群馬の名湯「伊香保温泉」で行われる「伊香保まつり」は、伊香保に縁のある明治の文豪・徳冨蘆花(とくとみろか)の命日と、湯の神として崇められる「伊香保神社」の例大祭を兼ねて、毎年9月18・19・20日の3日間にわたり開催されます。徳冨蘆花を偲ぶ追悼イベントや、本神輿や樽神輿が揉み合いながら伊香保のシンボル石段街を上り下りする圧巻の神輿渡御を楽しめます。ここでは伊香保石段街が活気と熱気に包まれる「伊香保まつり」の魅力や催し物を紹介しましょう。
伊香保温泉のシンボル「石段街」周辺で開催
伊香保温泉の始まりは諸説ありますが、南北朝時代にすでに存在していたとの文献が残されています。古くから名湯として知られ、現在も温泉観光地として国内外から多くの人が訪れる人気のスポットです。
伊香保のシンボル「石段」は今から400年ほど前につくられ、改修を行い、現在はみかげ石でできた365段の石段となりました。伊香保まつりはこの石段街で行われます。
伊香保まつりの由来・見どころ
毎年9月18・19・20日の3日間にわたり行われる伊香保まつりは、石段の頂上に鎮座する「伊香保神社」の例大祭がきっかけで行われるようになりました。
伊香保神社の創建は不明ですが、榛名山信仰の古名として崇められ、いつしか現在の石段街の一番上に鎮座して、伊香保温泉の守護神として人々を見守り続けています。
御祭神は大己貴命(おおなむちのみこと)と少彦名命(すくなひこなのみこと)で、温泉・医療・商売繁盛のご利益があるとされています。835年の9月19日に名神大社となったことから、例大祭にあやかり伊香保まつりが9月19・20日に行われるようになりました。
戦後には、伊香保をこよなく愛した明治の文豪「徳冨蘆花」の命日9月18日も加えられ、現在の祭りの日程となったのです。
伊香保まつりの大きな見どころに神輿渡御があります。本神輿と樽みこしが熱気に包まれながら石段を上り下りする光景は圧巻です。
初日9月18日は徳冨蘆花の命日にちなんだ「蘆花祭」開催
伊香保に縁のある徳冨蘆花は、1868年(明治元年)に熊本県で生まれ、同志社で学び、小説や自然描写作品を執筆した明治の文豪です。代表的な作品「不如帰」で伊香保温泉をモチーフにし、伊香保の魅力を世に知らしめました。
伊香保の魅力にはまった蘆花は、ジャーナリストである兄の徳富蘇峰に伊香保温泉の千明仁泉亭(ちぎらじんせんてい)を紹介され、定宿にするほど伊香保に心を奪われました。晩年、病に伏した蘆花は1927年にこの離れで息を引き取りました。伊香保を愛した文豪を忍んで、祭りの初日には蘆花記念館で追悼茶会を、蘆花公園では追悼式が行われ、伊香保石段街に明治文学の風が吹きます。
夕方からは伊香保神社の境内で樽みこしの入魂式や、だんだん広場では保育園児から高校生たちによるまつり囃子や鏡開きが行われます。さらに、だんだん広場から関所まで樽みこしも繰り出します。
9月19日・20日は伊香保神社の例大祭! 石段街が祭りの熱気に包まれる
伊香保まつりの二日目、19日には子供山車が伊香保温泉石段街を練り歩きます。また、豪華絢爛な本神輿の宮出しや火入れ、そして伊香保神社の境内では本神輿渡御の儀が行われます。夜には伊香保神社を目指し石段をのぼっていく神輿渡御が見られます。さらに伊香保まつりの大きな見どころのひとつ、樽みこしも登場します。
樽みこしとは伊香保まつりの名物で、4本の丸太と酒樽を使って作られたもの。20代・30代の男性を中心に構成される若連と呼ばれる組織が毎年手づくりしているのだそうですよ。石段街中段のだんだん広場周辺で、子どもや男性たちが樽みこしを担ぐ姿が見られます。数百キロもの重さがある本神輿が石段街を練り歩く光景は迫力満点ですよ。
クライマックスを迎えるお祭り最終日、祭りは夕方から始まります。
この日は若連事務所から伊香保神社まで、樽みこしが365段の石段を担ぎ上げられる白熱の神輿渡御が行われます。急な石段を樽神輿が熱気に包まれながら登っていく光景は圧巻です。
深夜、樽みこしが伊香保神社に宮入り還御され、3日にわたる伊香保まつりが幕を閉じます。
また昨年の伊香保まつりの様子がYouTubeの「渋川市公式チャンネル」で配信されているので、チェックしてみてくださいね!
伊香保まつり開催情報
開催日:毎年9月18日・19日・20日
場所:群馬県渋川市伊香保町内・伊香保温泉街内
問合せ先:伊香保まつり実行委員会
TEL:0279-72-3151