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保育園の中に惣菜屋?「そらのまちほいくえん」が町に生み出した3つの変化

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ひとつの建物に、保育園と惣菜屋がある。これまでに誰も思いつかなかったようなユニークな場所が、鹿児島県最大の繁華街・天文館の商店街にあります。その名も、『そらのまちほいくえん』。保育園と惣菜屋が一緒になると、街にどのような変化をもたらすのでしょうか。事務局の柳元さんにお話を伺いました。

目次

「そらのまちほいくえん」はどんな場所?

そらのまちほいくえんが誕生したのは2018年。建物は3階建てで、1階から3階まですべて保育園になっています。惣菜店が併設されているのは1階で、園児の保護者だけでなく、地域の方も利用できるのが特徴。

惣菜店の様子

「惣菜店を併設した目的のひとつに、保育園を知ってもらうことがあります。入園に興味をもってくださった方の中には、いきなり園の見学を申し込むのは少しハードルが高いと感じる方もいらっしゃるかもしれません。そこで、まずは惣菜店でスタッフの雰囲気や給食の味を知っていただくとよいのではないかと考えました。」

惣菜店を併設したのは、こんなねらいもあるそう。

「不定期ですが、惣菜店のメニューにその日の保育園の給食と同じメニューが並ぶことがあります。街のみなさんと園児が同じもの食べている、『同じ釜の飯を食う』状況を意図的に作っています。このような一体感が、居心地のよい街を作る上で意味があることだと思っています。」

また、3階には地域との交流をはかるためのコミュニティスペースも設けられています。地域の方との交流や専門家の先生を招いたセミナー、ワークショップなど、様々なイベントを開催しています。

そらのまちほいくえんが生み出した3つの変化

保育園と惣菜屋が一体になることによって、次のような変化が起こったそうです。

(1)商店街の地域活性化に繋がった

保育園が出来てから、商店街の雰囲気が明るくなったという声が上がっているそうです。

商店街を歩く園児

通園する園児の数は約50組。すると、必然的にその約50組の親子がまいにち商店街を行き交うことになります。以前はほとんど見られなかった、若い人の層も増えました。

さらに、商店街で空いていたテナントもだんだんと埋まってきて、街全体に活気をもたらしています。

(2)親が食事を用意する負担が減った

保育園に子どもを預けているということは、両親ともに仕事をしているということ。食生活を大切にしたいという思いはあっても、仕事と育児を両立しながら食事の用意をするのは大変です。

そこで活躍するのが、保育園に併設されている惣菜屋です。

惣菜店の弁当

「バタバタと仕事を終えて、子どものお迎えに行き、お腹を空かせた子どもを連れて買い物に向かう。家に帰って晩ご飯が出来上がる頃には子どもはもう眠くなっていて…そんな状況の中、お父さんとお母さんはまいにちがんばっています。そこで、保育園のお迎えのついでに晩ご飯のおかずが調達できると、忙しい毎日の中でちょっと一息つけるのでは、と考えました。」

お迎えと買い物が同時に行えれば、時間短縮に繋がり、生活にゆとりが生まれます。

(3)園独自の取り組みが子どもによい影響を与えた

そらのまちほいくえんでは、食育や清掃活動に力を入れています。その取り組みが、子どもの成長に貢献しています。保護者からはこんな声があがっているそうです。

食育活動

「毎月クリーンアップ(保育園周辺の清掃活動)をしているおかげか、保育園の行き帰りに商店街に落ちているゴミを自発的に拾うようになりました。」

「SDGs※が日常会話に浸透していて、ごはんを残さず食べるようになりました。」

SDGsとは?

これから挑戦したいこと

画期的なアイディアにより、商店街の活性化やコミュニティ強化に貢献しているそらのまちほいくえん。これから取り組んでいきたいことについて伺いました。

課外活動

「2021年1月設立の大崎町SDGs推進協議会に参画することになりました。それに伴い、SDGs教育パッケージの開発・提供、多世代型 SDGs 探究ラボ(仮称)の開講、鹿児島SDGs推進フォーラムの開催を行う予定です。

また、卒園児たちが通える小中学校を作りたいと思っていて、いま勉強をしているところです。そらのまちほいくえんで行っている『生きる力を育む場作り』を小中学校で行うことで、自分の人生を主体的に生きることのできる子どもたちが増えていくのではと考えています。

ほかにも出版事業を行っており、保育園の食育活動から生まれたレシピ本が、2020年度グッドデザイン金賞『経済産業大臣賞』、第14回キッズデザイン賞2020子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン、リテラシー部門優秀賞『経済産業大臣賞』をダブル受賞しました。今後も食育についてや、SDGsの本を発刊していきたいです。

さらに、保育園で使っている味噌やダシなど鹿児島の食材を使った商品の開発・販売も行っていく予定です。」

保育園の運営だけでなく、多様な取り組みに挑戦していくそらのまちほいくえん。今後、さらなる化学反応を起こして商店街を盛り上げていくでしょう。

「わたしたちの力は小さいですが、日々踏ん張っているみなさんの支えになりたいという想いでいろいろな活動を行なっています。今後も鹿児島の食のおいしさ、子どもと過ごす豊かな時間、持続可能な社会を実現させるための日々の活動などを広く発信していければと考えています。」

そらのまちほいくえん

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