地盤ネットホールディングス株式会社(以下、地盤ネットホールディングス)が立ち上げた女性麻雀チーム「GROUND QUEENS」。暮らしの足もとを支える企業が、思考とつながりの未来にも光を届けようとしている。“地盤 × 麻雀”という新しい基盤づくりは、社会にどのようなインパクトをもたらしていくのだろうか。
地盤の会社が、なぜ麻雀チームを支援するのか。
「我が社は“地盤”という、とても地味だけれど暮らしの根っこを扱う会社です。その私たちが、知のスポーツである麻雀、しかも女性チームの『GROUND QUEENS』をサポートする──。業界の外から見ると、『なんで地盤の会社が麻雀を?』と不思議に思われるのは当然だと思うんです」と語るのは、地盤ネットホールディングス取締役 経営企画部長の髙瀬秀人さんだ。「近年、麻雀は認知症予防や地域コミュニティづくりにも役立つ、“楽しく頭を使い続けられる場”として注目されています。これからの超高齢社会にこそ、必要とされる存在だと感じています」。
経営企画部 広報担当の原田裕子さんは、地盤ネットホールディングス独自のサービスである「地盤カルテ」と麻雀との接点を語る。「地盤カルテでは、住所を入力すると、その土地の地盤の特徴や災害リスクが点数で可視化されます。でも、大事なのは点数の優劣ではなく、その情報をもとに、自分でどう判断し備えるかなんです」。情報を知らないまま選択する危うさ。知ることで初めて主体的な判断ができるという姿勢。それは“思考の地盤”が社会に必要だという、同社の哲学にも繋がる。

ここで重要になるのが、麻雀という競技の本質だ。麻雀は、牌効率や点数計算のゲームではなく、読み、未来予測、リスクの見極め、他者理解など、膨大な情報を瞬時に処理する知のスポーツである。「麻雀が鍛えてくれる“思考の地盤”は、私たちの仕事が扱う“物理の地盤”と近いと思っています」と原田さんは言う。
麻雀は、年齢・体力・ジェンダーの差を超えて挑戦できる競技であり、SDGsの複数のゴールと自然と接続する。健康、教育、ジェンダー平等、不平等の解消、まちづくり、パートナーシップ──。麻雀は実は、持続可能な未来のための“共通言語”になり得るのだ。

きっかけは“直感”。一人のビジネスマンとの出会いから。
そして女性麻雀チームの「GROUND QUEENS」について、同社の社長室長であり、「GROUND QUEENS」発足の仕掛け人でもある執行役員 社長室長・荒木伸一さんは、その始まりを率直に明かす。「本当に些細なことが始まりでした。麻雀プロの仲林圭さんのYouTubeやプレゼン資料を見て、『この人とビジネスがしたい』と直感的に思ったんです。自分を論理的に売り込む力や、言葉の組み立て方がとてもビジネスマン的で、“この人と組んだら、うちの会社ももっと多くの人に届くな”と感じました」。
この仲林さんをコーチとして、異なる団体に所属する3名の女流プロが集結し、2025年5月に「GROUND QUEENS」が結成された。荒木さんは、3名との出会いをこう続ける。「今どき珍しいくらい“昭和っぽい”根性や素直さを持ちつつ、プロとしての覚悟と礼儀がしっかりしている。彼女たちが有名になることは、ファンにも、そして株主を含むステークホルダーにもプラスになる。『GROUND QUEENS』が知られれば自然と地盤ネットホールディングスも知ってもらえる、そんな関係をつくりたかったんです」。

GROUND QUEENSのキャプテン・木下遥さんは、自身の競技観と成長の軌跡をこう語る。「東京に出るまでは感覚の麻雀でしたが、上京して初めて座学で麻雀を学びました。知識が増えたことで迷いが生まれ、“私の強みって何だろう?”と悩む時期もありました」そんな時、先輩プロからかけられた言葉が転機になった。「『あなたの武器は強気さだよ』と言ってもらえて、自分でも“勝ち気”を大切にしようと思えたんです。我慢や忍耐も必要ですが、最後の一歩を踏み出すのはメンタル。思考を固めすぎず、でも確かに積み上げていく。それが、私にとっての“思考の地盤”なんだと思っています」。

女性たちの姿が、社会の思い込みを変えていく
原田さんは、「GROUND QUEENS」の存在が社会のジェンダー観にも影響を与えると語る。「女性は感情的だという偏見はまだ残っていると思います。でも彼女たちのプレーを見ると、どれほど冷静でロジカルかが伝わってきます。麻雀を知らない女性でも、きっと興味を持つはずですし、『私も頑張ってみようかな』と感じてもらえる存在です」。
荒木さんは、「地盤ネットホールディングスの仕事は“物理的な地盤”を守ること。一方で、『GROUND QUEENS』は“思考の地盤”を象徴する存在です」と話す。髙瀬さんもこう続ける。「難しいことを声高に言いたいわけではありません。『GROUND QUEENS』の活動をきっかけに麻雀に興味を持つ人が増えたり、地盤カルテで自分の足もとに目を向けたり──。その小さな一歩一歩が“未来の地盤強化”につながっていくと思っています」。
強い地盤と強い思考。暮らしの足もとと、頭の中の地盤を同時に耕していくこと。「地盤 × 麻雀 × SDGs」という意外な組み合わせは、これからの時代へのユニークで力強い一歩となっている。
「GROUND QUEENS」プロフィール

■ 仲林 圭(チーム監督)
Mリーグ「U-NEXT Pirates」所属。雀王連覇中、發王連覇、四神降臨連覇など、麻雀界が誇るトッププロ。今回、監督としてメンバーを牽引する。
■ 木下 遥(日本プロ麻雀連盟所属)
強気で大胆な攻めが魅力の若手実力派。勝負強さに定評あり。2025-2026シーズンよりMリーグレポーターを担当。
■ 川嶋 美晴(最高位戦日本プロ麻雀協会所属)
元・SKE48のメンバーで、48グループ初の麻雀プロという肩書きを持つアイドル雀士。
■ 鈴木 桃子(日本プロ麻雀協会所属)
日本プロ麻雀協会の女流リーグをスピード昇級し、現在は女流Aリーグに在籍。


















