平日の夜、東京から車を走らせること3時間弱。黄色い看板が見えてきた。ここが「サウナの聖地」と呼ばれる「サウナしきじ」だ。駐車場を見渡すと、北海道から九州まで、全国各地のナンバープレートが並んでいる。平日にもかかわらず、この賑わい。いったい何が、これほど多くのサウナーを惹きつけるのだろうか。
聖地と呼ばれる理由は、派手な設備ではない
施設に入ると、昔ながらのスーパー銭湯のような落ち着いた雰囲気が広がる。フィンランドサウナと薬草サウナが1つずつ、水風呂が1つ、お風呂が2つ。ロウリュイベントもなければ、インスタ映えする装飾もない。一見すると、なぜここが「聖地」なのか分からない。
しかし、実際に体験してみると、その理由が身体で理解できる。サウナしきじのすごさは、派手な設備やイベントではなく、「本質」にあった。

水風呂の「温度」ではなく「水質」に衝撃を受ける
まず身体を洗い、10種類以上の薬草が入った漢方薬草風呂で身体を温める。独特の茶色いお湯からは薬草の香りが立ち上り、ボコボコと湯が沸く音が心地よい。身体の芯まで温まったところで、いよいよサウナへ。
フィンランドサウナのドアを開けると、温度計は約110度を指している。男湯はなんと120度近くになることもあるという、全国屈指の超高温サウナだ。カラッとした空気の中、じっくりと汗を流す。10分ほど我慢すると、全身から汗が滴り落ちる。
そして、掛け湯をして水風呂へ。
入った瞬間、言葉を失った。
水風呂の温度は約17度。特別低いわけではない。天然の湧水を使っているというが、それだけなら他の施設にもある。しかし、この水は違う。圧倒的に違う。
「やわらかい」「つつまれる」「攻撃的でない」。
通常、水風呂は身構えて入るものだ。冷たっ!と感じてから、徐々に慣れていく。しかし、ここの水風呂は違う。入った瞬間から、身体を優しく包み込んでくれる。まるで母親の羊水に包まれているような、不思議な安心感がある。
髪に指を通すと、驚くほどツルツルと滑らかだ。硬度84の中硬水というこの天然地下水は、常に地下から汲み上げられ、かけ流しで使われている。ミネラルが豊富に含まれたこの水は、飲むこともできる。水風呂に入りながら一口飲むと、身体が内側からも外側からも清められていく感覚に包まれる。
多くのサウナーは水風呂の「温度」にこだわる。10度以下の「グルシン」を求める人も多い。しかし、サウナしきじの水風呂は、水風呂で本当に大切なのは「温度」ではなく「水質」だということを、身体で教えてくれる。
天井からドバドバと滝のように落ちる水の音が、浴室全体に響き渡る。まるで滝壺のそばにいるような、自然の中で湯浴みをしているような、非日常の空間がここにはある。
いざサウナへ。

中に入ると耳ざわりのいい湯船の流水音が聞こえる。
広すぎず狭すぎず落ち着く広さだ。

カラッと入りやすいフィンランドサウナ

まずはフィンランドサウナへ。
室温は約110度。高めだが高揚感のせいか不思議と10分耐える事ができた。
駿河天然水のなめらかな水風呂へダイブ

さあ一度目の水風呂へ。
駿河の自然の中で育まれた天然の湧水は「やわらかい」この表現がしっくりくる。
水温も17度とつかりやすい。

水のやわらかさをさらに実感したのは外気浴の時間だ
髪をに指を通すとツルツルと滑らかさを体感できる。
多幸感に包まれながら天井を仰ぎ、それから目をつむった。
漢方薬につつまれる薬草サウナ

「熱っ」
ドアを開けた瞬間にもわっと大量の蒸気を感じた。温度計を見ると「60度?」と疑ってしまうぐらいの熱さだ。
フィンランドサウナの比ではない。
薬草の香りを含んだ蒸気は「早く出ろ出ろ」と追い込んでくるがじっくり我慢すること10分…
「だめだ出よう!」
足早に外に出るやいなや、汗を流し至福の水風呂へ。
ベンチに座りながら、手足に温度が少しづつ戻る感覚をじっくり味わいながらととのった…
お風呂はジャグジー風呂と漢方薬草風呂


お風呂はジャグジー風呂と薬草風呂の2種類
薬草風呂はサウナ同様の成分を配合している。
サウナでほっこりした体に染み渡り、独特な香りもまた心地がいい。
休憩室にて爆睡でフィニッシュ

10分2セットを行い、ホクホクした体を覚ましながら休憩室へ。
濃厚接触を避けるため、現在仮眠室は閉鎖されているがソファーベットは使用可能。
昔ながらの革の感触を感じながらスヤスヤと不快眠りの中へ…「おやすみなさい」
朝起きてサウナへGO
朝もサウナでさっぱり目を覚ました後に、まっていましたサウナ飯


昔ながらのカツカレー。
甘口のルーがカツとしっかり絡んでおいしい。
体もお腹もしっかり整ったところで今回のサウナ旅はおしまい。
東京へ帰ろう。

都内から少し足を伸ばしただけで、ローカルな景色と至福の体験ができることを改めて実感した。
自分の行動圏内の少し外側へ踏み出すと日本には多くのコンテンツが盛り沢山だ。
サウナ好きじゃなくてもサウナ好きでも、静岡に訪れた際は是非足を運んでみてほしい。
サウナしきじ
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