この連休に家族で東北へ行ってきた。ブナの森は移ろいがはじまり、川は銀色の光に弱さをはらんでいた。
今年はじめての、東北のイワナ釣りだった。
禁漁まであとわずかだというのに、遊漁の年券を買ってあわてて川に入る。
1年以上、久しぶりでもぼくのホームリバーの変わらない流れ。腕が鈍って、思うように決まらないフライフィッシングのキャスト。
「いつもより、ゆっくりとていねいにポイントを流していこう」と心に決めて、逝く季節を惜しむように黄色いカディスを投射した。
すぐにこの川らしい色をした、健康的なイワナが何匹か水面を割って飛び出してくれた。
普段は素通りしてしまう、開けて浅い瀬尻の木陰側にカディスを落とすと、どこにいたのか、筋肉質の20センチ後半のいいサイズのイワナがフライをくわえて、ぐんぐんと走る。ぼくもその行き先を追った。まるで愛犬との散歩のような楽しい時間。