自治体からの依頼で関係人口創出のための講座など企画・運営を担当している『ソトコト』事業部の新人ディレクター3人が、謎の人物・キミネリからのミッションに奮闘しながら人と出会いローカルを知る少しドタバタの“関係人口”コメディストーリー。4回目の今回は東京都板橋区にある『いたばし総合ボランティアセンター』さんからのご依頼です。
キミネリ「イトウ君、またなにか行き詰まっているのかい?」
イトウ「わあ!毎回ビックリさせないでください。…でもちょうど良いところに!新しい事業の企画書を任されていて。次年度に向けて事業を発展させていきたいんですが、なんだかアイデアがマンネリ化している気がして。あれ?キミネリさんが現れた、ということは。また地域からの依頼ですか?」
キミネリ「そう。今回は大学生との新しい取り組みについての依頼だよ。いつもとはまた違った目線で学べることがあるんじゃないかな?」
イトウ「嬉しい依頼ですね。事務所にずっといてもいいアイデア思いつかないし…、早速いってきます!」
今回の依頼元は東京都板橋区にある『いたばし総合ボランティアセンター』。都営三田線板橋本町駅からすぐのところにあり、板橋区内のNPOやボランティア、地域団体の社会貢献活動を支援しています。
イトウ「よろしくお願いします!この建物は元々小学校の校舎だったんですね。なんだか懐かしいなぁ」
梅澤さん「はい。駅にも近く、多くの方が行き交う場所にセンターを構えています。けれど、区内にはさまざまな地域団体やボランティア活動があるもののまちでの認知度が低いのが悩みです。特に学生を中心とした若い層にはあまり情報が届いていないみたいで、来館者も少なくて」
イトウ「地域あるあるですね。区内には大学もありますよね?」
木村さん「そうなんです。まず知ってもらうことが大切なので、今月に行われるお祭りをきっかけに、レポーターとして情報を発信してくれる大学生のボランティアを募集しました。今日は応募してくれた3名の学生と打ち合わせなので、イトウさんにも入っていただけたら幸いです!」
イトウ「興味を持ってくれた大学生もいるんですね!今回を皮切りに、若い方々も地域に参加してくれるといいですね」
トントン(ノックの音)
???「失礼します!」
梅澤さんと木村さん、イトウが話していると、ちょうどやってきたのは今回レポーターのボランティアに参加する3名。区内にある東京家政大学に通う大学3年生です。
3名「本日はよろしくお願いいたします!」
イトウ「あら?!」
今回打ち合わせと聞いて、なんとリクルートスーツできてくれたそう。気合は十分ですが、活動に向けた打ち合わせのはずが、緊張も相まって面接のような雰囲気に。
梅澤さん「来てくれてありがとう。3人にはレポーターとして地域活動を盛り上げてくれることを期待しています」
イトウ「……皆さん緊張していますね。真面目な姿勢は大切ですが、かしこまりすぎると地域のみなさんも緊張されてしまうかもしれません。まずはみなさんがリラックスしていきましょう! 私も一緒に頑張りますね!」
若干イトウの元気が空回りしつつも、まずはレポーターとして活動するにあたって学生たちが大切だと思うことを書き出してみることに。
イトウ「どんなふうにお祭りの参加者に質問していこうかね」
中村さん「相手を否定しないことだと思います」
イトウ「(そのとおりだけど、まだ固いなぁ)よし! 物は試し。今日は早速インタビューの練習に出かけましょう! 梅澤さん、木村さん、このセンターのジャンパーってありますか?」
いたばし総合ボランティアセンターの黄色いジャンパーを急遽お借りして、少しカジュアルに変身してもらいます。
『KOKOの会』は日常会話や仕事で使用する日本語の学習機会を提供している国際支援団体です。以前からいたばし総合ボランティアセンターを会場に、区内に住む・働く外国の方々に向けて日本語や日本文化を教えています。
3人「こんにちは~…(恐る恐る)」
イトウ「よろしくお願いします! 今日は区内の大学生が、みなさんの活動について伺いたくて、お邪魔させていただきました」
庄司さん「この活動を始めたきっかけはなんですか?」
渡辺先生「夫の仕事で板橋区にきました。地域で何かできることを考えたときに、外国籍の方々が日本語を気軽に学べるような教室が運営できないかと思いました。かっちりした教室ではなく、ボランティアとしての関わり方が自分にはよいなと思って始めました」
大野さん「活動のやりがいはなんでしょうか?」
渡辺先生「生徒の皆さんはとても積極的で、講義の後に質問をしてくる方もいますし、生徒の中には頑張って資格を取った方もいます。そんなふうにこの教室を通してスキルアップしてくれると大変嬉しいです」
3人「はぁ、緊張しました!」
イトウ「頑張ったね! 限られた時間だったけど結構聞けたね」
梅澤さん「よかったです。私たちも知らなかった活動の背景が改めて聞けました。せっかくなので次は外に出てみましょうか?」
木村さん「センターのすぐ目の前が商店街なので、どこかインタビューできそうなお店に入らせてもらいましょう」
イトウ「よし!この調子で頑張ろう。オー!」
3人「…オー」
???「いらっしゃいませ」
???「あら! 可愛いお客さんたちね」
『ティールームコガ』を営む古賀日年(ひとし)さん、敦子さん夫婦。喫茶店が開いている時間にも関わらず、インタビューを受け入れてくれることに。
中村さん「東京家政大学3年の大野、中村、庄司といいます」
大野さん「今日は古賀さんにこのお店のことや、商店街やまちについて伺いに来ました。どうぞよろしくお願いします」
イトウ「(よしよし、いい調子!)」
日年さん「昭和55年から。だからもう40年以上だね」
大野さん「なぜ、こちらで喫茶店を始めようとされたんですか?」
日年さん「もともと親戚の家だった場所を譲ってもらったんだ。交通の便もいいし、住みやすいからいいところだよ。昔はすぐそこを路面電車が走ってたんだから」
以前は板橋区の板橋と志村をつなぐ「都電志村線」が走っていたそう。古賀さんに教えていただくまで、イトウも大学生も知りませんでした。まちや商店街の昔と今を聞いていきます。
中村さん「商店街の様子は以前と変わりましたか」
日年さん「昔は商店街だけですべてのものが揃ったけど、閉店した店も多いかな。今は役員も3名で回してるから大変よ」
その後も、古賀さんの娘さんと3人が偶然同じ大学ということもあり、学業の話など、インタビュー以外にも自然と会話も弾んでいきます。最後に長くお店を続ける秘訣を聞くと、日年さんは「ひたすら耐えることだな」と冗談めいて答えてくれました。
大学生たちも慣れてきたので、来店されていた常連客にも突撃でインタビューさせていただくことに。
大野さん「お祭り当日もまちの皆さんにたくさんインタビューしたいと思います!」
イトウ「私も勉強になりました。このままの調子でお祭りのレポーターも頑張ってね!」
後日、イトウのもとに梅澤さんからお祭りの写真と御礼の連絡が。インタビューを通して住民やボランティアの皆さんと新しいつながりが生まれたようです。
キミネリ「(よかったよかった)あれ、その企画書? ずいぶん前にお願いしてなかったっけ」
イトウ「…あれ、バレました? 今日はやっぱり外に取材行ってこようかなー…」
キミネリ「こらー!」
「人手が足りないので手伝ってほしい」「困っていることがあって相談に乗ってほしい」「地域の魅力を発信してほしい」など、お気軽にお問い合わせください!ミッションをクリアする当日の様子を取材させていただき、後日ソトコトオンラインにて事後記事として掲載させていただきます。
ご依頼は下記まで。