昆虫は世界中で古くから食べられており、貴重なタンパク源として一部地域では飢餓対策の一つとして重要な役割を果たしてきました。現代ではその定義は幅広くなり、昆虫を主成分とした食品や料理のことを広く「昆虫食」と呼ぶようになっています。
しかし普及しない理由として、一般的な食材とは異なる見た目や食感があり、それが抵抗感を引き起こす要因となっているのに加え、昆虫の独特な風味や味わいと安全性への懸念も加わり、現代の食文化に合わないと感じている人が多いのが現状です。
筆者自身も養蜂をしており、採蜜時に蜂の子をおいしく食べたりしますが、やはり一般的ではないと感じます。
ですが、昆虫の栄養価は高く評価されており、チョコレートやカレーやパンなどに加工する技術を持った食品のベンチャーの参入も活発であることから昆虫食に対する期待値は高まっています。
さらに、食材としての観点だけではなく、カイコ由来のタンパク質を用いた経口ワクチン、昆虫を使った健康食品やサプリメントの開発など、広い範囲で新たなテクノロジーの研究・開発が行われるようになり、こういったことから、さらなる「昆虫食開発への突破口」が開かれるはずです。
今後、ベンチャー企業だけに限らず、大手企業の参入が増えてくることによって、昆虫食の未来はますますおもしろくなってくると思っています。
森田隼人|もりた・はやと●1978年生まれ。プロボクサーや公務員を経て、現在、『六花界グループ』オーナーシェフ。農林水産省「料理マスターズ」叙任料理人。