みなさんのおうちでは、「大晦日」に何を食べて過ごしますか? 年越しそば、お肉、お寿司……。などなど、全国からの声が聞こえてきます。中でもやっぱり一年の締めくくりに「年越しそば」という人は多いと思います。しかしながら私の住む北海道では「大みそか」は一年で一番「寿司」が売れる日! 回転寿司屋さんでは、あまりの売れ行きに通常営業をストップし、テイクアウトのみ対応の店舗が続出。スーパーのお惣菜コーナーでは、ここぞとばかりに寿司・寿司・寿司が並びます。そして飛ぶように売れていく。そんな北海道の大みそか食文化をご紹介します。
※この記事は2020年12月31日に紹介した記事を、季節に合わせて再度ピックアップしてお届けしています。情報は当時のものですのでご注意ください。
お寿司バカ売れのナゾに迫る
北海道はおいしいものであふれています。海鮮、新鮮野菜、お米、地場肉など。豊富な食材を地元で消費することは、地域活性化にも大切なことですね。コロナ渦で今年は観光客が激減していますが、例年は食い倒れツアーを企画して訪れる観光客も多く、今年は泣く泣く諦めたという方もいることでしょう。そんな食の宝庫、北海道で「大みそか」にお寿司が売れまくりの理由とは?
ナゾの理由は「年取り膳」
北海道で大晦日にお寿司が売れまくる理由は、「年取り膳」という江戸時代からの風習の名残だと言われています。一年の無事を年神様へ感謝し、新しい年神様をお迎えするために、お供えした膳と同じものを家族で食べてお祝いする日本の風習です。
旧暦では日没すると一日がはじまるといわれていたため、31日の日が沈めば元旦になるという考え方がありました。そのため、海産物が豊かな北海道では大晦日からお寿司や、おせち料理を食べる人も多いということです。北海道では七夕祭りやお盆も旧暦で祝う場所が多いので、伝統にもとづいて継承されているということがわかりました。
写真を提供してくれた道内在住の木村さん。大みそかはごちそうが並ぶので、年越しそばはお腹いっぱいで食べられないという理由から、元旦にお雑煮と一緒に食べるのが定番だそうです。移住者も多い北海道なので、すべての家庭には当てはまりませんが、実家がある人にとっては「年取り膳」を囲むのは見慣れた光景だったんですね! それにしてもにぎやかでおいしそうです。
発酵飯の飯寿司もお忘れなく!
ほかにも、北海道や東北地方では冬の郷土料理「飯寿司」も年末年始の定番。
「飯寿司」とは、魚と野菜を米麹に漬けて、乳酸発酵させた寿司のこと。ホッケやサケ、ハタハタ、ニシン、サンマなど北海道でとれるさまざまな魚が用いられています。低温発酵でつくられる「飯寿司」は、北海道や東北地方では冬の伝統的な保存食として知られています。かつてはどの家庭でも漬け込んでおり、食べごろになった正月に食べることも多かった一品。現在では手間と時間がかかるため、スーパーマーケットなどで購入する人が増えています。
今年一年の無事に感謝し、新たな年をお祝いするための「年取り膳」。それぞれの郷土料理や好きなものを取り入れてみるのも楽しいですね。皆さんも是非、美味しい時間と笑顔の中で新しい年をお迎えください。