【ソトコト×ヤモリの空き家エコノミー連載】第2回目(前編)。日本の各地域を再生して、地域を活性化、関係人口を推進していくプロジェクトが「ソトコト×ヤモリの空き家エコノミー」。毎回ゲストを迎えてソトコトと一緒に対談。
日本の築古戸建ての再生賃貸事業を手掛ける株式会社ヤモリ代表の藤澤正太郎さんが毎回、ソトコトと一緒にゲストを招いて、日本の各地域の空き家から推進する地域活性化、関係人口作り対談。
第2回目は、福島は会津でGIRO米を作っているジローラモさんと一緒に、前編、中編、後編に渡り、空き家×農業が生み出す、空き家エコノミーと地方創生の可能性を探ります。
イタリアの家は、建て直しでなく、修復文化
藤澤 こんにちは。今日はヤモリの空き家ロケに、スペシャルゲストでジローラモさんが来てくれました! 東京にある空き家なんですけど、見てどうですか?
ジローラモ 日本って「建て直し」が多い文化だけど、イタリアは「修復」する文化なんですよ。建てられた当時の良さを残しながら直していく。僕はそういうイタリアの修復文化が大好きでカッコいいいと思います。
藤澤 この物件、900万円で購入しました。この価格について、どのような印象を受けますか?
ジローラモ 安い! 東京の不動産価格って異常に高いから、900万円なんて信じられないくらい低いです。しかも、この家のいい部分はそのまま活かしてリノベーションしたら、絶対にカッコいい! 全国にこういう空き家たくさんありますよね?
藤澤 まさに今、2025年5月の時点で日本全国に120軒ぐらい購入している最中なんですよ。地域の空き家を買って再生して、地方創生を活性化する取り組みをしています。

中古の家に残された家具を再活用することに価値がある!とジローさん
藤澤 では、さっそく家の中をご案内します。1階のリビングキッチンから始めます。
ジローラモ 僕ならこのキッチンにオーブンをつけますね。日本の家のキッチンの調理スペースってコンロと魚グリルだけが多いけど、料理好きの僕としては小さくてもいいからオーブンが欲しいです。 こういうリノベーションに今の生活に必要な設備をプラスすると、より住みやすく快適になりますね。
藤澤 では、次にお風呂はどうですか?
ジローラモ このお風呂場の床が昭和っぽくて、逆に新鮮でお洒落です。最近はユニットバスばかりで味気ない。逆にこういうタイルを活かし方が雰囲気があり、空間のいい味になる!

藤澤 空き家をカッコよくリフォームするには、どんな家具が必要ですか? 例えば高級感のある家具とか……。
ジローラモ 全然そんな必要ない。むしろ普通の家具の方がいい。高級じゃなくていいんです。日本の中古家具はすごく良いモノがたくさんある!
藤澤 僕もメルカリで中古の家具を探したりします。この家も、前の住居者が部屋のスペースに合わせて大工さんが家具を作ったようで、空間に収まりがいいんです。
ジローラモ この棚はあと10㎝大きかったら邪魔になる…絶妙なサイズで設計がされていますね。大工さんがこの家を建てている時に、一緒にこの部屋に合わせて作ったのがひと目見てすぐにわかりました!

空き家リフォームも、お金じゃなくてセンスです!
藤澤 和室はどうですか? 畳はまだまだそのまま使えるくらい美品だったので、表を裏返しにした「表替え」にして再活用しています。
ジローラモ 和室の畳の匂いって落ち着きますね。この和室には床の間があって、すごく和の雰囲気があるので、この良さを活かしたい!
藤澤 こういう部屋なら、特にそのままあえて新しくしない方がいいですよね。
ジローラモ そう、新しくすればいいってもんじゃない。その家が持っている本来の良さを活かした方が全然カッコいい。屋根も雨漏りしてないから、そのままちょっと修復だけすればいい。手をかけすぎずに、センス良くまとめる…それが一番。まさに雑誌のコピーじゃないけど、お金じゃなくてセンスです!(次回、中編に続く)
中編はこちら
ジローラモ さんのGIRO米とヤモリの空き家プロジェクトが組んだら、地方創生の最高コンテンツになる!?【空き家エコノミー⑤】

【パンツェッタ・ジローラモ プロフィール】
プロデューサー、実業家。雑誌LEONの表紙でもお馴染み。イタリアにいた頃は歴史的建築物を修復する建築士だったジローさん。最近、福島は会津に中古住宅を購入し自らリノベーションし、会津でGIRO米を作っています。GIRO米は、ジローラモ氏が主宰する有機米プロジェクト。単にお米を作って販売するだけでなく、地域と人が繋がる場を創造し、日本の地方創生を推進。
【藤澤正太郎プロフィール】
株式会社ヤモリ代表取締役。2011年に慶應義塾大を卒業後、三菱商事株式会社に入社。インフラ事業の海外案件とアセットマネジメントに従事。南米チリに4年間駐在。その後、NY本社の不動産ユニコーン企業であるKnotel IncのJapan GMを務める。2018年に株式会社ヤモリを創業し、日本の中古戸建て市場の活性化を通じた地方創生を目指す。