千葉に本店を持ち、GINZA SIX、錦糸町PARCO、千葉エキナカ、清澄白河などでお酒のセレクトショップ「IMADEYA」を展開する株式会社いまでやは、近年衰退傾向にある「焼酎業界」を発展させる新たな可能性として、以前から樽熟成の魅力に注目。錦糸町PARCO内の店舗にて、自家樽熟成を行った焼酎をハイボールを中心とした飲み方で提供を行ってきました。
家飲み需要の増加によって、ウィスキーや缶チューハイの消費量が伸びる中、焼酎は年々減少傾向に
国産ウィスキーにおいては、2009年頃からのハイボールブーム、世界的なウィスキーコンペティションでの度重なる賞の獲得、2014年にNHKで放送された連続テレビ小説「マッサン」の影響も大きく、「山崎」「白州」「響」「竹鶴」といった代表的な銘柄は、深刻な原酒不足による慢性的な品薄状態が継続。
また、チューハイは元々は焼酎ハイボールを略した言葉ですが、その原料に焼酎が使われていないことも多く、現在はウォッカ(スピリッツに分類)が主流となっています。また、原料に焼酎が使われていたとしても、焼酎甲類(無色透明でクセのない味わいで、チューハイやカクテルに適している)が多く、本記事における焼酎が示す「焼酎乙類(芋、麦、米、黒糖など素材の風味を活かした焼酎)」は製品化された缶チューハイに使われることは少ない現状にあります。
上記の要因もあり、焼酎は深刻な消費不足の時代を迎えています。いまでやにおいても、焼酎の売上構成比は2011年から2021年の10年で、21%から7%まで減少しており、2016年から焼酎の売上・構成比が減少を開始。また、2020年以降の新型コロナウイルス感染症の影響による外食業界(外飲み)への大きな打撃によって、さらなる苦境に立たされています。
この状況を変えるために、いまでやは兼ねてより着目していた焼酎の新たな可能性「樽熟成」の魅力を改めて発信していくことを決定しました。
焼酎の新たな可能性、世界のウィスキー市場に見られる「樽熟成」による付加価値表現
しかし、日本の酒税法では樽熟成による焼酎の「色合いの濃さの制限」があり、樽熟成によって色が付き過ぎた焼酎は苦肉の策として「熟成させていない原酒とブレンドして色の濃さを調整」、または「微量の食品添加物を入れてリキュールとして出荷」という対応をとらなければならず、焼酎蔵が最大限にその可能性を追及することが難しい環境にあるのです。
一方、世界市場ではスコットランドの『マッカラン蒸溜所』、『グレンフィデック蒸溜所』をはじめ、世界の誰もが認めるシングルモルトウィスキーの生産者が、樽熟成の可能性を模索し、常に市場に付加価値を訴求し続けています。近年、日本国内においても、国産ウィスキーが注目されている中、日本が誇るべき蒸溜酒「焼酎」の魅力を高める1つの手段として樽熟成の追及は必要不可欠だと考えています。
樽熟成焼酎に特化した店舗を錦糸町PARCOにオープン
同店舗では現在、焼酎をはじめとする8種類の国産蒸溜酒を店舗内で自家樽熟成させ、幅広い層にその魅力を感じてもらえるようにハイボールを中心とした飲み方で提供しています。
4周年を迎える2023年3月中旬には、自家樽熟成にさらに4つの銘柄を追加し、リニューアル予定。この機会に樽熟成から生まれる奥深く、複雑な味わいをぜひお楽しみください。
提供中の樽熟成焼酎 例
元々樽熟成されて出荷された焼酎を店内でさらに樽熟成。甘美なバニラ香が心地よく広がり、ハイボールで飲んでいただくのがオススメです。
樽熟成することで麦チョコレートのような甘く芳ばしい香りが高まり、食欲を刺激します。個性的な味わいにリピーター続出。