「ロフコト流 三河屋」で扱う食品とそのまわりの雑貨を、お酒と調味料の「さしすせそ」ごとにご紹介します。酒は三河屋の看板商品。「ロフコト流 三河屋」では、飲んで飾って楽しくなるカップ酒をご用意しました。
※一部お取り扱いのない商品もございます。
色の数だけ工程を重ねたプリントに注目。
「お酒が好きで、飲み終わったあともかわいい容器として残る。それがすごくうれしいんです」と言うのは、カップ酒愛好家の浅沼シオリさん。これまでに集めたカップ酒は300種近く。その魅力をSNSや小冊子で発信している。
普段は文具や雑貨を扱う会社に勤め、企画デザインをしている浅沼さんは、カップ酒でも特にデザインや印刷に注目。「ガラス瓶に直接プリントする場合、版画のように色ごとの版が必要になり、色の分だけ印刷を重ねます。それを考えてデザインして、お酒を詰めるまでの手間を考えると、ありがたいなあと思ってしまうのです」。
たくさんの色が使われたものも賑やかで楽しいけれど、たった2色でポップな世界観を表現することもできる。なかには発売した50年以上前から変わらないデザインのものもあり、今も続く普遍的なかわいさに感慨深くなるという。
飲み終わったカップ酒の容器は、ペンスタンドや歯ぶらしスタンドにしたり、食卓に彩りが欲しいときは、ポップな柄を選んでコップとして使うのもいい。分量は1合分、180ml入りなので、家だけではなくキャンプに持って行って計量カップとしても活用できる。
「カップ酒は„おじさんが飲むもの"というイメージをもつ人も多いですが、雑貨として捉えると、印象が変わると思います」。お気に入りのデザインが見つかったら、手に取って、眺めてみよう。
浅沼シオリ(あさぬま・しおり)
カップ酒愛好家。お酒が好き、手元に残るかわいいものも好き。どちらも満たすカップ酒の魅力を、SNSやZINE(小冊子)『かわいいワンカップ手帖1〜5』を通して紹介。夢はカップの印刷工場見学に行くこと。
浅沼シオリさんに楽しみかたのポイントを教えてもらいました|カップ酒魅惑の世界
01浅沼ポイント
プリントと色数
印刷には色ごとに版が必要。7色使用した『高砂酒造』の「ずZOOっと旭山セット」は手間がかかっている分、楽しげな仕上がりですが、『石越醸造』の「澤乃泉 上撰 いづぬまはくちょう カップ」のように2色だからこそ出せる魅力も。
純米酒 ずZOOっと旭山セット
左の瓶に描かれた男の子と女の子は、こちらからだと後ろ姿しか見えないが、反対側からは顔が見えるというような印刷する順番を工夫したデザインに注目。各カップのテーマはツンドラ、北海道、サバンナ。くるくる回して眺めてください。
澤乃泉 上撰 いづぬまはくちょうカップ
白鳥が水面から飛び立つ様子が、シンプルな絵と少ない色数で表現されていることにすごさを感じます。SNSに投稿した際、蔵元から「半世紀前から同じデザイン」というコメントが。白鳥の表情にも注目です。
02浅沼ポイント
瓶の形状
大きく分けるとまっすぐなものと、『近藤酒蔵』の「酔星フラワーカップ」のように下がすぼまっているものの2種類。同じまっすぐなものでも少し背が低かったりと、違いがあるので並べて見比べてみてください。
純米きたやつカップ
カップ手前には月が、背面には八ヶ岳の稜線と星空、ポッカリと開いた湖が描かれ、両方が合わさると「湖面に落ちた月」となり、まるで月を飲むかのようにお酒を楽しめるロマンチックな仕掛けになっています。月がきれいな夜にいただきたいですね。
03浅沼ポイント
イラストのモチーフ
「どうして錦鯉が描かれているんだろう?」と思って調べてみると、『新潟銘醸』がある新潟県小千谷市では毎年錦鯉の品評会が開催されているそう。モチーフに描かれた地域性にも注目です。
長者盛 長者カップ
2匹の錦鯉が波紋を立ててお酒の中を泳ぎ回っています。錦鯉の模様がそれぞれ違っていて、うろこまでしっかりデザインされているので、鯉好きの人が描いたのかなと想像させられます。全国日本酒カップコンクールでデザイン賞を受賞。
御代櫻 純米カップ
パンダを愛でながら飲むカップ酒。数頭のパンダが描かれているのですが、どの子も絶妙なかわいらしさ。上野動物園に初めてパンダが来た1972年から変わらないパンダ柄だそうです。家で餃子を食べるときこのカップでお酒を飲むと、中国を感じられて楽しい気分になります。
錦郷カップ 浦島太郎 清酒
昔話をプリントしている容器のカップ酒がいくつかあって、私はそれらを「飲む絵本」と呼んでいます。浦島太郎の髪の生え際や襟もとなど、薄い青に見えるのは白と青の2版が重なっているところ。こういう印刷の工程が見えるポイントにグッときます。
酔星フラワーカップ
そのままワッペンになりそうなチューリップの絵柄を眺めていると、おとなが飲むお酒にどうしてこのデザインを選んだか不思議になります。瓶の形やすぼまった部分の丸い突起とあいまって「かわいい」が詰まった世界観が演出されています。
雪男
雪と雪男を連想させるスモーク加工が瓶全体にされていて、ほかにはないマットな質感になっている点が目を惹きます。その上から、雪男を白でプリントしていて、手間とこだわりを感じます。回すとスキー、スノボをかついでいる雪男も現れます。
日本が生んだ酒文化 気軽に飲める「ワンカップ」
日本酒のイメージを変えたイノベーター。
清酒製造メーカー『大関』の「上撰 金冠ワンカップ®」、通称「ワンカップ大関」が発売されて今年で60年。東京オリンピックが開催された1964年、いつでもどこでも気軽に、コップでかっこよく日本酒が飲めることを若者に向けてアピールすると、日本酒のイメージを覆す画期的な商品としてヒット。現在まで続くロングセラー商品に。
マテウシュ・ウルバノヴィチさん作
日本のランドスケープでめぐる裏ラベルのヒミツ。
ワンカップ大関のラベル裏には日本の風景や祭りの写真があり、「見て楽しむ酒」としても親しまれてきた。2023年からはポーランド出身のマテウシュ・ウルバノヴィチさんのイラストを採用。季節の彩りをテーマに、「Landscapes of the Story(物語のある風景)」として展開。マテウシュさんが心惹かれ描いたのは「日本に以前からあって、今もまだよく見かける少し古い物や場所と、それを大事に、ていねいに扱う雰囲気がある風景」。酒の向こうで揺らめく、物語が続いていくような世界を感じたい。
マテウシュ・ウルバノヴィチ
ポーランド出身のクリエイター。『神戸芸術工科大学』卒業後、新海誠監督が所属するアニメーションスタジオ『コミックス・ウェーブ・フィルム』へ入社。『君の名は。』など多くの背景美術を担当。独立後『東京店構え』『東京夜行』などの作品集を刊行。
「大関╳まちかど画廊」コラボグッズも販売!
左/ワンカップ キャップ(ホワイト)2,500円
ワンカップ大関のデザインを刺繍したキャップ(左)。ワンカップ大関やペットボトルが入るホルダーがついたトートバッグ(右)には、缶詰やソーセージなどが収納できる内ポケットがあり、ランチバッグとしても活用できる。
ぐい呑み・おちょこ・盃でいつもの晩酌を「特別」に
お酒やシーンに合わせた酒器を使えば、一口ごとにじっくり味わい、記憶に刻まれる晩酌に。
研ぎ澄まされた飲み口の薄さが、極上の口当たり。
「ろくろ挽」と呼ばれる木製の器制作の技法に長けた石川県加賀市で生産される山中漆器の技術でつくられた器を、近代漆器の技法で色鮮やかに塗装。栃の木をろくろでひいて加工したおちょこは軽く、口当たりがいい。
瀬戸の陶磁器╳手漉き和紙のコラボ。
愛知県瀬戸市にある『セラミック・ジャパン』と、富山県富山市の手漉き和紙工房『桂樹舎』がコラボレーションした酒器。和紙のスリーブが付いたことで、華やかさだけでなく使い心地もアップ。
お酒を注ぐと現れる、万華鏡のような輝きに酔いしれる。
V字型の刃でカットする江戸切子や薩摩切子に対し、天満切子はU字型の刃を使用。凹型のレンズのように削られた面を磨いて艶を出すことでやわらかな表情に。酒を注ぐと万華鏡のような輝きが現れる。
開運の願いを込めたおちょこで、運気をアップ。
石川県能美市にある九谷焼の『青郊窯』の縁起ちょこシリーズ。縁起のいい日本古来の文様や絵柄がデザインされている。「風神雷神」は開運、「千鳥」は家内安全などの願いが込められている。全37種。
利き酒をやってみる
酒造や品評会で用いられる「利き猪口」の底に、藍色の二重丸「蛇の目模様」が描かれているのは酒の色を確かめるため。まずは白い部分で色を、白と藍の境目で透明度を判断。青みがかっていれば若く、黄色が強いと熟成が進行。次にとろみや透明度もチェック。とろみが多いと糖分が高く、透明度が高いとクリアな味わいと言われている。口に含んだら、鼻にぬける香り、口内に広がる香りを感じながら利き酒をして、お酒の違いを楽しんでみよう。
本利き猪口 蛇の目5勺
岐阜県多治見市でつくられた美濃焼の本利き猪口。飲み口が薄くシュッとしているため、酒の味をシャープに感じられる。
島仕込 利き酒セット
香川県の離島・小豆島で唯一の酒造がつくる4本のお酒がセット。花のような香りの純米吟醸酒、梨のような味わいの吟醸酒、ハチミツのような甘味の純米酒、口あたりが軽やかな本醸造酒と、それぞれが特徴的なため違いがしっかり感じられる。
\ただ飲むだけじゃない/ 酒の楽しみ
酒を取り巻くカルチャーは新旧いろいろ、選り取り見取り。懐かしくて新しい日本酒の世界へ。
ミニ鏡開きセット 櫻守(枡2個付)
叩いて楽しむ
酒樽のふたを叩いて開ける「鏡開き」が気軽にできるセット。マグネットで装着された鏡板の真ん中を叩くと勢いよく板が跳ねて迫力満点。表のデザインは寿の中に「HAPPY」の文字が隠れている。
妖怪利酒コースター
コースターと楽しむ
アクリル樹脂に「利き猪口」の青いラインと妖怪が描かれたコースター。ガラスの酒器をのせれば、酒をとおしてラインと妖怪がゆらめき、心地よく酔いしれそう。妖怪は全6種類。
帆前掛ロング浮世絵「写楽 江戸兵衛」
三河屋気分で楽しむ
分厚い生地なのに使うほどにやわらかくなって身体にフィットするのは、日本で唯一の前掛け専門店のこだわり。東洲斎写楽の「三代目大谷鬼次の奴江戸兵衛」を大胆にプリント。
御酒印帳®
※御酒印帳は柿本商事の商標登録です。
集めてた楽しむ
神社仏閣を巡って御朱印を集めるように、全国の公認酒蔵を巡り、お酒のラベルを収集して貼り付けられるハードカバーのコレクションノート。味わいや酒蔵の感想などを自由に書き込める。全7色。
日常酒プラン
サブスクで楽しむ
全国80以上の酒蔵のお酒の中からパウチスタイルで3種類、毎月1回ポストに届くサービス。地元で飲まれる本醸造酒、純米酒、普通酒からセレクトされるので、日本酒との新たな出合いに期待できる。
オトモシマス
アウトドアで楽しむ
枡製造専門店からアウトドア仕様の枡が登場。耐久性の高いガイロープがコンパクトサイズの枡に付いているので、リュックに装着して持ち運び可能。自然の中で飲む枡酒は格別。
47利きかりんとう
かりんとうで楽しむ
47都道府県ごとの代表酒蔵の酒粕を使ったかりんとうが誕生。ノンアルコールながら、香りや味わいの違いは日本酒さながら。酒粕のフレッシュな風味を味わいながら「利きかりんとう」を体験しよう。
本とマンガ
読んで楽しむ
酒米や酒造り、歴史や現在の輸出量などをイラストとともに解説している書籍『日本酒はおいしい!―イラストで読む日本酒のすべて―』。『酒と恋には酔って然るべき』は、家で日々飲むお酒はカップ酒という働く女性が主人公のマンガ。仕事に恋に奔走しながら、全国の銘酒やカップ酒をおいしそうにいただく姿に共感する人続出。