「新型コロナウイルス」の感染拡大防止のために、二拠点の移動を控えていたが、11月なかばに4か月ぶりに幡豆に戻った。
秋になると感染者がわずかに減って空気が和らぎ、「Go To トラベル」の後押しで人々の往来にも少し慣れた空気感が漂っていた。それに冬になれば再び感染者が増えて、ますます行き来しにくくなる可能性がある。「今を逃したら春まで娘と夫が会えなくなるかも」と、思い切って踏み切った。
たくさんある娘の「お気に入り」を、どれだけ運ぶか。
前回幡豆にいた時、娘はまだ1歳。わがままを言いつつも、家族が与えるものごとをそれなりに受け入れていたが、2歳になると自己主張が強くなって頑なに譲らないことが多くなった。おもちゃ、絵本、CD、飲食物。娘の「これが欲しい!」はコロコロ変わるので無数あり、予測するすべてを幡豆に運送するとなれば、平均荷物量の2倍以上の量になる。だからといって、幡豆で同じものを買うのもお金がかかる。
どうしよう……と考えた結果、お気に入りトップ5のもの。それも、手荷物で無理なく持てる比較的小さなものだけに絞ることにした。娘のこだわりっぷりを知る私の母は、「これもあれも必要」と説得してきたが、今回はこの量でチャレンジ。
小豆島での「お気に入り」が、 幡豆では必要なくなる。
結果………。なんと、幡豆では持って行った「お気に入りトップ5」にまったく興味を示さない! 私が誘っても無視し、幡豆の家に置いてあるおもちゃで遊ぶ。小豆島に置いてきたものも求めない。さらに、小豆島では本人のこだわりにより、日常の9割以上の飲み物が「豆乳と牛乳を合わせて温めたもの」だが、なぜか幡豆では求めない。
では、幡豆から小豆島に渡った時はどうかというと、小豆島の家に帰った途端、「豆乳と牛乳! ももたろうの歌!」と、幡豆では一切出てこなかった要望をする。そして、やっぱり幡豆で好んでいたものを小豆島では求めない。
なぜだ……。家にある物や人、時間の流れによって連想する「欲しい」が変わるものだろうか……? 確かに、私も小豆島にいる時は、娘が寝た後に「ジンジャーソイミルクティー」を飲むのが習慣だけれど、幡豆にいる時は、ほうじ茶好きの夫と毎晩ほうじ茶を啜っていた。
あくまで勝手な推測だが、娘は単に理不尽にわがままを貫き通しているのではなく、この家、このみんなと過ごす、この一瞬が最高になるよう常に追求し続けているのかもしれない。そして、親側から子どもを取り巻く環境を変えれば、本人の求めるものも変化し、いろんな可能性が見えてくるかもしれない。
ある日の夫婦
夫婦共々、「corezo(コレゾ)賞」を受賞。『一般財団法人コレゾ財団』が「コレゾ」と思ったホンモノのつくり手・担い手を結び、子どもたちの世代に繋ぐ賞で、私たちは、「コレゾ『自然農×米×大豆×糀×味噌×醤油ソムリエール=新しい化学変化を生み出す夫婦発酵旅』賞」という長い名前の賞をいただいた。これからも、新しい“化学変化”を生み出す夫婦を目指し、楽しみながら頑張ります!