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移住・定住

結婚相手は14代目農家の息子だった!農家の嫁として南房総へ移住。その暮らしは?

鍋田ゆかり

鍋田ゆかり

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埼玉県三芳町から、千葉県南房総市にある三芳地区に嫁いだ稲葉優里葉(いなばゆりは)さん。結婚相手は、「百姓屋敷じろえむ」の15代目だった。2020年10月、結婚を機に移住し、農家レストランを引き継ぐべく新しいことに挑戦している稲葉さんに、農家の嫁としての暮らしについて話を聞いてみた。    
写真:稲葉優里葉さん、陽(あきら)さん

目次

田舎への移住・農家へ嫁ぐことへのハードルは?

環境の違う田舎へ移住するだけでも不安があると思うが、それだけでなく15代目農家の嫁になることへのハードルはなかったのだろうか。
百姓屋敷じろえむ

百姓屋敷じろえむ

立派な茅葺きの長屋門が残る、百姓屋敷じろえむ
稲葉さん「大学生のときから付き合っていたんですけど、4年生くらいにはもう行くだろうと思っていて。就職はしたんですけど、3年くらいしたら辞めて、こっちに来て継ごうと思っていました」

動物が好きで、畜産系の学校を選べば動物と触れあえると思い総合高校を選んだという稲葉さん。2年生のときに園芸を学んだのがきっかけで園芸の世界へ入り、東京農業大学へと進みました。

百姓屋敷じろえむの看板犬“むぎ”と看板ニワトリ“ぴーすけ”

百姓屋敷じろえむの看板犬“むぎ”と看板ニワトリ“ぴーすけ”

百姓屋敷じろえむの看板犬“むぎ”と看板ニワトリ“ぴーすけ” 提供:百姓屋敷じろえむ
稲葉さん「じろえむの農業は大規模な農業と違って、レストランで使う分だったり自分たちで食べる分だったりを育てていて、45年以上続けているお義父さんとお義母さんに聞きながらできるから、嫁ぐことへのハードルもそんなに高くなかったです」

にこにこ楽しそうに話す稲葉さんからは、農家へ嫁いだことへの苦労は全く感じられない。そんな彼女だが、レストランのお客さんに「すごいところに嫁いだね」と言われて初めて、「あぁ、私ってすごいところに嫁いだんだ」と実感したと言う。

15代目農家の嫁の一日とは……

稲葉夫妻は現在、百姓屋敷じろえむから車で10分ほどの場所に住んでいる。
平飼い有精卵のじろえむの卵

平飼い有精卵のじろえむの卵

平飼い有精卵のじろえむの卵 提供:百姓屋敷じろえむ
 5:15 起床 洗濯や朝食の準備など
 7:40 夫婦2人一緒に、百姓屋敷じろえむへ出勤
 8:00 ニワトリ小屋へ卵を取りに行く
 9:00 野菜の収穫や水やりなどの管理。レストランオープンの日は、レストランの仕事
12:00 昼食
13:00 午後は畑作業や山の管理の手伝い
16:00 ニワトリのエサ作りとエサやり、卵を取る

こんな感じで、冬は17時、夏は18時まで畑やレストランの仕事をこなしている。レストランは釜戸で炊いたご飯と、自家栽培の野菜を使った料理が売りだ。最近は1人で料理もできるようになり、ご飯も釜戸でちゃんと炊けるようになって、「全部楽しい」と稲葉さんは笑顔で語る。

釜戸でご飯を炊く

釜戸でご飯を炊く

水が吹きこぼれない火加減でご飯を炊く

循環する暮らしから学ぶこと

「環境については学んでいたけど、暮らしのなかにはなかった」と言う稲葉さん。ここでの暮らしは、ゴミ収集車に生ゴミを出すのではなく、ニワトリが食べて卵を産んでくれる。ニワトリの糞は畑の肥しになり、そこで野菜を育て、その野菜を食べ、野菜クズや生ゴミは再びニワトリのエサになる。目先のことだけでなく、先のことを見据えて木を切り、山の管理をする。
野菜を食べるニワトリたち

野菜を食べるニワトリたち

野菜を食べるニワトリたち 提供:百姓屋敷じろえむ
稲葉さん「周囲の人も、環境をすごく考えている人が多くて、私も考えるようになりました」

今まで意識していなかったという稲葉さんは、じろえむでの暮らしに触れてから柔軟剤の使用を止め、無添加のものを使うようになり、生ゴミを減らす努力をし、ゴミの分別も今まで以上にきちんとするようになった。海や山、自然に囲まれている田舎では、自分たちの暮らしと環境が都会以上につながっていて、より身近な問題として捉えやすいのかもしれない。

大学卒業後農業の会社に就職した稲葉さんは、大規模農業だったので毎日同じ作業をしていたという。そこに比べると百姓屋敷じろえむでは、小規模でも多様性があり、いろいろなことをやっているので気分転換ができて、会社のようにキチキチしていないのが性に合っているようだ。

レストランの食事を準備

レストランの食事を準備

和やかな雰囲気の台所で、お義母さんと一緒にレストランの食事を準備
稲葉さん「自分たちで作った食材をお客さんに食べてもらって、おいしいって言ってもらえることにやりがいを感じます」

動物好きな稲葉さんが、ニワトリの“ぴーすけ”と犬の“むぎ”と触れあいながら家族とともに野菜を作り、料理を提供している百姓屋敷じろえむ。15代目嫁の仕事っぷりを見に、レストランを訪れてみてはいかが?

百姓屋敷じろえむ15代目

百姓屋敷じろえむ15代目

百姓屋敷じろえむ:千葉県南房総市山名2011
         http://jiroemu.kikirara.jp/index.html
写真:百姓屋敷じろえむ、鍋田ゆかり
文:鍋田ゆかり
取材協力:百姓屋敷じろえむ

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