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仙台のまちづくり活動のカギは「謎解きゲーム」にあり。その心は

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まちづくりに関わろう、地方の地域活性化をしよう、と言うのはたやすい。実際には人の問題、カネの問題、ハコの問題……数多の壁が立ちふさがる。実際に活性化できるかどうかというレベルではなくイベントひとつ実施するのも難しい、そういう苦悩を抱える人は多いだろう。だが、壁に悩み苦しむ人もいれば、その壁をアイディアと工夫で打破していく事例もまた、存在する。今回紹介するのは仙台市で活動する「謎杜(なぞもり)プロジェクト」。謎解きゲームとまちおこしを組み合わせて地域活性化をめざす団体だ。

目次

謎杜プロジェクトとは

町おこし

謎杜(なぞもり)プロジェクトは、仙台の街や施設を舞台にした謎解きゲームを制作し、地域活性化を目指す有志の団体。近年は一般社団法人まちくる仙台と協力し、年に一度「謎解き街歩き」と称したゲームを企画している。

ゲームはフリーマガジン状の冊子の形で配布され、参加者はそれを読みながら自由に謎を解いていく。解けた謎の答えを巻末ハガキに記載し応募すると、抽選で賞品が当たる仕組みだ。

ゲームの中の「謎」は、例えば商店街の床の模様を読ませたり、地下鉄の壁の装飾の色を確認させたり、老舗店舗の特徴的な看板を使ったものなど様々。いずれも見逃してしまいがちな風景で、謎を解くためには現地に向かい、そのモチーフを舐め回すように見る必要があるだろう。

この取り組みは地域のニュース等で取り上げられ注目を浴び、2018年度には冊子が仙台市内で1万冊配布されたが、どんどん参加者が増え3000冊を追加増刷。参加人数のべ1万人以上、プレゼント応募は600通を超えた。2020年の応募は1000通を超える勢いという。

仙台の「まち」の現状、若者の関わり方は

まちづくり

「仙台はいい街ですが、観光名所の知名度が低く、観光客の滞在時間も少ない。とくに若い人がまちづくりになかなか関わる機会がない。そういった課題を解決するために、街を使った謎解きゲームを作りました。謎解きゲームを好きな若い人は多いですし、街の中を歩き回ってもらうきっかけになるので」と話すのは、謎杜プロジェクト代表の根本聡一郎さん。

まちづくりや地域活性化の活動にはある意味、地域に対して中長期的な奉公をする印象がつきまとう。日々を忙しく暮らす若者にそのような余裕はない。

根本さん「でも、謎解きゲームであれば、人は『楽しそうだから』集まってくる。まちづくりに興味がある人もいるかもしれませんが、別の人にとってはただゲームを楽しむために参加するかも。場合によっては、景品目当てで。でも、それでいいんです。結果的に人々が仙台に興味を持つようになれば」

当初は若者をまちに引き込むのが目的の企画だったが、実は幅広い年代の方が遊んでいるのだという。

根本さん「ある時メールをいただきまして、80歳ほどのおばあちゃんからの感想のメールでした。お孫さんとゲームに挑戦して、無事謎が解けた時、思わずふたりで万歳をしたと。そんな年齢の方にも楽しんでいただいているのはとても嬉しかったですね」

ハードではなく、ソフト面で勝負

「これからのまちづくりはハードではなく、ソフトで勝負していくものだと思います」と根本さん。人口はどんどん減少し、お金のかかるプロジェクトを新たに立ち上げるのは厳しい。遊戯施設など「ハード」を新しく作る時代はすでに終焉を迎えている。

根本さん「だから、すでにある『まち』や『地下鉄』というハードを余すところなく使える、優秀なソフトとして謎解きゲームを作っていこうと思っています。毎年毎年仙台の街並みを使っているので、謎を隠す場所がどんどんマニアックになっていくのがちょっとした課題です(笑)でも、まちの全てがゲーム盤なんて、こんなワクワクするもの他にあんまりないですよね。来年はさらに斬新な謎作りができればいいなと思っています」

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