持続可能、そして世界で活躍できる子どもを育てる教育を考える連載「インターナショナル教育とSDGs」、第6回目は「SDGsを実現するために欠かせない姿勢」になります。
それは、宇宙開発を地球人が行なっていく上で、他の天体(今回の場合は火星)に赴く際、「植民地支配者(colonists)」の姿勢で向かうのか、それとも「探検者(explorer)」の姿勢で向かうのかというものでした。各者の特徴としては、「植民地支配者」は、「火星を、自分たち地球人のものとして手に入れようとする傲慢な(arrogant)姿勢」で宇宙開発に臨むのに対し、「探検者」は、「火星は、あくまで火星に存在する物(微生物や非生物であっても)に属しており、地球人はそこに学びにいくという謙虚な(humble)姿勢」で臨むということでした。(下写真参照)
宇宙開発の中で、例えば、火星の地球化:テラフォーミング(terraforming)や植民地化(colonization)という言葉が出てきたり、火星を温めるため、固体となって存在している二酸化炭素(ドライアイス)を溶かして、温暖化を引き起こそうといった考えを耳にしたりします。これらは、地球上の環境問題さえ解決できないでいるにも関わらず、人間(地球人)が、現地の自然をコントロールできると考える少々思い上がった傲慢な(arrogant)姿勢のようにもみえます。地球で人間が引き起こしてきた問題を、また他の星や月で繰り返してはならないのは自明かと思います。
そして、今回、宇宙開発をテーマとしたイベントを通して、持続可能な開発を実現するには、生物、非生物を問わず、人間を取り巻く環境の構成員一つ一つに対し、謙虚な(humble)姿勢で接していくのを決して忘れてはならず、いくら科学技術が発達したとしても、このような心構えや姿勢がなければ、SDGsは達成できないのではないかと改めて思惟させられました。
サイエンス顧問:村上正剛さん
オーストラリア、マレーシア(ボルネオ島)にて環境教育に従事。東北大学、北海道大学の他、カナダやオーストラリアの大学(院)にて、人と自然との関わりや科学技術コミュニケーション等について研究。現在も引き続き京都大学にて研究中。