「沖縄=青い海」だけで満足していませんか? 今、旅慣れた大人たちの間で、ある“ディープな沖縄”が話題となっています。キーワードは「エシカル」。捨てられるはずだったゴミが最高にお洒落なデニムに変わり、ビーチクリーンがエンタメになる。そんな常識破りの体験が、あなたの旅の価値観をガラリと変えてしまうかもしれません。知れば必ず行きたくなる、沖縄の新しい楽しみ方をご紹介します。
「サトウキビ」を履く時代、到来。
沖縄の名産品、サトウキビ。実はその搾りかす「バガス」が大量に廃棄されているのをご存知でしたか?そんな“ゴミ”を“宝”に変えたのが、浦添市にある「SHIMA DENIM WORKS」です。
ここで作られているのは、なんと「バガス」をアップサイクルしたかりゆしウェアやデニム製品。環境負荷を抑えながら、沖縄の地域創生を目指すプロジェクトです。

「バガス」から作られた糸は、いわば紙の糸のようなもの。吸水性や速乾性に優れており、消臭効果や抗菌作用も基準値より高いとされています。素材は100パーセント沖縄県産ですが、製造の過程でどうしても他県の工場を経由しているそう。「SHIMA DENIM WORKS」の大本夕貴さんは、将来的には全て沖縄県産にできるよう、またそれらを通して産業の活性化につながるよう、県とともに取り組んでいきたいと話します。

コラボレーションにも積極的で、俳優の松山ケンイチさんらが手掛けているエシカルブランド「momiji」とコラボレートした帽子や、沖縄出身の人気アーティスト・HYが手がけるナチュラルブランド「HeartY」と一緒に手がけたタオルなども販売されています。

見た目はクールなアイテム、その背景には「循環型社会」への熱い想いが織り込まれています。ただのファッションじゃない、ストーリーを身にまとう体験。これぞ大人の贅沢です。
ビーチクリーンは「労働」じゃなく「遊び」だ
「せっかくの旅行でゴミ拾い?」なんて思わないでください。「Project MANATII(プロジェクトマナティ)」が提案するのは、「地球の新しい遊び方」。漂着ごみで人々を繋ぐ、沖縄から始まるハッピーな新しいビーチクリーンプロジェクトです。

「Project MANATII」代表の金城由希乃さんによると、かつて西表島を訪れた際、ゴミが目立つ海辺を見て、つい持っていた袋にゴミを入れていったそう。しかし拾ったはいいものの、このゴミ袋をどうしようと途方に暮れたことがあったそうです。海辺のお店と協力することで、集めたゴミを渡すことができ、さらにそのお店となんらかのつながりが生まれるかもしれない。そう考え、プロジェクトに賛同するパートナーを募集し、2020年にプロジェクトが始動したそうです。

パートナー店舗で受付を済ませ、絶景のナチュラルビーチを散歩がてらクリーンアップ。活動の後は、地元のパンを片手に波音を聴く……そんなチルな時間が待っています。もっとアクティブに楽しみたい方向けに、ダイビングなどの海遊び、山で楽しめるネイチャーツアー、地域訪問といったプランもあります。旅先でビーチクリーンが気軽にできるアクティビティは、地域の人と自然と優しくつながる、心洗われるひとときにもなるのです。
「スクラップ&ビルド」はもう古い。歴史を継承する再生ホテル
次に紹介するのは、沖縄県北中城村の高台に佇む『EMウェルネス 暮らしの発酵ライフスタイルリゾート』。この建物は1972年に「沖縄ヒルトン」として開業して以来、何度かブランドが変わりながらも運営されていましたが、1991年にバブル崩壊の影響で改修工事が中断。その後は13年間も廃墟状態だったそうです。その後、2003年に株式会社EM研究機構が建物を取得しホテル運営を開始、そして2021年に「EMウェルネス 暮らしの発酵ライフスタイルリゾート」としてリニューアルオープンしました。

運営会社の株式会社EM研究機構は、もともと「EM菌(Effective Microorganisms:有用微生物群)」と呼ばれる菌を活用し、微生物による発酵と合成の力で悪臭を消したり土や川の微生物環境を整えたりと、「EM技術」を活用してさまざまな分野で取り組みを続ける会社。その一環で、“衣食住を全部体験できる分野”としてホテルの運営事業は行われています。
館内清掃には化学合成物質が極力使用されず、「EM発酵液」が用いられています。また食事には、自社農場でEM栽培された有機栽培野菜や、無投薬で育てられた平飼い卵などがレストランで提供されています。化学肥料や農薬に頼らず、土壌微生物の力を借りて育った食材は、味が濃く、エネルギーに満ち溢れています。地元食材を中心にした料理を一口食べれば、体の中から元気が湧いてくるのを実感できるはずです。

株式会社EM研究機構の前川幸輝さんによると、「病気にならない社会を作りたい」という思いが根底にあったそう。ホテル名にもなっている「ウェルネス」とは、心身ともに健康で幸福という概念。人を健康にし、地球もきれいにしていく微生物の発酵技術(EM技術)が活用されることで「ウェルネス」な暮らし方が可能になるという発想で運営されています。「地球にとって良い選択をするということが、一時的なトレンドではなく、これからの人生そのものかなと思ってます。私達がこのホテルで20年以上実践してきたこと、それ自体が地球をもっと良くしていくという未来を作ることに繋がってほしい、そして沖縄自体が“ウェルネスアイランド”と呼ばれるような沖縄になっていってほしいという思いがあります」と前川さんは話してくれました。
廃校が“泊まれるアトリエ”に!?
沖縄県大宜味村にある「喜如嘉翔学校(きじょかしょうがっこう)」。名前の通り、かつては小学校だったこの建物。現在は廃校を再生した複合施設として、地域の新たなランドマークになっています。宿泊施設、カフェ、工芸品店を自主運営し、なんと校舎内には14もの個性豊かなテナントが入居。クリエイターや職人が集い、新たな文化を発信する「大人の学校」として生まれ変わったのです。

2025年7月にオープンした宿泊施設「BUNAGAYA」は、童心に帰りながら、ゆったりと流れる島時間を独り占めできるスポットとして、旅慣れた人たちの間で注目を集めています。


そして、校内を歩けば素敵な出会いが待っています。入居テナントの一つ「工房うるはし」では、県産木を使った琉球箸づくり体験が可能。ここでは、シークワーサーの剪定で出た余計な枝を箸の材料としてアップサイクルしています。自分の手で削り、磨き上げ、名前を入れる。世界に一つだけの「マイ箸」は、旅の最高の思い出になるはずです。

「鳴き声と足跡以外は全部食べる」お店や、絶品クラフトビールも。
最後に紹介するのは、ぜひ現地で堪能していただきたいグルメの数々。例えば名護市の「島豚七輪焼 満味」が掲げるのは、「豚の鳴き声と足跡以外はすべて残さない」という沖縄古来の精神。飽食の現代、人気部位ばかりが消費されがちですが、ここではあらゆる部位を提供します。命を無駄なくいただくこと。それは、沖縄の文化そのものを味わうことでもあります。

そして小腹が空いたら「ペストリーうんてん」へ。 ここでは、「うれしいがめぐるお菓子」をコンセプトに、沖縄の素材や規格外フルーツを活かしたサステナブルなスイーツが楽しめます 。見た目が理由で市場に出回らないフルーツも、パティシエの手にかかれば極上の味わいに。 おいしいお菓子を食べることが、生産者の応援やフードロス削減につながるなんて素敵ですよね。

夜の乾杯にも、素敵なストーリーを添えて。沖縄市の「CLIFF GARO BREWING」では、地元の農家から直接仕入れた果物やスパイスを使ったクラフトビールが楽しめます。さらに驚きなのが、ビール作りで出た麦芽カスを肥料にし、そこで育った野菜をまた料理に使うという徹底した循環サイクル。空き瓶もグラスに生まれ変わるなど、無駄が一切ありません。

次の沖縄旅は「エシカルトラベル」一択!
これらはすべて、持続可能な観光地づくりを目指し、観光客、県内観光事業者、沖縄県民が共に沖縄らしさを育み、発展させる「Ethical Travel Okinawa(エシカルトラベルオキナワ)」の取り組みの一環です。自然、文化、そして人を大切にする旅は、沖縄の魅力を未来へつなぐ鍵となります。ただ消費するだけの旅はもう卒業。次はあなた自身が、沖縄の優しさと強さに触れる旅に出かけてみませんか?
画像:一般財団法人沖縄観光コンベンションビューロー、EMウェルネス 暮らしの発酵ライフスタイルリゾート、小池聡


















