとは
ひっぱりうどんは、山形県内陸部の郷土料理。茹で上げたうどんを、納豆や鯖缶などでつくったつけたれに絡めて食べる食べ方だ。諸説あるが、うどんを釜や鍋からひっぱることから、もしくは納豆が糸をひっぱるから、ひっぱりうどんと呼ぶらしい。山形の冬は雪深く厳しい。現地の人々は冬を乗り越えるため、乾麺や缶詰を保存食として活用していたという。当時農家では自家製の納豆を作っていたこともあり、つけたれに納豆が用いられた。栄養価も高く、味もよいということでこの食べ方が定着したという。
当時のひっぱりうどんは納豆とネギ、だしやしょうゆに乾麺というシンプルな組み合わせ。1960年ごろから鯖缶が用いられるようになり、現在の食べ方が確立される。いつの時代も、簡単に食べれるおいしい食事は重宝されてきたのだろう。近年では、山形県の郷土料理としてテレビ番組に取り上げられることも増えた。山形県にはひっぱりうどん専用の乾麺も存在するし、飲食店で提供されることもある。
釜から熱々のうどんをひっぱるのは、夏だといささか暑い。今回は茹でた麺を流水で締めて、夏にぴったりの冷やしうどんスタイルで食することにしよう。
レシピ
材料(一人分)
うどん(乾麺) ひと束
卵黄 ひとつ分
鯖の水煮缶 ひと缶の半分
めんつゆ 大さじ1(3倍濃縮)
納豆 1パック
小ねぎ お好み
のり お好み
その他、大葉、キムチやキュウリの漬物、トマトなどお好みで(今回はミニトマトと大葉を使用)
作り方
- 麺をたっぷりのお湯で規定の時間通りに茹でる。
- 茹でている間につけだれを作る。納豆はよくかき混ぜる。
- 鯖は汁気をかるく切る。卵は卵黄だけを取り出す。好みのトッピングも含めて、すべてお椀に持ってしまう。
- 麺が茹で上がったら流水で締める。
- つけだれをよくかき混ぜ、麺を絡める。
実食
麺をつけだれに絡めて食べると、納豆と鯖の旨味が渾然一体となり口に入ってくる。ねばりとぬめりを伴ったうどんが勢いよく口に入ってきて、麺があっという間になくなってしまう。今回トッピングに選んだトマトも魚介の旨味にぴったりだ。大葉や小ねぎなど、薬味もよいアクセントになっている。
ひっぱりうどんはスルスル食べられて栄養満点なので、冬に風邪を引き食欲のないときにも向いている。きっと夏バテも解消できることだろう。トッピングも自由自在、季節ごとに旬の野菜を使って楽しむことにしよう。