「私たちは年間で、クレジットカード1枚分のプラスチックを食べている」……そんな衝撃的な事実を知っていますか?今、千葉県松戸市にある県立小金高等学校の生徒たちが、この深刻な環境問題に本気で立ち向かっています。大人たちが「SDGs」という言葉を記号として消費するなか、若者たちが地域で巻き起こしている“静かな革命”の正体に迫ります。
海のゴミが「宝石」に変わる?高校生が挑む0円からの価値創造
千葉県立小金高等学校(以下、「小金高校」)では2019年からSDGsをテーマに探究学習を展開しています。9月7日に行われた同校の文化祭「鎬祭文化の部」では、7チームがそれぞれの関心をもとに探究課題を掘り下げ、実践的な活動などを発表しました。高校生ならではの発想と行動力に、来場者からも大きな関心が寄せられました。
「チーム オーシャンズ」が向き合うのは、5mm以下の微細なプラスチックごみ、通称「マイクロプラスチック」。彼らは浦安の海岸でこれらを回収し、丁寧に洗浄・加工。驚くほど美しい「アクセサリー」や「アンブレラマーカー」へと再生させています。

「環境に興味がない人にも、手に取ってもらいたい」。その想いから、あえて“社会貢献感”を出しすぎず、ファッションとして成立するクオリティを追求。外部のスキンケアブランドとのコラボや委託販売まで実現させているというから、そのビジネスセンスには脱帽です。
「参考書のシェア」が教育格差を壊す
もう一つ、地域を驚かせているのが「チーム スマイルfor study」の活動です。彼らが注目したのは、家庭の経済事情による「教育格差」。 卒業生や在校生から不要になった参考書を回収し、市内の交流施設で無料貸し出しを行う仕組みを構築しました。今年度だけで200冊を回収し、貸出実績はなんと522件。 「捨てるはずだった一冊が、誰かの夢を支える一冊になる」。このシンプルな循環が、松戸の街に新しい「学びのセーフティネット」を作り出しています。

江戸の知恵から、540円のレモネードまで。多角化する“探究”
彼らの活動は多岐にわたります。 松戸産の「優レモン」を使ったレモネード販売で小児がん支援(チーム Lemon-lemon) 、歴史から現代の水害対策を学ぶガチ研究(チーム 博物館) 、タイガー魔法瓶と連携したマイボトルの再資源化(Re ボとらーズ)など、どれも「学校の中」で完結させず、必ず「地域」や「企業」を巻き込んでいるのが最大の特徴です。

松戸市が「若者の挑戦」を本気で面白がる理由
なぜ、小金高校の生徒たちはここまで動けるのか。そこには「SDGs未来都市」である松戸市の、若者を一人のプレーヤーとして認める土壌があります。 生徒たちからは「市の取り組みと関連させることで、外部と連携しやすくなった」という声も。自治体が「お墨付き」を与えるだけでなく、高校生の発想を地域課題解決の「重要なピース」として歓迎しているのです。
彼らの活動は、もはや「教育」の域を超え、持続可能な街づくりの「最先端」と言えるでしょう。 松戸で始まったこの小さなうねりは、やがて日本中の地域を動かす大きな波になるはずです。

















