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ソトコトペンクラブ

大きな後姿を見つめて(わたしの好きな風景)from熊本空港

早田浩規

早田浩規

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頭の片隅にはいつも飛行機の後姿がある。

10代の頃、私は生活の中で見たり聞いたり経験したりする一つ一つのことに対して、心のピントを合わせ、考えなくてもいいようなことを深く考えてしまう神経質な性格であった。積み重なっていく不安に対しても不安を抱きながら生活を送るという、今考えればアホだな~と思う日常だった。

そんな10代を続けられたのも近くに空港という存在があったから。

熊本空港ターミナルから滑走路を挟んだ反対側は、飛行機を間近で見ることができる場所。骨まで震わすごう音で飛び立つ大きな後姿を見ると、堆積した不安が一層一層減っていった。そして一日中いると、その不安層はなくなる。

なぜ後姿なのか。それは、長く伸びた大きな背中に不安を勝手に積載し、すばやく私から遠ざかってくれるからかもしれない。

これでスッキリ、明日から前向いて行ける。
しかし、そんなうまいことにはならない。帰り道、また何かを深く考えて俯く自身の後姿があった。

でも、こうやって「飛行機の後姿」という風景と繰り返し会話することで精神を保っていたんだなと思う。
今でも帰省すれば必ず行く場所であり、何年も行けない時は撮り溜めた「後ろ姿」ばかりの写真を見返している。

夕日とともに映るこの写真は、社会人になり初任給で購入した一眼レフで撮影したもの。撮影当時は美しい景色に感動してはいなかった。なにか心が苦しかった。社会人一年目、この時この場所で感じていた仕事や社会に対しての違和感。それから十年以上が経過しても、それは消えることなく、仕事や生活が突然変化した「きっかけ」となった。

今回の投稿内容、なんかしんみり語っているな~と恥ずかしくなりましたが、この風景に気づかされたのもソトコトペンクラブ入会式がきっかけでした。皆さんはどういう気持ちの時に好きな風景を見たり思ったりするのか、とても楽しみです。

実は私、これからの新しい仕事、新しい生活地を考えていますが、とても行き詰っています。今の生活環境では、全く頭が回りません(笑)なので、妻とともに仕事を辞め、1カ月半ほど日本を離れることにしました。今の生活、文化、言葉からできる限り遠ざかり、そして自然の中で読書や文章を書いていこうと思います。後のことは帰国してから考えます。

日常でふと出会う友人や知り合いに、こういった一連の思いを話すのですが、意外とみんな背中を押してくれます。驚きです。よい出会いが現在の環境を構築していたことに気づかされました。

そして、背中を押してくれた素晴らしい人たちに、飛行機と一緒に飛び立つ小さな私の後姿はどう映るだろうか。
何かよい方向に導く風景だったらいいな、と勝手に思ったりしてます。

今回は私のちょっとした気持ちを共有できたらと思い、投稿させていただきました。今後も皆さんの投稿を楽しみにしています。

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