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群馬県南牧村の名物パンが復活!「とらのこぱん」のあゆみ

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群馬県の中でも人口流出が進み、消滅する可能性があると言われた甘楽郡南牧村に県内外問わず多くのファンに愛される「とらのこぱん」があります。村をはじめさまざまな方の協力や試行錯誤を繰り返し、一度は途絶えた南牧の味を復活させ、現在でも進化を続けるご当地グルメです。地元を元気にする可能性を大いに秘めた「とらのこぱん」をご紹介したいと思います。

「とらのこぱん」は、2023年8月15日をもって閉店しました。詳しくはこちらをご覧ください。
https://www.jomo-news.co.jp/articles/-/329534
目次

緑豊かな山々と清らかな川、何よりも人が温かい南牧村

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「とらのこぱん」が作られている南牧村は、群馬県南西部の山間部に位置し、黒滝山や荒船山などがそびえ、清流南牧川が流れる風光明媚な場所。また美しい滝も多く、観光客や登山客に人気の自然豊かでのどかな村には信号がありません。

人口およそ1,600人(2020年の国勢調査による)の南牧村は、2014年のシンクタンク会議の報告で「消滅可能性都市」として発表されたほど、過疎化が進んでいました。しかし、村民が住みやすいようにと村の福祉サービスなどに取り組み、人口の流出の傾向は緩やかになっています。

南牧村には行き合うと声をかけてくれるアットホームな方が多く、人の温かさを感じられる地域です。また空き家バンクなどのサービスも充実しており、移住を考えている方にとって生活しやすい地域という印象を受けます。

一度は途絶えた南牧名物パンの復活ストーリー

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この南牧村で一度は途絶えたとらパンの二代目「とらのこぱん」の復活ストーリーご紹介していきましょう。

今は無き、絶大なる人気を誇った初代名物「とらおのパン」

かつて南牧村には「とらおのパン」と呼ばれる名物パンがありました。中澤虎雄さんという長年林業や炭焼きをされていた方が『パン工房 湯の沢炭小屋』でレンガと石でできた窯で焼き上げていたものです。焼きたてのパンは「道の駅オアシスなんもく」に並び、休日には県外の方で賑わうほど多くのファンを持つ大人気のパンでした。

虎雄さんが体調を崩され、2021年春に村へ石窯のある小屋を寄付した後、お亡くなりになりました。お一人で作られていたパンのレシピは残されていなかったため、とらおのパンの味が途絶えてしまいました。

石窯を受け継ぎ「とらのこぱん」作りが始まる

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村が石窯のある炭小屋の借り手を募集した所、『株式会社サンエイト企画』が手をあげました。神奈川から南牧村に移り住まれた古川さんが営んでいる会社です。これを機に石窯に火が灯り、新たな挑戦ともいえるとらのこぱん作りが始まりました。

現在はお二人のパン職人の方が、虎雄さんが愛用していた炭小屋の石窯を引き継ぎ、二代目となる「とらのこぱん」を焼き上げています。ちなみにパンを焼く炭には、地元の木をメインに使用しているのだそうです。

外はカリッと中はふわもち! 優しい味わい「とらのこぱん」

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こちらが「とらのこぱん」。表面にはしっかりと焼き色がつき、とらの模様がモチーフとなった愛らしいパンです。フランスパンのように思えるかもしれませんが、まったく違います。
外はこんがりカリッ、中はふわふわもちもち。発酵した生地がふんわり規則的に詰まっていて、程よい弾力。味はとてもやさしい甘さで、まろやかに口の中に広がります。

石窯で焼かれているため、香ばしさが口から鼻に抜けていきます。素朴なおいしさとこだわり、そして暖かさがぎゅっと詰まった、ほかでは入手できないご当地名物グルメです。

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「とらのこぱん」道の駅販売価格:390円(税込)
まずはそのままパン自体の美味しさを味わってみてから、ジャムやバターなどを塗って楽しんでみてくださいね。

焼きたてを提供したい!パン作りのこだわりのスケジュール

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とらのこぱんの販売日は金・土・日曜日。「おいしいうちに届けたい!」という気持ちから、販売日の朝に焼きあげます。パン工房での作業は早朝から始まります。
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朝陽が昇る前から石窯に薪を入れ、窯に熱が入るまでの間に生地をこねて成形します。そしてパン生地を入れて焼き上げること1時間弱。一度に数多く焼けないため、数回に分けて100〜150個ほどのパンを作っています。

パンが焼き上がったら納品や店舗販売の準備をします。出来立てをおいしく食べてほしいというこだわりと熱意が伝わってきます。

試行錯誤と新たなチャレンジ

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とらのこぱん作りにはさまざまな試行錯誤があったとパン職人のお二人は語ります。

まずはレシピ。パンの作り方が何も残されていなかったので、当初はかつてのパンについていたシールにかかれた原材料と自分たちの舌を頼りに、とらおのパンに極力近づけるよう研究を重ねました。

またとらの模様を入れる際の力加減にも神経を使い、試行錯誤ののち現在のとらのこぱんが産声をあげたのだそう。お客さんの「懐かしい! 美味しい!」という言葉や笑顔、また窯を寄付してくれた虎雄さん、そして応援してくれる地元の方にも喜んで欲しいという想いがあって、数々の苦労を乗り越えることができたのでしょう。

新たな取り組みとして、ギフトでパンをもらった人が喜んでもらえるように、可愛らしい「とら」のキャラクターをあしらった紙袋の導入も考えていらっしゃるそうです。

パンを通じてお客さんやその先の人たち、そして南牧村に笑顔があふれるように、今後もアイデアあふれる取り組みから目が離せません。

味を受け継ぐ熱意と愛が、地域を元気にする

虎雄さんの遺志を後世に繋げるため、まずは虎雄さんに追いつきたいというパン職人のお二人。

古くからのファンも多く、偉大なとらおのパンの味を受け継ぐということはプレッシャーがあり、ゴールが見えなくなることもあるそうですが、続けていくこと自体がゴールなのかもしれません。また、とらのこぱんがおいしくなったというお客さんの言葉に元気づけられ、より一層パン作りに熱意が入る。もしこのパンが途絶えた時、とらおのパンのように惜しまれるような存在になりたいとおっしゃっています。

プレッシャーなど大変ことも少なくないとは思いますが多くの方の協力の下、「南牧村名物の味を引き継ぎ守り続けていきたい!」 という熱い思いが、この地域を元気にする大きな可能性を秘めているのではないかと強く感じた筆者なのでした。

とらのこぱんの販売場所や時間について

とらのこぱんは下記2か所で、金・土・日曜日に販売されています。
まずは「道の駅オアシスなんもく」。村の入り口にあり、裏には南牧川が流れます。地元の名物や新鮮野菜、村のお母さんたちが作った手作り惣菜なども店内にたくさん並びます。

そしてパン工房。併設の石窯や薪が積まれている風景も見られます。看板が出ていればパンを購入できます。

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道の駅オアシスなんもく
住所:群馬県甘楽郡南牧村大字千原3−1
電話:0274−87−3350
営業時間:9:00〜17:00
HP:http://www.nanmoku.ne.jp/modules/oasis/index.php?content_id=4
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とらのこぱん工房

住所:群馬県甘楽郡南牧村檜沢935−5
時間:7:00頃〜売り切れ次第終了
Instagram:https://www.instagram.com/toranoko_pan/
※人気商品のため早い時間に完売してしまうこともあります。

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