「お米が粉になるなんて、すごい!」そんな子どもたちの声が、三重県御浜町で響き渡りました。農林水産省の事業として実施されたのは、なんとメタバースを活用した最新のデジタル食育。VRゴーグルをつけた瞬間、ショッピングセンターが広大な田んぼへと変貌します。遊びが学びに変わり、さらには「実食」へと繋がる……。わずか1ヶ月で人口規模の8000人を集客した、驚異のプロジェクトの全貌に迫ります。
「遊び」が「学び」に。VRで可視化された米粉のブラックボックス
私たちの食卓に並ぶ「米粉」。しかし、お米がどうやって粉になり、製品になるのか。現代の子どもたち、そして大人にとっても、そのプロセスは意外と知られていません。
そこで、一般社団法人ここテラスが仕掛けたのが、VR空間「バーチャル尾呂志(おろし)」。参加者はVRChat上のワールドで、田植えから稲刈り、さらには製粉機での加工、米粉パン作りまでを「自分事」として体験します。ゲーム感覚で熱中するうちに、複雑なサプライチェーンを自然と理解してしまう。これこそが、ゲーミフィケーションを駆使した次世代の教育モデルです。

「さっき作ったお米」を食べる。没入体験が味覚をブースト
驚くべきは、VR体験直後の「実食」で起きた変化です。地元産の米粉クッキーを提供したところ、子どもたちの喫食意欲が爆発的に向上。
「さっき自分で作ったお米のお菓子だ!」というストーリーが共有されることで、単に「美味しい」だけでなく「米粉だからサクサクしている」といった原料への関心まで芽生えました。デジタルの疑似体験がリアルの味覚を研ぎ澄ませる。この転換プロセスこそが、農水省も注目する本プロジェクトの核心です。

地方創生の切り札!「デジタルツイン」で関係人口を創出
さらに、このプロジェクトは地域振興の面でも計り知れない可能性を秘めています。「バーチャル尾呂志」は、実在する御浜町尾呂志地区の風景を精巧に再現。体験した保護者からは「御浜町にこんなに美しい場所があるなんて」と驚きの声が上がり、観光や移住への関心層を掘り起こすことにも成功しました。
デジタル上の「町の分身」を通じて、世界中から御浜町のファンを創る。米粉の普及から始まったこの挑戦は、今、日本の地方が抱える人口減少問題への鮮やかな回答になろうとしています。


















