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サスティナビリティ

工場から排出されるデニム端材を建材としてアップサイクル。「NURU DENIM」を通じて資源循環型社会づくりに貢献する日本エムテクスの取り組み

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卵殻などをアップサイクルした壁紙や塗料、タイル、雑貨の開発・製造・販売を20年にわたって手がけてきた日本エムテクス株式会社。同社は2022年11月より、デニム工場から排出された端材を使った壁・天井材「NURU DENIM」の販売を始めています。本来であればそのまま捨てられてしまうものを原料としてアップサイクルし、人気商品を生み出した経緯と思いについて代表取締役の三浦征也さんにお話をうかがいました。

目次

デニム端材をアップサイクルした壁材「NURU DENIM」

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「NURU DENIM」を使った壁。インディゴブルー、ストーンウォッシュ、ユーズドブラックの3色展開。落ち着いたシックな色合いを持つ。天井にはワインのコルク栓をアップサイクルした「リコルクウッドパネル」を使用。
「NURU DENIM」とは“塗るデニム”であり、大手デニム工場から出た端材を活用した壁材・天井材です。日本における洋服を製造する際に工場から排出される端材の量は、実に年間約45,000tとされています。この排出されるデニムの端材を粉砕し、左官材へアップサイクルしました。接着剤を使用していないため、古くなっても水をかけて練り直すことで、再び左官材としてよみがえるという点も大きな特徴です。排出される端材からアップサイクルされ、そしてリユースも可能というきれいな循環が可能な製品です。

「NURU DENIM」ができるまで

「NURU DENIM」の開発に至るまでの経緯を、三浦さんは次のように話します。

同じくアップサイクル製品を手がけている仲間から、国内のデニムメーカーがゴミで困っていると相談を受けたんです。そこで詳細を聞いてみると、デニムの製造過程で排出される生地の端材が年間数百tあることがわかりました。ゴミの内容がわかったところで、次にその活用法を模索しました。日本の建築シーンでは、1950年代から高度経済成長時代に、「繊維壁」が住宅の内装として急速に普及しました。これを技術改良して現代に合った繊維壁として復刻させたら、新素材として多方面から注目されるのではないかと考えました。

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破砕済みのデニム繊維。破砕の粗さによってもコストや環境負荷に違いが出る。
ゴミは移動させてしまうと、コストも上がりCO2排出量も増えるんです。工場の選定や、配合比率を増やしゴミの削減につながるのか、といった点を細かくチェックしました。より多くのユーザーに手に取ってもらえる身近なものにするため、住宅だけではなく施設系にも採用してほしい。そうなると耐久性はもちろん、建築基準法をクリアするため、不燃認定の取得が必須になってきます。製品をより持続可能なものにするため、設計段階から多くの事を意識して開発を進めました。

製品化後は、住宅メーカーや、工務店、企業からのオファーを多数いただきました。また採用したい建材、アップサイクル事例として多くの建築業界誌等で取り上げられました。メディアへの反応などを通じて、今までつながらなかった顧客との接点が大いにでき、既存製品の出荷も増加しました。卵殻以外のアップサイクル建材を製品化できたことも、当社にとって非常に大きな自信になりました。

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サステナブルな素材に溢れた、居心地の良い空間」というコンセプトで設計されたシェアオフィスのラウンジに採用。

アップサイクルを通じて長期的な環境ビジョンでの「ものづくり」

まだアップサイクルという言葉もなかった2002年頃から、卵の殻を中心としたアップサイクルを行ってきました。その活動を続けるうちに、捨てられてしまう素材に関する課題を持った企業が数多く存在することに気づきました。また、SDGsが採択され、環境問題への関心の高まりから「自社でも環境保全への取り組みに着手したいが、具体的にどのようにすれば良いのか?」などの相談が増えていきました。

問題を解決するなかで、様々な技術を有する企業や人との、業種を超えたネットワークが構築されました。次の世代につなげる活動をたくさんの方々に知っていただき、社会や環境に対して益々の貢献を願い、一般社団法人GOMITAIJIを設立いたしました。

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日本エムテクス株式会社代表取締役の三浦征也さん。一般社団法人GOMITAIJI代表理事も務める。
ソトコトでは、これまでもGOMITAIJIの理念に共鳴し、さまざまなアップサイクルの取り組みを推進している企業・団体を取材してきました。下記のリンクから記事を読めるので、ぜひご覧になってみてください。

これまでのソトコト×GOMITAIJIの記事を読む

取材の終わりに、三浦さんに今後の展望をうかがいました。

生活をしていくうえで、必ず発生するゴミは私達にとって非常に身近なものです。ゴミをアップサイクルする上で大切にしていることは、身近なものから身近なものに生まれ変わらせることです。環境問題への取り組みであると同時に、ちょっとした工夫や発想で、ゴミが生まれ変わる感動を多くの方に経験していただきたい。簡単に捨ててしまう前に、少し考えるきっかけになってもらえたら、という想いで、使う人に寄り添った製品づくりを続けてまいります。

日本エムテクス株式会社のHPはこちら
https://www.nmtecs.jp/

■ソトコト×GOMITAIJI
SDGs の目標12「つくる責任 つかう責任」のターゲットである「廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。」への啓蒙活動として、企業のアップサイクルや、GOMITAIJIの取り組みを紹介するコンテンツを「ソトコト×GOMITAIJI」としてソトコトオンラインにて掲載していきます。
一般社団法人GOMITAIJI
https://www.gomitaiji.or.jp/

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