ハーバリウムと聞くと、バラやカスミソウなどの園芸植物を華やかに彩った、ラブリーな雰囲気のボトルをイメージする人が多いのではないだろうか。今回紹介する「里山ハーバリウム」は、新潟県上越市安塚区に自生する山野草を採取し、余計な着色や装飾を施さずそのまま閉じ込めた、独特の存在感を放つハーバリウムだ。制作するのは新潟のデザイン事務所『U・STYLE』。過疎化が進む中山間地の暮らしを持続可能なものにするため、安塚の素材にデザインを加えて発信するブランド「里山ボタニカル」を2020年夏にリリースした。
素朴だが、野の花の生命力を感じさせるヒメウツギ、可憐な橙色の花と伸びやかに弧を描く緑の葉が印象的なヒメヒオウギズイセン、葉脈が麗しい柿の落ち葉に添えられた山椒の実……。「里山ハーバリウム」は、自然が生み出すものの美しさに目を開かせてくれる。そばに置いて眺めていれば、普段何げなく通り過ぎている道端に隠れた美も発見できるようになるかもしれない。
里山ハーバリウム
すべて一点物。“植物標本”というハーバリウムの原点を忘れず、植物の学名や採取日などを記載したラベルを貼っている。「コロナ禍で故郷に帰れず寂しい思いをしている人に癒やしを届けたい」と担当の植木陽香さん。なお、「里山ボタニカル」では野草茶や麹のケーキも販売している。
●3850円(里山ボタニカル www.satoyama-botanical.com)