【ソトコト×日本ワーケーション協会連載】ソトコトと日本ワーケーション協会がコラボして、各分野、各地域で活躍するワーケーション推進者をゲストに迎えて、毎回対談。ワーケーションにおける現在地や未来の展望を語ります。
前回の第10回目(前編)に続いて、今回は第9回目の中編。ゲストは、一般社団法人官民共創未来コンソーシアム上席理事の箕浦龍一さん。今回は、「濃厚民族に自ら会いに行こう!」がキーワード。官民連携ワーケーション成功のカギついて語ります。
なぜ今「官民連携」なのか? 社会の変化に立ち向かうための共創すべきこと
ソトコト 箕浦さんが推進されている「官民連携ワーケーション」について、さらに伺っていきます。なぜ今、ワーケーションにおいて、官と民の連携が重要なのでしょうか?
箕浦 世の中の変化のスピードに対して、日本の企業や行政の対応力に大きなギャップが生じているからです。今の時代、組織や地域の中だけで対応しようとしていることは、リスクでしかない。中に閉じこもってしまうことへのリスクは非常に大きいんですね。
ソトコト 興味深いお話しです! もっと詳しくお聞かせください。
箕浦 例えば、自治体だけでは多様化する地域課題を解決するリソースやアイデアが不足しています。一方で民間企業も、都心のオフィスの中にいるだけでは社会のリアルな課題が見えず、新しいビジネスの種を見つけにくくなっています。何より、組織の中や会社の中に閉じこもっていては周りの世界の変化に気づけません。世の中で起きていることやリアルな情報から取り残されていくだけです。周りの仲間たちも、毎日同じ風景しか見ていない…その中で新しい成長や学ぶには、どうしても限界が出てきます。
ソトコト そこに大きなリスクを感じますね!
箕浦 だからこそ、官と民が互いの垣根を越えて「混じり合う」ことが、とてもとても重要なんです。ワーケーションは、地域の現場という「リアルな場」で官と民が交わり、共に社会課題に向き合うための「共創のプラットフォーム」として最適な手段だと考えています。

リアルな場で共創を生み出すこと…
それが社会課題解決の糸口に!
自ら外に出ていこう! 民間企業と自治体それぞれのワーケーション事例
ソトコト ワーケーションを取り組んでいる民間企業で、どんな企業に注目されていますか?
箕浦 人材育成の観点で地域との関係性を作っているリクルートやJALです。あとはサイボウズです。サイボウズでは「100人100通り」という社内制度を打ち出しました。どこで働いてもOKで、副業も緩やかに認める制度を掲げて、注目されました。現在はさらに新しい指標へと切り替わっています。働き方の多様性を前提とした上で、社員一人一人の自律性を重視しています。実際に彼らの社員の中には、地域に深く入り込んで活動し、そこで得た知見や人脈を会社にフィードバックしています。そんな良い循環を生み出している社員が多く働いています。
ソトコト 自治体での事例は、いかがでしょうか?
箕浦 長崎県五島市や富山県魚津市の事例が面白いです。例えば五島市は、外部の企業としっかり協力体制を組みながら、単なる一時的な滞在にとどまらず、訪問前からオンラインで関係性を深め、移住に直結するような「濃厚なコミュニティ」を何度も継続的に作り上げることに成功しています。また、私がよく訪れる魚津市も、地域の外にいる人たちとの関係性をとても丁寧に築き上げています。

丁寧な関係性を作り、
濃厚なコミュニティを作ることが、
官民連携のカギ!
閉じこもっていては誰も来ない! 地域の「農耕民族」に会いに行ってみよう!
ソトコト 魚津市のお話が出ましたが、箕浦さんご自身もよく魚津市を訪れていると伺いました。
箕浦 ええ。魚津市に行く理由の一つは、やっぱり「知り合いがいるから」なんです。観光で何かを見に行くだけではなく、「誰かに会いに行く」。これがワーケーションの重要な要素であり、地域コミュニティの活性化に繋がります。そしてこれは、来訪者を受け入れる地域の方々にも言えることです。
ソトコト 人を地域に呼ぶだけでなく、自らも他の地域に足を運んで、個人的な関係性も築くことが大切ということですね!
箕浦 そうです。例えば魚津市の地域協働課に所属する池川雅美さんは、自分の地域に人を呼び込むだけでなく、自ら他の地域のワーケーションやコミュニティに足を運びました。そこにはワーケーションの「濃厚民族」とも言える濃密なコミュニティがあって、彼女が顔を出し、そのコミュニティとつながったことで、その他の地域の「濃厚民族」たちが池川さんに会いに、魚津市に集まるようになったんです。自治体の担当者も、自分の地域に呼び込むだけでなく、自ら外に出て他地域、他者と繋がることが、一番重要だと思います。(後編に続く)
前編
ワーケーションを推進するために国家公務員を辞職! 官民連携ワーケーションの新しい夜明けは、ここから始まった!【ローカル×ワーケーション㉗】
後編
大事なのは多様性を認め合うこと! 定年=社会からの卒業にしたくなければ、ワーケーションで地域に出かけよう!【ローカル×ワーケーション㉙】

長崎県千曲市でのイベント。
地域にワーケーションで訪問してもらうためには、
まず自分たちから各地域に赴き、
「知り合い」を作りに行くことが大切。
【箕浦龍一プロフィール】
1991年総務庁(現総務省)入庁。働き方改革等で実績を上げ、2021年に退職し、独立。一般社団法人官民共創未来コンソーシアム上席理事、一般財団法人地域活性化センターシニアフェローとして全国の地域活性化や人材育成に尽力。
【一般社団法人日本ワーケーション協会プロフィール】
ワーケーションを通した「多様性が許容される社会実現」を目指し2020年7月に発足。300を超える会員(自治体・企業・個人)とともに、様々な取り組みを行っている。











