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多様性

連載 | ゲイの僕にも、星はキレイで肉はウマイ

ちびっ子たちは、遊ぶことの価値を知ってる。

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僕はLGBT関連の活動として、WEBサイト「やる気あり美」の運営や、こういった執筆活動以外に、企業研修や講演会も行っている。先日は兵庫県神戸市で親子向けの講演会を開いていただいたが、これが、なんともまぁ刺激的だったので、今日はその話をしたい。刺激はしょっぱなからだった。

「“LGBT”という言葉を使わないで、お話ししてもらえませんか?」

講演会の主催団体の方から、最初の打ち合わせでこう提案された。イベントに来るのは主に小学校低学年以下のちびっ子たちだ。なるほど、たしかに彼らに“LGBT”という単語を出せば、その説明だけで1時間以上はかかってしまうし、このイベントのゴールはその言葉の意味を覚えてもらうことではない。「じゃあ、何がゴールだったっけ?」、そんなところからみっちり議論し、ひとつのクイズをやってみることに決めた。「この人、オトコ?オンナ?」クイズである。

これは文字どおり、スライドで写真を出して「この人は“オトコ”と思うか、“オンナ”と思うか」、みんなに答えてもらうというクイズだ。松坂桃李さんにはじまり、ブルゾンちえみさん、そこからマツコ・デラックスさんや、僕という流れで進めた。このクイズを通じて「いろんな“オトコ”、いろんな“オンナ”があるんだな」ということをとにかく感じてほしい、それが僕らの目的だった。取り上げる有名人も、ちびっ子たちにとって親しみのある人にすることで、強く実感を持ってもらえるんじゃないかと思った。

クイズは大盛り上がりで、みんなたくさん手を挙げてくれた。マツコさんの時は「オトコなんだよ〜!」と秘密をばらすかのように言う女の子がいたり、「お口が赤いからオンナだと思う」と立ち上がってくれる男の子もいた。「お洋服がオンナの人のだ」「ママがオトコの人って言ってた」、みんな思い思いの声を上げてくれた後、僕から「マツコさんは“オトコ”なんだけど、さっき出てきた人たちより、ちょっと“スペシャルなオトコ”って感じがするよね」と言うと、みんな頷いてくれていた。

クイズの最後は僕だったが、みんなそこまでに“いろんなオトコ・オンナ”に触れてきたから「え〜! お兄さんも〜!?」と混乱していておもしろかった。少しもったいぶって、「お兄さんは、男の人が好きなんだよ」と伝えたが、ほとんどの子たちが、なんともない話を聞いたような顔で「へ〜!」と言うだけ。つくづく子どもというのは純粋なのだと思い知った。講演後の交流会の時に、ある小学3年生の男の子に「今日の話を聞いて、どう思った?」と聞いたが「別になんとも思わへんかったよ〜! あそぼ〜!」とだけ返ってきたので、さすがに笑ってしまった。

そう、大事なのは「あそぼ〜!」なのだ。子どもたちはLGBTについて全然知らないし、その是非を評価するものさしなんて持っていない。人間同士に大切なことは、楽しい時間を一緒に過ごすことだと思う。LGBTは過去に、「病気」、そして「変態」として扱われてきた。時代が変わりつつある今、子どもたちにLGBTについて話せる立場にいることは、本当にありがたいし責任を感じる。セクシュアリティにまつわる話は「性」の話とされがちで「うちの子にはまだ早い」と言われたりもするが、本当は「アイデンティティ」の話であり、「人生」の話だ。今回そんなことが少しでも、なんとなく伝わっていればいいなと思う。

最後に余談だが、開催した会場は老人ホームも兼ねている場所で、お年寄りの方も聞いてくれていたのだが、ヒョウ柄のズボンをはいたおばあちゃんに「いい時代になったわ。これで安心して死ねるわ」と話しかけられて、「いや、死なんでもいいけどな」と職員の方がすかさずツッコミを入れていたのは最高だった。さすが関西である。

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