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サスティナビリティ

特集 | まちをワクワクさせるローカルプロジェクト

『Agriinnovation Design』代表取締役|脇坂真吏さんが選ぶ、ローカルプロジェクトのアイデア本5冊

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マルシェ事業で「消費者と生産者の心の距離が縮まる場所づくり」を行っている農業プロデューサーの脇坂さん。10年以上マルシェに携わってきた経験から、「ローカルプロジェクトでのマルシェを運営するためには」という視点で本を選んでもらった。

私は「小学生のなりたい職業1位を農家にする」をモットーに、農業支援をプロデュースする立場の会社を経営しています。マルシェ事業のプロデュースもその一環で、2009年に東京・六本木で始まった「ヒルズマルシェ」から活動を始めました。関わって数年後に、地方の生産者と消費者の間にマルシェを通したコミュニティが生まれたことを実感しました。
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(左から)1.『地域の味がまちをつくる─米国ファーマーズマーケットの挑戦 』/2.『マーケットでまちを変える─人が集まる公共空間のつくり方』/3.県庁おもてなし課/4.東川スタイル─人口8000人のまちが共創する未来の価値基準/5.フラノマルシェの奇跡─小さな街に200万人を呼び込んだ商店街オヤジたち

脇坂真吏さんが選ぶ、ローカルプロジェクトのアイデア本5冊

地域振興を目的にマルシェやマーケットをつくりたい人におすすめなのが、『マーケットでまちを変える』です。著者は設計事務所に在籍時代、まちの構築にマルシェがどのように機能するかを研究していたそうです。マルシェの運営についてではなく、「場所を持っている側がどう行動したら、マルシェがまちを変えていけるか」という本で、具体的に何を支援すればいいのかなどがまとめられています。

『地域の味がまちをつくる』も海外のマルシェを調査・研究して書かれた本ですが、違うのはマルシェが好きな”いちファン目線“が強いこと。マルシェを楽しむ感覚がひとつの理想の形として浮かび上がってきます。販売者と生産者が長い時間をかけて場をつくり上げる過程が想像できるのではないでしょうか。2006年に出版された本ですが、先日読みなおした際、自分たちのマルシェはここに至れたと感じることができました。国は関係なく、ローカルの食や対面販売の魅力は共通する部分が多いんですね。

『フラノマルシェの奇跡』と『東川スタイル』は、マルシェのつくり方というよりも、プロジェクトを達成させるには地道な努力と関わる人の熱量が大事だと伝えたいために選びました。何年にもわたる活動の結果、マルシェや独自のブランド色を持ったまちが出来上がったという、前の2冊とはマルシェを考えるアプローチが違う本です。どちらも現在ある姿だけ見ていては伝わらない、歴史も踏まえた包括的な視点を持てるようになるでしょう。特に後者は30年前の小さなプロジェクトが今のブランドにつながっているとわかり、「次の世代に基礎を渡していければいい」というような目線で物事を俯瞰できるようになります。
 
ローカルプロジェクトでは行政と関わることも多いと思いますが、前もって読んでおいてほしいのが『県庁おもてなし課』。行政や自治体と仕事をするときの「あるある」がうまくまとまっています。小説としてもおもしろく、予習に最適です!

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わきさか・まさと●北海道生まれ。農業プロデューサー。東京農業大学在学中に起業し、マルシェ事業などをはじめ農業の活性化や支援に関わる活動を行っている。著書に『マルシェのつくり方、使い方 運営者・出店者のための教科書』(学芸出版社)など。
記事は雑誌ソトコト2022年3月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

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