「大阪・関西万博」の熱狂が、意外な形で次世代へと引き継がれています。会場で何百万人もの移動を支えた“あのマット”が、なんと視覚支援学校へと無償で贈られたのです。「ただの再利用」では終わらない、老舗ゴムメーカー・錦城護謨株式会社の粋な計らいに感動の輪が広がっています。
「万博のゴミ」にしない。1枚ずつ手作業で磨き上げた執念
大阪・関西万博の閉幕後、膨大な資材の行方が注目される中、八尾市の老舗メーカー・錦城護謨株式会社が動きました。会場のゲートやトイレなど計25箇所に設置されていた歩行誘導マットを、廃棄することなく丁寧に回収。 地元の就労継続支援A型事務所「はばたき作業所」と連携し、裏面の接着剤を1枚ずつ手作業で取り除くという気の遠くなるような工程を経て、新品同様の姿で学校へと届けられたのです。

白杖を使わない教育現場にこそ必要だった
今回、マットが設置されたのは大阪府立の視覚支援学校2校。 実は、こうした学校では将来の自立に向けて足裏の感覚や空間認知を養うため、校内ではあえて白杖を使わずに歩く訓練が行われています。 そこで活躍するのが、段差のないゴム製マット「歩導くん ガイドウェイ」です。 足の裏に伝わる柔らかな感触だけで、子ども達は「ここは安全な通路だ」と確信を持って歩き出すことができます。

車いすもベビーカーも。全員が「ガタガタしない」驚きのフラット構造
従来の点字ブロックは、視覚障害者には不可欠な一方で、車いすやベビーカー利用者にとっては「ガタガタして進みにくい」という課題がありました。 しかし、このマットは極限まで厚みを抑えたユニバーサルデザイン。「誰かのための便利」が「誰かの不自由」にならない。 そんな万博が目指した共生社会の理想が、今、学校の廊下で現実のものとなっています。



















