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連載 | 田中康夫と浅田彰の憂国呆談

憂国呆談 season 2 volume 102

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目次

【今月の憂いゴト】
教科書図書館から、
司馬遼太郎史観、
出入国管理法改正案、
中東諸国との外交策まで。

東京・江東区にある『教科書図書館』を訪れた田中・浅田両氏。館長の辰野裕一さんと事務局長の羽田喜次さんに案内されながら、明治時代の小学校の難しい教科書や、戦後の墨塗り教科書、公開されている検定前後の教科書を閲覧しながら日本の歴史を考え、現在、国会で議論されている「移民政策」や、カショギ氏殺害事件のあった中東諸国との関わり方を語り合った。

明治維新150年、
教科書図書館で「歴史」を考える。

浅田  今日は東京都江東区にある『教科書図書館』で内外のいろんな教科書を見た。敗戦後の墨塗り教科書があったり、検定前の原文と検定後の修正文が公開されてたり、一見地味ながら貴重なアーカイヴだね。

田中  音楽の教科書も墨塗りされていたよ。進駐軍による占領下だったから、君が代も含めて、高揚心を抱かせる歌詞は駄目だったんだね。

浅田  逆に戦前から戦中にかけて満州で使われてた教科書もあったけど、満州でも楠木正成の忠君愛国を教えてたとは!

田中  長野県には信濃教育会という教員の職能団体があって、独自に国語や理科の教科書を出版しているんだよ。で、佐久間象山を「ぞうざん」と読ませられた。

浅田  「しょうざん」は間違いなのか。

田中  私の名前は「ぞうざん」でなく「しょうざん」だと彼は弟子に念押しして亡くなったのに、発音しにくいという歴史修正主義者の発想で、信州では幼稚園や保育園でも子どもに歌わせる県歌「信濃の国」の歌詞では「ぞうざん」。ドナルド・トランプも脱帽するご都合主義(苦笑)。廃藩置県の当初は飛騨地方と一緒の筑摩県だった松本には地元民の寄附で誕生した重要文化財の旧・開智学校がある一方、満蒙開拓青少年義勇軍を全国で最も多く送り出した長野県の黒歴史にも信濃教育会は加担している。
 海外の教科書も棚に並んでいて思い出したけど、僕が知事に就任した(2000年秋)頃から、諏訪や塩尻、上田といった都市のIT企業で働く日系3世をはじめとするブラジル国籍の人が増加した。2、3年契約で帰国する期間工の彼らが帯同した子どもは日本語ができないから学校や幼稚園・保育園に通おうとしない。そこで、そうした地域の公立小・中学校の3校に1校、ポルトガル語を理解するチューター役を県が配置して、地元の教育委員会に越境入学を認めてもらうようにした。就学前の幼児が通う無認可の保育施設や、放課後の児童にブラジルのカリキュラムで補習を行う塾で使えるように、ポルトガル語の絵本や教科書や副読本を、駐日ブラジル大使に掛け合って無償で提供してもらった。

浅田  安倍政権が事実上の移民労働者受け入れに舵を切ろうとしてるけど、そういう配慮がなければ二級市民のままになっちゃうからね。

田中  まったくだ。ついでに言うと県史には、全国最多の約3万3000人を長野県は満蒙開拓に送り出し、昭和天皇から感謝されたと書いてあるけど、半数は郷里の地を二度と踏むことなく、集団自決や収容所で亡くなっている。満蒙からの引き揚げ者が戦後に開墾した軽井沢町の大日方開拓地を、静養の際に幾度か訪れてきた今上天皇・皇后は2年前、とりわけ数多くの人々を送り出した伊那谷の阿智村に開館した満蒙開拓平和記念館を訪れ、開拓団の元団員と懇談している。これも今の日本の空気に対する二人のレジスタンスだ。

浅田  歴史教科書に関連して言うと、「新しい歴史教科書をつくる会」の右翼ナショナリズムは論外として、司馬遼太郎史観の問題も意識しとくべきだ。学徒出陣で徴兵された彼は、満州で戦車兵として訓練され、「いざというとき民間人をどう保護するのか」と教官に尋ねたら「邪魔者は戦車で潰して行け」って言われて愕然とする。何とひどい軍隊なのか、何と愚かな戦争なのか、と。で、敗戦後の彼は、昭和はひどいが、明治はよかったはずだって考えるようになる。その気持ちはよくわかるし、明治が昭和よりましだったのも確か。とはいえ、昭和の闇に対し明治の光を過大評価するのは誤りだし、現に日清戦争や日露戦争だって本当に必要だったか大いに疑わしい。そこでできた不敗神話が昭和の軍部の暴走につながるわけだしね。
 幕末の日本は清がアヘン戦争に敗れたときから強い危機意識をもち、それが反転して明治の帝国主義に流れた。安倍晋三首相は地元・長州の吉田松陰を持ち上げて明治維新150周年を祝ってたけど、松陰がまさにその典型で、西欧列強に対抗するのに日本は満州も朝鮮も台湾も取れ、と。

田中  改元の詔書が出されたのが新暦1868年の10月23日だったので、同日に政府の記念式典が憲政記念館で行われたけど天皇・皇后は出席しなかった。そもそも招待状を受け取っていないと宮内庁は言っている。明治2年の版籍奉還後も各大名が知藩事として統治していたのを、その2年後の廃藩置県で明治政府が任命した県令を派遣し、その後も官選知事が続く。早い話が、明治維新とは中央集権化。富国強兵に突き進んで原爆投下で敗戦に至るまでの悲劇の150年間を美化するとは何事ぞ、地域主権を掲げているのに時代錯誤だ、と野党もわかりやすく一刀両断すれば理解を深める国民も少なくないのに、下手だよ。
 その明治の日本を描いた『坂の上の雲』の映像化は美しき誤解を招くからと、生前の司馬は断っていたのに、福田みどり未亡人がNHKに許しちゃった。

浅田  そう、司馬遼太郎自身はそういう自覚を持ってたのにね。NHKの大河ドラマ『西郷どん』が西郷隆盛を情に厚い悲劇のヒーローにしちゃうのもよくないな。徳川幕府の大政奉還にもかかわらず戊辰戦争まで突き進んだ責任の一端は彼にある。そのあと中央集権と富国強兵を進めたのは冷徹な大久保利通と長州閥のほうだけど。その辺を曖昧にしたままの明治礼賛って嫌だね。

出入国管理法改正案は、
まぎれもなく移民政策。

浅田  外国人労働者の受け入れ拡大のための新しい在留資格を設定する出入国管理法改正案が国会で審議されてる。労働力不足ゆえに外国人労働者が必要なのは当然だし、いい意味で開かれた社会になるのは歓迎だけど、日本人の嫌がる汚れ仕事のために受け入れた外国人が二級市民としてゲットーに入るようなかたちだけは避けないと。欧米が移民問題で右傾化しつつあるいま、日本もよほどよく考える必要がある。

田中  国柄を護ると胸を張っていた面々が、自ら率先して国柄を変えようとしているんだからね。国連やOECDは居住国を1年以上離れ、移動先の新たな国が通常の居住国となった者は移民であると定義している。日本が受け入れるのは技能実習生で移民ではないと言葉のすり替えを行う「詭弁」自体が国民にも移民にも誠実でない。
 衆議院法務委員会の理事懇談会で政府は、その外国人労働者を「初年度は最大4万7550人。5年間で最大34万5150人」と受け入れ見込み数を示したけど、これもどうやら表向きらしい。自民党で外国人労働者等特別委員長を務める木村義雄参議院議員はすでに2年半前、「技能実習と留学の形で裏口から労働者不足を補っている現状を改め、5年間で約100万人を堂々と受け入れて就労させるべき」と提言しているからね。嫌韓・嫌中・嫌朝を煽るDHCテレビ「真相深入り!虎ノ門ニュース」に溜飲を下げている皆さんこそ、この「国難」に危機感を持つべきでしょ(苦笑)。
 実は総務省統計局が10月末に発表した完全失業者数は162万人にも上る。完全失業者というのは働く意思と能力を持ち、求職活動を行っていながら就職の機会を得られない者。寿退社したけど失業保険を貰いにハローワークに通ってる人は含まれない。そうして内閣府の平成30年版「子供・若者白書」には15~39歳のニートと呼ばれる若年無業者が71万人と記されている。人手を補充しないと日本経済が失速すると叫ぶ政治や経済のリーダーが真っ先に行うべきは、こうした国民に職業訓練を実施することでしょ。財務省が9月に発表した法人企業統計では、金融・保険業を含めた企業の利益余剰金、即ち配当や設備投資へ回さずに手元に置いている「内部留保」が前年度比10%増の507兆円にも達した。それって日本の国内総生産=GDPの1年分だからね。就職氷河期に直面した40代半ばの団塊ジュニア世代(1971~1974年生まれ)は、その半数近い500万人が非正規雇用。彼らの待遇改善も急務なのに、優先順位を完璧に間違えてる。
 労働環境の過酷さがアメリカで批判を浴びていたAmazonは最近、最低賃金を時給10ドルから15ドル≒1700円へと1.5倍引き上げた。連邦政府が定める下限7.25ドルの2倍以上。継続的に雇用している25万人だけでなくクリスマス商戦で短期雇用する10万人にも適用するんだよ。日本のAmazonも含めて後に続くべし。

浅田  安倍政権は、「美しい国」を保守すると言いつつ新自由主義で労働市場を開くっていう基本的矛盾を抱えてるんだよ。
 戦前の日本は、過剰人口を食べさせていけるか危惧し、アメリカをはじめとする外国に移民を送り出してた。1924年にアメリカが移民を制限する法律(日本だけが対象じゃないのに日本では「排日移民法」って呼ばれる)をつくったんで、じゃあ満州を取って移民を送ろうとかいう話になって軍国主義に雪崩れ込むわけ。
 この例を見ても、アメリカが門戸を閉ざすことで世界に与える影響は大きい。現在のトランプ政権の反移民政策もその典型。グアテマラからメキシコを通ってアメリカを目指す移民のキャラヴァンを、トランプは移民の「侵攻」だと言い募り、止められるのは俺だけだと大見得を切って、中間選挙で下院こそ失ったものの上院の多数を維持した。南米まで含め、緊張は高まる一方。
 他方でドイツのアンゲラ・メルケル首相は、牧師の父をもつキリスト教民主党党首として、またドイツの歴史的責任を意識する政治家として、移民の受け入れを続けてきたけど、選挙で敗北が続き、ついに党首選には立候補せず来年には引退するって表明した。この問題に関してはよくやってきたと思う半面、大量の移民の流入が移民にも自国民にも大きなストレスを与える、それへの対処が後手に回ったんだね。

田中  その意味でも日本は、2012年12月に第二次安倍政権が誕生して1年半後の2014年6月24日に「従来の少子化対策の枠組みにとらわれず、2020年を目処にトレンドを変えていくことで、50年後にも1億人程度の安定的な人口構造を保持することができる」と閣議決定している事実すら周知されていないからね。「トレンドを変える」具体的方策は、その4か月前の2月24日に内閣府が経済財政諮問会議「選択する未来」委員会に提出した資料「目指すべき日本の未来の姿について」に明記されている。「移民を年20万人ずつ受け入れた場合、1億1000万人程度を維持」とね。つまり、先程の外国人労働者等特別委員長の「5年間で約100万人を堂々と受け入れて就労させるべき」発言と平仄が合う。日本の完全失業者162万人や若年無業者71万人を無視・放置したまま外国人「技能実習生」を、二百歩譲って受け入れるのだとしても、医療機関と同様に「充分な情報を伝えられた上での合意」という国民に対するインフォームドコンセントが大前提でしょ。歴代首相が好んで使う「民信なくば立たず=民無信不立」だからね。
 あの頃の日本は輝いていたとウヨの皆さんが礼賛する日清・日露戦争時代の人口は4700万人前後だからね。量の拡大や維持でなく質の充実が課題なんだよ。日本の2倍の労働生産性を誇るドイツも8200万人。6000万人のイタリアも日本よりも労働生産性が高い。22時には全社消灯する本末転倒な「働き方改革」の前に、明治維新好きな日本はドイツやイタリアからお雇い外国人を招聘して、会議や書類、営業のどこが非効率でムダなのか、教えてもらうほうが得策なのかも知れない。

カショギ氏の殺害事件と、
エネルギー、そして中近東の今後。

浅田  トルコのイスタンブールにあるサウジアラビア総領事館で、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子(MBS)に批判的だったサウジアラビア人記者ジャマル・カショギが殺害され、MBSの指示があったんじゃないかと疑われてる。しかし、死体をばらばらにして酸で溶かすなんて!

田中  実は同じく強権的で多くのジャーナリストを投獄しているトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領が、冷え込むアメリカとの関係を改善するカードとして、本来は治外法権なはずの外交公館の中の遣り取りをメディアに小出しにし、サウジアラビアとの情報戦で機先を制した。

浅田  1979年に、イラン革命の一方、サウジアラビアでメッカ襲撃事件が起こり、金権批判にたじろいだサウジ王家は金権体質はそのままにワッハーブ派のイスラム過激派を支持することで体面を繕おうとした。そこからオサマ・ビン・ラディンなんかが出てきた。MBSはそこからの方針転換の担い手として期待され、たとえば女性に自動車運転を許可した、それはいいんだけど、直前にその権利を主張してきた女性運動家を拘束するとか、「改革」の進め方が強引で恣意的なんだよね。ザ・リッツ・カールトンっていう「豪華なリヤドの監獄」でライヴァルの王子たちから巨額の隠し金を吐き出させたのはいいものの、拷問を受けたのか出てきてすぐ入院したやつもいるし、そもそもMBSとその周囲の疑惑はまったく手つかず。法治じゃない、専制的な人治なんだよ。その犠牲者は大勢いるんで、ワシントン・ポスト紙のコラムニストだったカショギの件だけがクローズ・アップされるのはおかしい。振り返ってみりゃ、アメリカがイランのモハンマド・モサデク民主政権を排除して王位につけたモハンマド・レザー・パフラヴィー(パーレヴィ)は西欧化の旗手として期待されたけど、秘密警察を駆使したその専制への反発がイスラム革命を招いた。MBSも同じ轍を踏む可能性がある。もうひとつ、イエメンで無益な戦争を続け、大敵イランに接近したってんでカタールを孤立化させるMBSの外交政策も乱暴すぎるし、現にうまくいってないことも付け加えとかなきゃ。
 中東の取材歴が長いトーマス・フリードマンも言うように、その種のダーティなパワー・ポリティクスの清算のためにも、脱石油が重要なんだよね。そうなればサウジアラビアのみならずロシアも含めた産油国の強権支配に見て見ぬふりをする必要もなくなる。MBSもそれを見越してポスト石油時代の経済を構築すべくいろいろ試みてはいるんだけど……。

田中  電気自動車の時代を迎えて、世界最大の埋蔵量を誇るサウジアラビアが、膨大な石油資源を錆びた遺産として地下に蓄えたまま、エネルギー問題で主導権を握れなくなる日が来るのを恐れている。その焦りからMBSは「ビジョン2030」を掲げて、脱石油の新都市建設を始め、矢継ぎ早にアイディアを実行に移そうとしてきた。映画館の復活等で国内の若い世代には人気があるらしいけど、保有原油埋蔵量も原油生産量も原油輸出量も世界最大の国有石油会社サウジアラムコの新規株式公開IPOが直前になってサルマン国王の命令で中止になった。上場に伴う財務情報の公開を渋ったらしい。なにしろ、初代サウード国王には40人ほどの王子がいて、第7代のサルマン国王も30人はくだらないとなると、王子だけでもネズミ講も真っ青な数百人単位。その家族も含めると天文学的。どら息子連中の散在を一掃すべく、MBSがホテル監獄に軟禁したのもわからなくはない。
 だけど、捕らぬタヌキの皮算用だったウォールストリートの連中はおもしろくない。そこにカショギ殺害事件が起きて、リヤドで10月末にMBSが開催した未来投資会議、別名「砂漠のダボス会議」に出席予定だった金融界や実業界のCEOクラスが揃って欠席した。リニア新幹線も顔負けな時速1000キロメートルでドバイ~アブダビ160キロメートルをわずか12分で移動可能な次世代輸送機関ハイパーループの実験施設をアメリカの砂漠に建設していたヴァージン・グループのリチャード・ブランソンも付き合いを断ったみたい。MBSが率いる政府系ファンドが5兆円を約束して、彼と共同で孫正義が「ビジョン2030」にちなんで設立した10兆円規模の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」も先行きは不透明。日本にとっても他人事じゃない。

浅田  そう言えば、去年レオナルド・ダ・ヴィンチの「救世主」を500億円以上で買ったのもMBSの代理人。ルーヴル美術館アブダビ分館に貸し出すとか言ってた話もどうなるのかな。ジャン・ヌーヴェル設計のあの美術館は良さそうだけど……。
 他方、サウジに孤立化させられても平気でやってるカタールの位置取りはおもしろいね。無血クーデターで父から実権を奪った前国王は、湾岸戦争後、イスラム過激派が強まったサウジアラビアからアメリカ中央軍基地を引き取り、同時にアル・ジャジーラ放送をつくってアラブの立場を世界に伝えるようにした。

田中  英国王室への皮肉もタブー視しないBBCと違って、さすがにカタール王家へのあからさまな批判は自粛しているものの、サウジアラビア政府の支援でアラブ首長国連邦のドバイに誕生したアル=アラビーヤが、王家礼賛のニュースを無批判に放送するのとは大違い。

浅田  トランプは娘婿ジャレド・クシュナーの影響もあってイスラエルとサウジアラビアの呉越同舟連盟と接近しすぎてる。地政学的にも、カタールに倣って、イランを排除するんじゃなくサウジアラビアと両天秤にかけてうまくやるべきだよ。
 日本もトランプからイランとの貿易を断てと言われ、短期的な猶予を与えられてる状況だけど、安倍応援団の百田尚樹が礼賛したように、戦後、イランのモサデク政権が石油を国有化し、英米から経済封鎖を受けてたとき、危険を承知でタンカーを送ってイランの石油を買ったのは、出光興産社長の出光佐三だったんだからね。おかげで、いまだに日本はイランから感謝されてる。百田的ナショナリズムでいくなら、安倍政権もそれに倣うべきなのに、そっちではひたすら対米追随ってのは情けない。

田中  日本は三井物産や当時の三井東圧化学が中心となってイラン・ジャパン石油化学(IJPC)をイラン政府と1970年代初頭に設立したものの、中東戦争が発端の第一次オイルショックや1979年のイラン革命でパーラヴィ朝のイラン帝国に代わってイラン・イスラム共和国が誕生の混乱に直面した歴史的経緯がある。ちなみに、赤字だったパソコン事業を立て直して社長となり、「原子力ルネッサンス」を掲げたものの「3.11」以降の利益かさ上げの不正会計で東芝崩壊の引き金を引いた今は亡き西田厚聰も、イラン出身の留学生と日本で知り合ってテヘランに渡り、東芝の現地法人の社員から本体の社長に上り詰めた。EU諸国のイランへの間合いがトランプとは対照的なのも、人口8000万人を超える市場と資源を見据えての経済的観点も大きいからね。日本も良い意味で老練で老獪になるべきなんだけどさ。

協力:教科書図書館 http://textbook-rc.or.jp

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