夜になると1万人がいなくなる村!?謎多き「飛島村」の全容を探る

夜になると1万人がいなくなる村!?謎多き「飛島村」の全容を探る

愛知県の西南部にある「飛島村(とびしまむら)」。この村では、総人口に比較して昼間の人口が約3倍に膨れ上がるといいます。さらには、なぜか村内には坂がない!?村民へのサービスの手厚さがすごすぎる!?と謎の多い村。その裏に隠された歴史や、ユニークな魅力を探ります。

昼と夜で人口が大きく変わる、その理由とは?


飛島村の総人口は約4,800人であるのに対し、昼間の人口は14,000人以上にも上ります。昼夜人口に1万人近くもの差がある理由とは一体…?

ヒントは、飛島村の産業にあります。

村と聞くと山間部をイメージするかもしれませんが、実は飛島村があるのは名古屋市のお隣。間近に都市部が広がる好立地なのです。


コンテナ風景


飛島村の南部は、名古屋港に面する臨海工業地帯。輸送関連会社・倉庫会社・木材関連事業所・鉄鋼関連事業所・火力発電所などが密集する、物流の拠点となっています。

そのため、平日の日中はこのエリアに通勤して来る人たちがたくさんいるというわけですね。

さらに、転機となったのが「名港トリトン」の開通。名港トリトンとは、伊勢湾岸自動車道の東海ICから飛島ICの間を結ぶ3つの橋梁です。この橋のおかげで、ヒト・モノの流れがスムーズに。令和3年5月1日には名古屋第二環状自動車道の名古屋西JCT~飛島JCTが開通し、より便利になりました。


迫力ある絶景スポット「名港トリトン」


名港トリトン


名港トリトンは絶景スポットとして人気。「トリトン」とは、ギリシャ神話の海神・ポセイドンの息子の名前に由来する愛称です。3つの橋は、西側が赤、中央が白、東側が青というトリコロールカラーで塗装されています。3つのうち、飛島村と金城ふ頭(名古屋市港区)をつなぐのは、西側の赤い橋(名港西大橋)です。


古地図にない村。ゆえに坂道もない!?


不思議なことに、飛島村ではほとんど坂道を見かけません。これには、村がつくられた歴史が関係しているといいます。

飛島村はもともと、海だった場所。そのため、古い地図には載っていません。元禄6年(1693年)から開拓が進み、海側までの開拓が完了したのは明治12年(1879年)。農業用の土地として干拓されたため、村全体が平坦な土地となっているのです。

新田開発の立役者となったのは、尾張藩主の命を受けた津金文左衛門(つがねぶんざえもん)という人物です。当時の尾張地方は、すでに水の便に恵まれた耕作地でした。これ以上耕作地を広げるには、海に目を向けるしかありませんでしたが、広大な飛島新田の開発には莫大な費用と時間が必要。それでも、津金文左衛門は困難を極めることを承知で実行に移したのです。

昭和の時代には戦火の被害や自然災害など、村にはさらなる困難が訪れました。昭和34年(1959年)には伊勢湾台風が来襲。直撃を受けた湾岸には、その後新たな臨海工業地帯が建設されました。

忘れてはならない復興の歴史があってこそ、現在の飛島村が成り立っているのですね。


財政力指数は日本一!手厚い住民サービス


飛島村のスゴイところとして度々話題にされるのが、住民サービスの充実っぷり。

・夫婦のどちらかが40歳以下、婚姻届提出から1年以内に夫婦で同一世帯として住民登録を行い、住民登録から6か月以上経過…という受給資格に当てはまれば、結婚祝金5万円が支給される。
・基準日に20年以上居住している住民に限り、満90歳で20万円、満95歳で50万円、満100歳で100万円の長寿奉祝金が贈呈される。
・0歳~18歳の医療費における一部負担金が全額助成される。つまり、子どもの医療費は無料

などなど…

他にも各世代に向けた暮らし支援や補助金制度が用意されています。なぜ、ここまで手厚いサービスを実現できているのでしょうか?

その理由は、財政力にあります。

自治体の財政力を示す財政力指数は2.21(令和2年度算定)と、なんと断トツの全国トップ。臨海工業地帯に数々の企業が事業所を置いていることから、潤沢な固定資産税を確保できているのです。こうした税金が、村民にしっかり還元されているというわけですね。

令和2年4月には新しい村長が就任したばかり。現在は新型コロナウイルス感染対策について、村独自の対策を講じているといいます。


臨海工業地帯と農村地帯、2つの魅力がある村


田園風景


村の南部には臨海工業地帯が広がっていますが、北部には農村地帯があるという二面性をもつ飛島村。絶景スポットとして「名港トリトン」を先に挙げましたが、美しい田園風景も見どころです。

水田が輝く春、緑の稲が揺れる夏、稲穂が実る秋…。四季折々の風情が漂う景色は、ゴッホの風景画のようだとも例えられます。

干拓から始まった、飛島村の歴史。かつての新田開発に想いを馳せながら、のどかな田園風景を眺めてみては?なんせ名古屋市のお隣。車なら、名港トリトンを渡ってドライブがてら気軽に行ける村です。
▼飛島村観光交流協会 公式サイト
https://tobishimamura.jp/

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