長野県在住のラーメンライター、たこにわです。ラーメン食べ歩きは40年以上、北は旭川、東は根室、西は長崎、南は石垣島まで訪麺しています。47都道府県制覇しました。僕は、ローカル色があり地道に頑張っているお店をみなさんにご紹介していきます。
「幸福の黄色いハンカチ」の北海道夕張市
4月半ばというのに、来た日に何と雪が舞った。
天気予報で「一時雪」となっていて、まさかと思ったが、冬に逆戻りした日だった。
夕張市は北海道の道央に位置し、空知地方に属する市。
1990年に全ての炭鉱が閉山してから人口が流出し、市の財政破綻もあって、「財政再生団体」に指定されてしまった市でもある。
そんな夕張市であるが、「夕張メロン」の産地として有名である。
また、1977年の日本映画のロードムービーとしての代表作「幸福の黄色いハンカチ」は夕張の炭鉱住宅がロケ地になっている。映画ファンなら、一度は来てみたい場所だろう。
今回は、夕張出張でお世話になった方に、ランチの場所として連れて行って頂いたお店「バロン」を全国にご紹介したい。
寂しげな入口も中に入ると温もりの「バロン」
土地勘がまったくない筆者は、「バロン」のある場所を説明できない。
なんとなく、集落がある感じのところにお店があったという記憶だけである。
入口は何となく寂しい感じだが、中に入ると琥珀色の壁で温かみのある雰囲気を感じる。
地元の方が、座りながらゆっくりとおしゃべりしたり、食事を楽しんだりできる空間だ。
郷愁を強く感じるお店である。
豊富な種類のラーメン
「ここは、カレーそば・うどんが人気だけど、カレーラーメンも美味しいですよ」と言われ、ラーメンライターとすれば「そば・うどんよりラーメンかな」と麺類のメニューを見る。
味噌を筆頭に塩、醤油など様々な種類のラーメンがある。
ラーメン以外にはカツ丼など各種定食メニューも豊富だった。
北海道は「味噌」と「カレー」が鉄板!
札幌は味噌、旭川は醤油、函館は塩、とよく言われるが、この日はとても寒い日だったので、迷わず味噌を選択。そして、オススメの味噌カレーラーメンを注文した。
注文して数分後に、褐色鮮やかなスープのラーメンが到着した。
濃厚な味噌にカレー、一口めに「これは美味い!」と絶叫。
味噌とカレー、二つが力を合わせて、この上ないコクを出している。
このコンビは最強ではないだろうか。
大げさだが、日本人に生まれてよかったと思える味噌カレースープである。
喉越しのいい縮れ麺
箸ですくい上げると、黄色い縮れ麺が現れた。
喉越しがよく、すっと胃袋に流れ込んで行く。
一緒に食べたメンバーも黙々と麺に向かう。
麺を啜(すす)る音だけがお店の中に響く。
体の芯から温まるラーメン
止められない止まらない!とは、かつて、あるスナック菓子のCMで流行した。
今、まさに、それと同じ気持ちだ。
特にスープは、残すのがもったいない感じだった。
そして、知らぬ間に筆者も、一緒に食べた地元の方も額から汗を流していた。
芯から温まるラーメンに降参である。
見て、遊び、体験する夕張市
飲食店がさぞかしたくさんあったことだろう。
ピーク時の人口は約12万人(昭和36年)だったのが、「現在は6,600人になってしまった」と言うから、飲食店が限られている。
そんな中でも、バロンのようなお店が地域に根付いているのはローカルラーメンを探訪する筆者にとっては嬉しい限りだ。
夕張市には夕張メロンだけではなく、日本で唯一の石炭博物館、幸福の黄色いハンカチ想い出広場、静寂で神秘的なシューパロ湖、巨大な夕張シューパロダムなど、他の都市にはないユニークな名所がある。
新千歳空港から車で約1時間、「見て、遊んで、体験する場所」として、ぜひ夕張に足を運んでみたらいかがだろうか。もちろん、ランチはこの「バロン」で。
*店舗情報・メニュー内容は取材時点の情報でございます。