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食品ロスを有効活用!人気辛麺屋の「もったいない」から生まれた必然のニラ醤油

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宮崎県発祥の「辛麺」の人気店『元祖辛麺屋桝元』を大分県内で運営する株式会社Log Style(大分県大分市)。代表取締役社長の時松秀豊史さんは、サーフィンで宮崎を訪れた際に辛麺の味に惚れ込み、2013年に県内1号店となる大分本店をオープン。現在、県内に3店舗を運営しています。

宮﨑辛麺は醤油ベースのスープに挽肉とニラ、にんにく、溶き卵、たっぷりの唐辛子をトッピングしたご当地麺。プリプリとした食感のこんにゃく麺に辛旨スープが絡み、そのおいしさから県内のみならず全国に人気が広がっています。しかし、辛麺に使用されないニラの「茎」の部分は廃棄せざるを得ず、有効活用できる方法を模索していました。そこで開発したのが、細かく切ったニラの茎を醤油漬けにした「ニラ醤油」です。テレビで紹介されるとたちまち全国で評判を呼び、今では店舗のニラの廃棄量がゼロになりました。食品ロスから人気商品を生み出した経緯と思いについて時松さんにお話を伺いました。

目次

社員のひらめきが商品開発の契機に

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ソトコトNEWS ニラ醤油開発のきっかけについて教えてください。

時松秀豊史(以下、時松) 私たちの店舗では、辛麺にかかせない「ニラ」にこだわり、すべて大分県産のものを使用してきました。大分県は全国でも上位のニラ出荷量を誇り、西日本を代表する「ニラ」の産地です。店舗では毎日新鮮なニラを手作業でカットしていましたが、茎の部分は、異物混入や土の汚れを落とすのにも手間がかかるため、ニラの10〜15%にあたる量を全て廃棄していました。その量は3店舗合計で年間1トン以上にも登り、本来は食べられる部分を何の疑問も持たずロスし続けていました。

ある日スタッフが「もったいないよ。まだ食べられるのに」と気付き、炒めものにしたり、まかないの材料として使うようになりました。だからといって、全ての量を消費できる訳でもなく、やはりロスしてしまう。みんなで知恵を絞り辿り着いたのが、保存も可能な「ニラ醤油」でした。これなら!と、来店して下さるお客様に無料で提供を始めました。想像以上にお客様の評判がよく、「美味しいから、買って帰りたい。」と言う声を多く頂くようになり、「食品加工」の勉強を始めました。

お客様は、ご飯にのせたり餃子に添えたりと、さまざまなアレンジで召し上がっていることがわかり、商品化に踏み出しました。

2019年、漬物製造業の許可を取得し本格的な商品開発に着手。各店舗でカットしたニラは傷みが早いため、店舗裏にプレハブの工場を作って全店舗のニラを一箇所で加工し茎の部分を集め、ロスを防ぎました。細かく切ったニラの茎を瓶いっぱいに敷き詰め、地元醤油メーカーに特注した特製の甘口だし醤油を合わせます。ニラも醤油もすべて大分産です。これは、地域資源を活用して全国においしさを知ってもらいたいという思いもありました。こうして2020年に完成したのが「必然のニラ醤油」です。

それまで当たり前に廃棄されていたニラの茎が、ちょっとしたアイデアと工夫から「ニラ醤油」に生まれ変わりました。多くの「ニラ」を使用してきた私たちにとって偶然できたのではなく必然だったのです。こうして「必然のニラ醤油®」が誕生しました。

ソトコトNEWS インパクトのある商品パッケージにもこだわりを感じますね。

時松 辛麺屋の看板をリニューアルする際、何か面白くてインパクトがあるものがいいなと思い、自分でヘタウマな絵を描いてデザイナーに依頼しました。食べたら「泣くほどうまい!」という意味で、最初は社員から猛反対されましたが、そこから始まったニラ醤油のパッケージデザインは、大分市パッケージデザインコンテスト「デザインエイド2021」でグランプリを受賞するなど社会的にも高い評価を得ています。

テレビで全国に紹介されると注文が殺到

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ソトコトNEWS どのように販路や生産体制を拡大していったのでしょうか。

時松 飲食店の営業と店舗やECでの販売をしようとしていた矢先、新型コロナウイルスの感染拡大によって緊急事態宣言が発令され、来店数は激減してしまいました。それに伴い、使用するニラの量も減り、一時は商品の製造も中断を余儀なくされました。

そんな中、偶然全国放送のテレビ番組で、「必然のニラ醤油」が紹介され、放送後は全国から多数の注文が寄せられましたが、プレハブの工場では生産体制(品質管理・衛生管理・製造量)など話にならず、無力さを思い知らされました。

製造業はまったくノウハウがなく、半ば手探りでやっていたので、生産拡大にあたって特に衛生面、品質管理の必要性を実感し、HACCPに基づいた体制強化に乗り出しました。

品質面・衛生面を兼ね備えた製品を生産するには工場の設備充実が不可欠だという結論に至り、製造スタッフを8名採用し人員体制を強化。立地を探して2021年12月に念願の新工場が完成しました。それまでニラのカットは外部業者に委託していましたが、自社工場で全ての工程を内製化し、ニラの受入、加工、洗浄、脱水、充填、熱殺菌、ラベル貼り、梱包、発送まで全ての工程を自社で完結しています。

コロナ禍で地域のフードロスを救う新商品も誕生

ソトコトNEWS コロナ禍で売上減などの影響もあった一方で、新たな動きも生まれたとお聞きしました。どのような変化がありましたか?

時松 「必然のニラ醤油」は店舗で使用する「ニラ」のロス(茎)が原材料となっているため、製造は店舗の集客に大きく左右されます。そこで新たに開発したのが、ニラの茎から葉まで全てを使った「みんなのニラ醤油」です。

当時、休業・時短営業する飲食店が多く、本来消費される予定だった地域のニラの大半が行く先を失っていました。ならば葉も茎もまるごと使って地域に貢献できないかと考えました。すると、近隣の農家からも「うちのニラも使ってほしい」と声が寄せられ、県の協力を得る形で新商品が完成しました。大分のみんなで作り上げたため、商品名は「みんなのニラ醤油」と名づけました。そのほか、辛麺屋だけに辛さを追求した「辛のニラ醤油」も新たに開発し、3種類の商品を詰め合わせたセットは贈答用としても活用されています。

ニラ醤油シリーズは、大分市の地域資源を主原料にした魅力ある加工品を認証する「大分市ブランド認証」を取得し、県外でも販売されているほか、大分市ふるさと納税返礼品にも登録されています。

現在では月に4,000本を製造し、累計出荷数は20,000本を超えています。新工場が完成して製造体制が整ってから、店舗でのニラの廃棄量はゼロになりました。現在は東京都内のスーパーなどでも販売されるようになり、私自ら店頭で試食販売に立つこともあります。

ソトコトNEWS 店舗でのフードロスの有効活用からスタートし、今では地域に貢献する商品が生まれました。今後取り組みたいことや、展望を教えてください。

時松 開発に着手し始めた頃、ここまでニラ醤油がたくさんのお客様に受け入れられるとは思ってもいませんでした。決して高級な野菜ではない「ニラ」。誰もが知ってる「ニラ」。何も考えずに捨てていた「ニラ」。今ではさまざまな可能性を秘める「夢」に変わりました。これからも「食」である限り、品質を第一に考え、他に類をみない「ニラ」を主軸とした商品の開発や販路も拡大していきます。具体的には、一般消費者向けのほかにも、飲食店などの卸・業務用商品やOEMなどです。ニラ醤油はさまざまな料理にアレンジが可能なので、メニュー開発もあわせて提案できるのが私たちの強みです。将来的には海外にも販路を拡大して、海外のお客様にも大分産ニラのおいしさを知っていただきたいと考えています。

「ニラには捨てるとこなし」、「ニラのように力強く生きる」、「ニラ、海を渡る」。
「当たり前」に捨てられてたものが「偶然」生まれ変わり、「必然」だったと気付かされました。 今までの「当たり前」は、もう「当たり前」じゃないのだな、と。              
新しいことをするのではなく、忘れていたもの、捨てていたものを拾い上げ、自分で考え、手を加え、本来持っている価値を高めていく。これこそが、アップサイクルだと思います。これからも、僕らの心、気持ち、考えもアップサイクルしていきたいと思います。

株式会社Log Style:https://masumoto-oita.com/
公式オンラインショップ:https://shop.nira-shoyu.com/

ソトコト×GOMITAIJI

SDGs の目標12「つくる責任 つかう責任」のターゲットである「廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。」への啓蒙活動として、企業のアップサイクルや、GOMITAIJIの取り組みを紹介するコンテンツを「ソトコト×GOMITAIJI」としてソトコトニュース、ソトコトオンラインにて掲載していきます。

一般社団法人GOMITAIJI:https://www.gomitaiji.or.jp/

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