【後編】仕事とプライベートが自然とリンク。やりがいも幸せもポジティブに追及する|株式会社 サイバーエージェント 専務執行役員 石田裕子さん

【後編】仕事とプライベートが自然とリンク。やりがいも幸せもポジティブに追及する|株式会社 サイバーエージェント 専務執行役員 石田裕子さん

2022.07.20

株式会社サイバーエージェントに新卒で入社し、約20年の勤続を誇る、専務執行役員石田裕子さんにお話を伺いました。 さまざまな挑戦を経験し、その過程で感じたことすべてが仕事とプライベートを区別しないという、ワークライフインテグレーションの考え方につながっているそうです。

前編はこちら:『妊娠、出産を経て変化した働き方。周りに悪影響を与えるような働き方はしない

-石田裕子さんの3つのルール–

RULE1.自分らしくあり続ける
RULE2.無理をしてまで100点は目指さない
RULE3.やりがいや幸せなどをポジティブな感情で追及する

〈Profile〉
石田裕子(いしだ・ゆうこ)さん
●株式会社 サイバーエージェント 専務執行役員
2004年新卒でサイバーエージェントに入社。広告事業部門で営業局長・営業統括に就任後、Amebaプロデューサーを経て、年及び2014年に社の100%子会社代表取締役社長に就任。2016年より執行役員、2020年より専務執行役員に就任。人事管轄において採用戦略本部長も兼任。

ひとつの会社でいろんな挑戦ができるのが強み

フェムテックtv:転職を考えたことはありますか?入社してからずっと同じ会社で働き続けているのは、業界的にも珍しいのかなと感じました。

石田さん:そうですよね。私にとっての働きやすいと思う定義が、その時々に合わせて自分の成長実感を得ながら、何か常に新しいことにチャレンジできる環境だったんだと思います。そう考えた時に、これまで新しい挑戦の連続だったということもありますし、もしかしたらキャリアチェンジしようと考える余裕もなかったというほうが正しいのかもしれないです(笑)。

転職のお話をいただいたこともありますが、そういう時ほど大きなチャレンジの機会をもらっていて、「今はとにかく頑張ろう!」という状況が何度もあったんです。新しい役割、新しい部署、新しい職種、新しい子会社経営など、今までに経験がないことを同じ会社の中で挑戦ができたので、ずっと働き続けているという感じです。何より会社が好きですしね。

フェムテックtv:会社の中で挑戦ができているというのは大きいですね。IT業界は転職するイメージが強かったので……。

石田さん:確かにIT業界は代謝が激しいかもしれないですけど、当社は離職率が約8%なんです。

フェムテックtv:そうなんですね。IT業界に限定せず、一般的に見ても低いような気がします。それだけ社内で挑戦させてもらえる環境があるってことなんでしょうか?

石田さん:これは当社の「社員の挑戦を応援する文化」があるからだと思います。事業領域から見ても、広告やメディア、ゲーム、スタートアップもあったりと、一社の中でいろいろな事業が存在していることで大きなキャリアチェンジもしやすい。転職しなくても、会社の中で部署を超えてたくさんのチャレンジができるから離職率が低いというのはあると思います。

フェムテックtv:会社の成長や組織作りの視点から考えると、今後はどんな取り組みが必要だと感じていますか?

石田さん:組織課題がない会社はないですし、私たちは今の成長度合いで決して満足しているわけでもないので、新しいことや会社の成長のために必要なことはどんどん取り入れていかなければいけないと思っています。

例えば、今は「パーパス経営」(経営戦略やブランディングとしてのキーワード。存在意義)とよく言われますが、世の中的に流行っているからパーパスを定義するということではありません。結論からいうと私たちも1年前にパーパスを制定しましたが、もともと社員も増え、いろんな価値観の人も増えていた中で「私たちが存在する意義は何だろう」と考えた時に、議論を何回も重ねた結果、いきついたのが今のパーパスでした。流行りに乗ったということではなく、その時々の実態に合わせて、必要なことを必要なタイミングで適正にやっていくことが重要で、私たちの今ある何かに取り組んでいく姿勢そのものです。

むしろ、「5年後にこの取り組みをしよう」「10年後までこのアイディアを温めておこう」という視点はあまりなくて、「会社の未来を創るための案や、大きな経営課題を解決する案があるんだったら今すぐ取り組もう」というやり方でやっているので、その都度課題を解消できている感覚があります。

フェムテックtv:それは、「何年か先にこうなっていたいからやるべきことは……」という考え方とはまた違いますか?

石田さん:もちろんそれもあります。中長期的に会社としてこうなっていたいというのはあるべきですし、もちろんあります。でも大事なことは、中長期的な経営戦略を見据えて時間をかけてアイディアや施策を温めることも必要な一方で、これだけ世の中が変化して、人の価値観も変化している中で、目の前にある組織課題から目を背けずに、変化に対して柔軟にリアルタイムに課題解決をしていくこと、早い段階からリスクの芽を摘むことを忘れてはいけないと思っています。

フェムテックtv:女性管理職を増やすという取り組みに関しても御社は早かったイメージがありますが、政府からの発表よりも前から動いていたということなんですね。

石田さん:そうですね。数字目標を掲げるのは大事ですけど、現時点で私たちは明確に管理職比率などの目標数字を打ち出しているわけではありません。ただの数字合わせではなく、本質的に女性の抜擢や機会提供ができるように土壌をきちんと整えることに目を向けているという感じです。

フェムテックtv:まさに福利厚生の話と同じですね。

石田さん:はい。女性社員の意欲や能力を引き出して、キャリアを切り開いていく人を増やしていくためには、男性上司の意識改革も必要ですし、女性社員の意思決定機会を増やしていくことも必要ですし、福利厚生をもっと拡張させていく必要もあるかもしれません。一方で働きやすさだけではなく、働きがい、エンゲージメントというか、会社へのロイヤリティも高めていく必要があるのではないかと。これはすべてが掛け算なんですね。

フェムテックtv:そこをきちんとしていたら自ずと数字目標もクリアしますよね。

石田さん:おっしゃる通りです。管理職比率だけ高めようと思えば、無理矢理にでも引き上げることはできますが、本質的な、地に足の着いた施策に着手しているという感じです。

フェムテックtv:石田さんが考えるウェルビーイングな社会とは、どんな社会ですか?

石田さん:「心身共に健康な状態を維持する」ことだけではない気がしています。人生100年時代と言われる中で、心も体も健康でいることはもちろん大事ですが、それだけではなく、自分の人生に対してやりがいや充実感、幸福感、達成感などを、仕事も仕事以外でも感じる人が増えていく社会のことかなと思っています。

専務執行役員就任した2020年全社総会

ひとりひとりの姿勢が社会全体に広がる

フェムテックtv:先ほどの今の課題に向き合うことと中長期的な取り組みの両方が必要という考え方と一緒だと感じました。

石田さん:そうですね。人によってやりがいや幸せを感じるポイントは違うと思うんです。それをひとりひとりがポジティブな感情で追求していくことが、ウェルビーイングな状態だと思っています。理想論かもしれませんが、ひとりひとりがそうだと社会全体がそうなっていくのかなと。

フェムテックtv:石田さんご自身のことを考えた時に、自分の人生を歩むうえで大切にしていることは何ですか?

石田さん:自分だけが成長していればいいとは思っていなくて、今属している会社をもっともっと成長させたいという気持ちが強いです。個人の目標と企業の目標がリンクしていて、会社の目標が自分事というか、当事者意識が持てている感覚です。

それは誰もが急に当事者意識を持てるわけではなくて、きっとこれまでに会社から様々なチャレンジの機会をもらえたり、その分失敗したり、それ相応の年月や経験だったりがあって、会社に恩があるからかもしれないですし、いろんな感情が重なって今に至っていると思うんです。でもそんな風に、多くの社員に会社の目標を自分の目標の一部として捉えてほしいなとは思います。

フェムテックtv:仕事とプライベート……と分けて考えるのではなく、融合しているんですね。

石田さん:そうだと思います。ワ-クライフバランスという考え方から、ワークライフインテグレーションという言葉も出てきていますが、個人的にはその考え方のほうが近いのかなと。

仕事とプライベートをバランスを保ちながら調整していくというよりは、それぞれを線引きしすぎずに一体化された状態が自然と確立されています。どちらも相乗的に作用し合っていけば、より人生が豊かになっていくのではないかと思っています。

フェムテックtv
株式会社ツインプラネットが運営するフェムテック情報共有サイト。《毎日をイキイキと、自分らしく過ごす》ため、《自分のカラダについての“知らなかった”をなくす》ことを目的に、女性の健康に関するコンテンツを公開しています。
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木川誠子(きがわ・せいこ)●ライフオーガナイザー1級、アロマ心理の資格を保持。出版社勤務を経て2009年に独立。編集者・ライターとしての経験を活かし、ライフスタイルを仕立てる(tailor)を意味するライフスタイラーとして、美容や食など様々な角度からライフスタイルの情報を発信。ライフスタイルは感性や感覚、体験などで構築されて、ひとりひとり異なるもの。自分自身で感じた感覚を大切に、独自の体感や実感を取り入れながら、雑誌やWEBメディア、カタログなどでの執筆活動をはじめ、メーカーブランディングなども行う。また、姉妹で、完全予約制のプライベートショップ「KIRA CLOSET」を主宰し、ワークショップや食事会を企画、開催。食事会でのメニューはお手軽でありながら、さり気ないおもてなし感が特徴で、レシピは定期的にメディア掲載中。