マルシェ事業で「消費者と生産者の心の距離が縮まる場所づくり」を行っている農業プロデューサーの脇坂さん。10年以上マルシェに携わってきた経験から、「ローカルプロジェクトでのマルシェを運営するためには」という視点で本を選んでもらった。
脇坂真吏さんが選ぶ、ローカルプロジェクトのアイデア本5冊
『地域の味がまちをつくる』も海外のマルシェを調査・研究して書かれた本ですが、違うのはマルシェが好きな”いちファン目線“が強いこと。マルシェを楽しむ感覚がひとつの理想の形として浮かび上がってきます。販売者と生産者が長い時間をかけて場をつくり上げる過程が想像できるのではないでしょうか。2006年に出版された本ですが、先日読みなおした際、自分たちのマルシェはここに至れたと感じることができました。国は関係なく、ローカルの食や対面販売の魅力は共通する部分が多いんですね。
『フラノマルシェの奇跡』と『東川スタイル』は、マルシェのつくり方というよりも、プロジェクトを達成させるには地道な努力と関わる人の熱量が大事だと伝えたいために選びました。何年にもわたる活動の結果、マルシェや独自のブランド色を持ったまちが出来上がったという、前の2冊とはマルシェを考えるアプローチが違う本です。どちらも現在ある姿だけ見ていては伝わらない、歴史も踏まえた包括的な視点を持てるようになるでしょう。特に後者は30年前の小さなプロジェクトが今のブランドにつながっているとわかり、「次の世代に基礎を渡していければいい」というような目線で物事を俯瞰できるようになります。
ローカルプロジェクトでは行政と関わることも多いと思いますが、前もって読んでおいてほしいのが『県庁おもてなし課』。行政や自治体と仕事をするときの「あるある」がうまくまとまっています。小説としてもおもしろく、予習に最適です!