埼玉県三芳町から、千葉県南房総市にある三芳地区に嫁いだ稲葉優里葉(いなばゆりは)さん。結婚相手は、「百姓屋敷じろえむ」の15代目だった。2020年10月、結婚を機に移住し、農家レストランを引き継ぐべく新しいことに挑戦している稲葉さんに、農家の嫁としての暮らしについて話を聞いてみた。
写真:稲葉優里葉さん、陽(あきら)さん
田舎への移住・農家へ嫁ぐことへのハードルは?
動物が好きで、畜産系の学校を選べば動物と触れあえると思い総合高校を選んだという稲葉さん。2年生のときに園芸を学んだのがきっかけで園芸の世界へ入り、東京農業大学へと進みました。
にこにこ楽しそうに話す稲葉さんからは、農家へ嫁いだことへの苦労は全く感じられない。そんな彼女だが、レストランのお客さんに「すごいところに嫁いだね」と言われて初めて、「あぁ、私ってすごいところに嫁いだんだ」と実感したと言う。
15代目農家の嫁の一日とは……
7:40 夫婦2人一緒に、百姓屋敷じろえむへ出勤
8:00 ニワトリ小屋へ卵を取りに行く
9:00 野菜の収穫や水やりなどの管理。レストランオープンの日は、レストランの仕事
12:00 昼食
13:00 午後は畑作業や山の管理の手伝い
16:00 ニワトリのエサ作りとエサやり、卵を取る
こんな感じで、冬は17時、夏は18時まで畑やレストランの仕事をこなしている。レストランは釜戸で炊いたご飯と、自家栽培の野菜を使った料理が売りだ。最近は1人で料理もできるようになり、ご飯も釜戸でちゃんと炊けるようになって、「全部楽しい」と稲葉さんは笑顔で語る。
循環する暮らしから学ぶこと
今まで意識していなかったという稲葉さんは、じろえむでの暮らしに触れてから柔軟剤の使用を止め、無添加のものを使うようになり、生ゴミを減らす努力をし、ゴミの分別も今まで以上にきちんとするようになった。海や山、自然に囲まれている田舎では、自分たちの暮らしと環境が都会以上につながっていて、より身近な問題として捉えやすいのかもしれない。
大学卒業後農業の会社に就職した稲葉さんは、大規模農業だったので毎日同じ作業をしていたという。そこに比べると百姓屋敷じろえむでは、小規模でも多様性があり、いろいろなことをやっているので気分転換ができて、会社のようにキチキチしていないのが性に合っているようだ。
動物好きな稲葉さんが、ニワトリの“ぴーすけ”と犬の“むぎ”と触れあいながら家族とともに野菜を作り、料理を提供している百姓屋敷じろえむ。15代目嫁の仕事っぷりを見に、レストランを訪れてみてはいかが?
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