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連載 | Web3.0でつくるローカルの未来

全てがオンチェーン上にある都市運営を実現する「CityDAO」とは?

ローカル×Web3.0編集部

ローカル×Web3.0編集部

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この記事では「CityDAO」と呼ばれるプロジェクトについて深堀します。CityDAOはDAOとして実際の土地を購入し分散型で都市を作っていくことをビジョンに掲げたプロジェクトであり、これからの時代の都市運営の参考になる事例です。

この連載企画は、国と地域を問わずローカルでの活動にWeb3.0の技術や思想を活用している事例を紹介するメディア『ローカルWeb3』からのコンテンツ提供でお届けしています。当記事は『ローカルWeb3.0』にて、2023年10月14日に公開されたものを再編したものです。

目次

CityDAOの概要

CityDAOは「オンチェーンでコミュニティが統治する未来の暗号都市を建設すること」をミッションに掲げ、web3を活用しながら都市の運営を行うプロジェクトです。実際にアメリカワイオミング州の土地40エーカー(16ヘクタール)を購入しています。地形は岩が多く、特に肥沃なわけではありませんが、この区画は空港から 45 分で、敷地内に水用の井戸があります。

https://city.mirror.xyz/1brVmH5HPJ5gLtIEfzIiJj6od81eUCdkJYm7m10V1Aw

購入した土地にはまず初めにCityDAOの旗が掲げられました。

https://city.mirror.xyz/1brVmH5HPJ5gLtIEfzIiJj6od81eUCdkJYm7m10V1Aw

ワイオミング州は”DAOに関する法律”が世界に先駆けて制定された州であり、DAOをLLC(有限会社)として法人格を持たせることができます。CityDAOはワイオミング州でDAOとして登記されているため、CityDAOとしてこれらの購入した土地を保有しています。

この最初に購入した土地は「PARCEL 0」というプロジェクト名が名付けられ、950の区画に分割されてNFTとして販売されています。これらの土地はChainlink VRFを活用して現実資産とリンクされており、その抽選販売時にも役立てられました。

https://www.citydao.io/

土地の保有者は自身が1人でNFTを保有している場合、法律やDAOの規約に反しない限り、自由に使うことができます。建物の建設等で収益を自由に収益を上げることも可能です。1つの土地を分割して保有している場合は保有者の合意によって利用用途は決定されます。ある人はとりあえずベンチを設置して遊んでいました。

CityDAOの発行するNFTの仕組み

ではより詳しく発行しているNFTやガバナンスの仕組みについて見ていきます。

市民NFTと土地NFT

まずCityDAOが発行しているNFTは大きく分けると2種類存在します。

・市民NFT(Citizen NFT)
・土地NFT(Land NFT)

市民NFT
市民NFT保有者には、土地ドロップなどのCityDAO活動への早期参加、市民専用Discordチャンネルへのアクセス、投票権の付与がユーティリティとして存在します。基本的にCityDAOは全ての活動が投票によって決定しているので、市民NFTはその投票権となります。また、市民NFTの中にも以下の3種類存在します。

(種類:発行枚数)
Citizen:10,000
Founding Citizen:50
First Citizen:1

合計10,051個が存在し、2023年7月時点ではFounding CitizenとFirst Citizenは完売し、Citizenは4,895個が売れています。

https://www.citydao.io/citizenship

一般的な「Citizen」は上述したユーティリティと同様です。50個の「Founding Citizen」は基本的なユーティリティはCitizenとは変わりませんが、土地NFTへの更なる早期アクセスやコミュニティへの早期参加権がつきました。そして、限定1個販売の「First Citizen」には、コミュニティの承認投票を条件として、最初の区画に名前を付けることができる権利が付与されました。NFTはオークションで販売され、最終的に6.52ETHで落札されました。

https://city.mirror.xyz/mZOpFWkTi0M2lVE1PsT1e2sJwdUT4PdgetHw_S4hS5A

土地NFT
土地NFTは前述した通り、具体的な土地に紐付きその利用権を証明するNFTです。基本は1区画1人のオーナーですが、より流動性を向上させるために1つの区画を分割保有するプロジェクトも動いています。土地NFTの保有者はCityDAO, LLCの子会社であるParcel Zero, LLCとライセンス契約を締結します。この土地NFTはあくまで利用権を認めるNFTであり、その土地の所有権の移転ではありません。

https://city.mirror.xyz/ClTclr9uF6818MjoNjNSMCRLGH-YtIiJKeYNHWJFKAk

第一弾の「PARCEL 0」のNFTは市民NFTホルダーの中から抽選で無料でエアドロップされました。尚、保有するNFTの種類によって請求できる個数は異なります。

Citizen:1
Founding Citizen:3
First Citizen:10

ガバナンスの仕組み

基本的には3種類のCitizen NFT保有者によって全ての意思決定が行われます。各NFTの売上がトレジャリーに保管され、DAOの投票によって可決、利用されます。また、ギルド(※)制度が存在し、メンバーは自身が協力できて興味を持っているギルドに所属して活動します。各ギルドには定例MTGも存在し、その日程やMTG議事録も全て公開されています。※ウェブデザインや資金調達などテーマごとに作られているCItyDAO内の分科会

https://www.citydao.io/guilds-c

これからの展望と考察

DAOとして運営されているので明確なロードマップが公開されているわけではありませんが、今後も保有する土地を増やし、DAO的に運営する都市を作っていくことが大きな目標として掲げられています。また、現在の主なプロジェクトとしては以下のものが存在します。

・PARCEL 0:最初に購入した土地運営プロジェクト。
・Baby PARCEL:2つ目に購入した土地運営プロジェクト。
 より流動性を高めるために小口化しての販売を行なっている。
・専用NFT マーケットプレイスの開発。
・t0wn:現在の目玉プロジェクトの1つ。以下に詳細を記載。

20~30のDAOが資金を出し合い、大規模な不動産を購入して共同統治する「t0wn」というプロジェクトもスタートしています。それらの不動産はDAO間のコラボレーション施設として、ミートアップや合宿などのリアルイベントの開催にも利用される予定です。

https://pitch.com/v/t0wnwebsite-pi3ffx/4b836a1d-2e4a-4983-b8a1-71a91e04d98d

いずれにせよ、全てがオンチェーン上にある都市運営は非常にワクワクする取り組みですね。以前にも考察しましたが、NFTを活用することで利害関係を持った関係者を増やすことができるので、DAOで土地を購入し、その用途を全員で考えていくという在り方はまさに次世代の都市運営の1つのモデルケースとなりそうです。

地方創生×NFT完全ガイド | localweb3

NFTホルダーは自身が保有するNFTの価格が上がることが嬉しいので、全体の都市が壊れることはしませんし、自身の土地はもちろん他の土地が盛り上がることにコミットします。その行動が結果的に全体の価値向上に繋がり、自身のNFTの価値向上にも繋がります。

そう考えると都市運営はもちろんですが、テーマパークの建設及やお祭りの開催などもDAO的に運営することができるかもしれません。地方には土地はもちろん、古くからある伝統行事や伝統的な建物が多く眠っているので、それらをDAO的に運営することでより多くの人がグローバルで関わる事例を生み出せる可能性があります。

日本ではまだDAOが法人格として認められないので、法律的な問題はありますが、参考になる事例だと感じました。

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