【Oita AI Challenge 2022】AIテクノロジーを取り入れたビジネスアイデアを競うコンテストを開催

【Oita AI Challenge 2022】AIテクノロジーを取り入れたビジネスアイデアを競うコンテストを開催

2022.05.18

「大分発のAIビジネスを自由に!もっと挑戦を!」AI技術を活用したビジネスアイデアを、技術・資金で支援することを目的に、2022年3月5日、大分県と公益財団法人ハイパーネットワーク社会研究所およびおおいたAIテクノロジーセンターの主催により、ビジネスコンテスト「Oita AI Challenge 2022」が開催されました。
本ビジネスコンテストでは、AIテクノロジーを取り入れたあらゆる企画を募集。書類審査を通過したチームは本選にてプレゼンテーションの発表を行いました。
小学生や高校生、大学生など学生のチームから、民間企業、公共団体、個人参加まで、幅広い団体や企業などから25の応募があり、当日は一次審査を通過した18チームが発表を行い、盛況のうちに閉幕しました。

本記事では、各賞を受賞された企業の講演内容や当日の様子を紹介いたします。


Oita AI Challenge 2022 詳細はこちら
https://www.hyper.or.jp/wp-content/uploads/2022/01/38c23a600ed98778b8138820e8d8f484.pdf

Oita AI Challenge 2022開催概要

「Oita AI Challenge 2022」はAIの実装ハードルを下げるために開催されたビジネスコンテストです。

審査委員
・おおいたAIテクノロジーセンター長 村上憲郎 氏(審査委員長)
・ステラプラス株式会社代表取締役/おおいたAIテクノロジーセンター顧問 大松重尚 氏
・NVIDIA合同会社 エンタープライズビジネス事業部ビジネスディベロップマネージャー 田上英昭 氏
・株式会社NTTPCコミニュケーションズ サービスクリエーション本部サービスクリエーション担当 釜田良平 氏
・大分県商工観光労働部先端技術挑戦課課長 佐藤元彦 氏

本ビジネスコンテストのプレゼンに対しては、上記審査委員により、「新規性・成長性・市場性・実現可能性・地域性・創造性」の6つの観点から検討を行い、優れたAIビジネスアイデアを発表した個人、団体、企業に対して、最優秀ビジネス賞/大分県知事賞、最優秀アイデア賞/おおいたAIテクノロジーセンター賞、NVIDIA賞、NTTPCコミュニケーションズ賞が授与されました。

ビジネスコンテストの審査中には、当日の参加者向けにメディアスケッチ株式会社代表取締役 伊本貴士氏による「AIで実現するスマート社会とこれから求められる人材像」と題された特別講演が行われました。

最優秀ビジネス賞

避難所を可視化するAIシステムをプレゼンした大分県技術・市場交流プラザ大分が受賞

最優秀ビジネス賞/大分県知事賞は、大分県技術・市場交流プラザ大分 ものづくりチーム「シェルタスチーム」が発表した「シェル+(避難所カウント)」が受賞しました。

大分県技術・市場交流プラザ大分は、大分県内に事業所を有する中小企業が参加する異業種交流会です。会員相互の経営効率の向上や、企業単独では困難な新製品・新サービスなどの開発や販路の開拓などを目指し、産学官の緊密な連携により活発な活動をしています。

同団体が日頃から感じていることは、大規模災害時、避難所への物資配給の偏りによって「ある避難所には物資があり余っているが、別の避難所にはない」という状態が生まれ、適切な支援が遅れる事態が度々起きているということでした。

自然災害の多い日本では今後も同様のことが起こり得ます。そのときに備えて、支援の初動のために避難所や避難者の状況を、迅速に把握できるようにできないだろうかとAIを利活用した解決案を考え、避難所を可視化する「シェル+(避難所カウント)」というシステムを考案しました。

このシステムの1つめの機能は、避難所の場所や滞在者数、設備・備蓄情報といった情報をリアルタイムに可視化することです。仕組みとしては、避難所の出入り口にカメラを設置し、利用者の入退室をカウントしていきます。設備・備蓄情報については、施設管理者が入力・管理できるようにします。

これにより、避難しなければならない状況のときに、被災者は最適な避難先を選択することが可能となり、管理者側がどの避難所にどのくらいの支援が必要なのかといった状況をリアルタイムに共有・把握できるようになるため、迅速かつ適切な支援ができるようになります。

2つめの機能は、安否確認サービスです。カメラで取得した顔認識情報をデータベース化し、対象者の顔写真をもとにどの避難所に避難をしているのかを確認できるようになります。

これにより、離れた場所で暮らす家族や友人が、被災した人と直接連絡が取れなくてもいち早く安否確認をすることが可能となります。

これらの機能以外に、臨時掲示板を立ち上げて必要情報を発信したり、AI技術による感情測定で被災者の精神状態を把握したりできるようにするビジネスモデルです。

国内の指定避難所の数は2019年時点で7万8,243施設あり、その数は年々増加傾向にあります。この「シェル+(避難所カウント)」をアイデアベースの段階で、大分市・由布市・別府市・杵築市・日田市の5自治体にヒアリングしました。そこでは、被災者人数の把握や人手不足の問題などの課題を、シェル+の導入で解決できそうなので試験導入をしても良いという好意的な意見をいただきました。

そこで私たちは、Webシステム、デバイスの開発を行い、実証試験を行ったのですが、今後解決していかなければならない課題も判明しました。

それはカウンタープログラム精度向上のためのトレーニング技術の必要性と、顔認証実装のための技術的知見の必要性です。これらの課題を含め、今後の製品化に向け、少しでも技術や知見を付けられればと考え、「Oita AI Challenge 2022」に挑戦しました。

本プレゼンに対して大分県商工観光労働部先端技術挑戦課長の佐藤氏は、「実際に自治体へとヒアリングを行って考案したアイデアですので、使い勝手の良いシステムに出来上がるのではないかと思います。自治体のDXにもつながる良いアイデアですので、実用化に向けて期待をしているところです」とエールを送りました。

最優秀アイデア賞

AIを活用して障がい者とのDX協働基盤の開発と社会実装のビジネスアイデアをプレゼンした社会福祉法人 太陽の家が受賞

最優秀アイデア賞/おおいたAIテクノロジーセンター賞は、社会福祉法人太陽の家 就労事業部 就労支援課 ICT推進担当の曽川 稔氏が発表した「障がい者アノテーションシステム AIを活用とした障がい者とのDX協働基盤の開発と社会実装に向けて」が受賞しました。

障がい者の雇用率が高かった大分県ですが、近年では全国の雇用率上位から順位が下がりつつあり、大分県の取り組みでも障がい者雇用率が大きな課題となっています。

順位低下の原因として、障がい者の職場定着率の低さや障がい者が担う仕事の先細りなどが社会課題として見て取れます。このような社会課題を解決するため、本ビジネスアイデアではSociety 5.0やDXの根幹技術であるAIを障がい者と大学生が協働で構築できる仕組みを体現できることを目指しています。

本ビジネスアイデアは、AIに必要となる教師データ作成のためのアノテーションに特化したものです。大阪府の摂南大学ゼミ生が発案し、コンテストで高い評価を得たアイデアを共同でブラッシュアップし実現化を目指しています。本プロジェクトは5年以内の達成目標を掲げています。

社会福祉法人太陽の家は障がい者の職能開発に取り組んでいるほか、研究開発にも力を入れていて、オムロンやホンダなどとの企業連携も行っています。障がい者に長く仕事をしていただくための障がいの程度に応じた環境構築の1つとして、口マウス、フットスイッチ、視線計測機などを活用して、障がい者の特性に応じたUI/UXと運用モデルを開発しています。

現在、より重度の障がい者のために、製造分野だけでなく新たな職域開発を強く感じている企業も多いのですが、太陽の家はそれらの企業と同じ地域に存在するため、本ビジネスアイデアにとって追い風になると考えています。

皆さんはAIを利活用して様々なサービスやビジネスモデルを考えていると思いますが、本ビジネスアイデアはその一歩前のAIに必要となる教師データ作成のためのプラットフォームを、新たなビジネスモデルとして構築するものです。

教師データが充実しクオリティが上がることで、より精度の高いAIが生まれ、そのデータを利活用したい企業が集まると考えています。その発端を障がいを持っている方々が作りだし、教師データを大分県ブランドにしていきたいということです。

本プレゼンに対しておおいたAIテクノロジーセンター長の村上氏は「アノテーションの分野ではインクルージョン(誰一人取り残さない)をテーマにして、障がいをお持ちの方が就労の機会を得る、あるいは何らかの貢献をできる仕組みを色々な方が開発をされています。本プレゼンは、このような社会の方向性に合致した素晴らしいアイデアだと評価をし最優秀アイデア賞に選びました」と述べました。

NVIDIA賞

子どもたちの英語力をサポートするAIロボットのビジネスアイデアをプレゼンしたパシフィックイングリッシュ×合同会社RSBが受賞

NVIDIA賞は、パシフィックイングリッシュ×合同会社RSBが発表した「AIを活用した幼児向け英語学習補助システム」が受賞しています。

パシフィックイングリッシュは、大分県大分市で幼児をメイン対象とし、英語力を育むインターナショナルスクールです。学童などにも取組み、グローバル教育が学べるバイリンガルな子供の育成の場を提供しています。

日本人はさらに英語力を伸ばしていく必要性がありますが、島国日本では日常的に使われる言語は日本語のみであり、生活の中で英語を利用する場所がないのが現状です。ただ、英語教育のニーズはますます高まってきています。

「Oita AI Challenge 2022」にチャレンジした背景として、2021年現在で約662万人の小学生に対して、外国から来日した英語を教える外国人講師であるALT(外国語指導助手)は1万3,326人と、ALT1人に対して小学生497人という比率になっていることがあります。

語学(英語)を取得していくためには2,200時間ほどの勉強時間が必要といわれていますが、1人のALTが500人近くの小学生に対し、その時間を確保するのは難しいものがあります。

それを解消するために「ABICO(アビコ)」という子どもたちの英語力をサポートするAIロボットのアイデアを考案しました。ABICOとは、子どもたちが英語で本を読む、あるいは英語で話しをするのに対して、英語で返事をするAIです。読んでいる本に対して発音が間違えていれば、正しい発音を教えたり、読んだ文章を理解しているかどうか、読解に対する質問を投げかけたりできるものです。

ABICOを実用化するにあたって課題となってくるのは、どこで試験運用していくかです。その点、パシフィックイングリッシュには100名の園児と500名の小学生が通っています。その子どもたちからデータを集めていくことで、子どもたちの発音状態や日本人特有の発音の癖、読みにくい単語などを抽出していくことができます。それに加えて、パシフィックイングリッシュで使用している英語の教材を活用してコンテンツを提供していくこともできます。

日本では英語を中心とした語学ビジネスの市場は右肩上がりです。そのなかで、効率的に英語を教えていくシステムの構築が必要となります。ABICOを様々な小学校や幼稚園で導入し、様々な人たちが作り込んでいくことで、より発信力が高く、英語をしっかりと使える日本人が育っていくようになります。

本プレゼンに対してNVIDIAの 田上氏は「幼児の英会話教育に対するAIの実装については、おおいたAIテクノロジーセンターの試みの中でも成功させたいという思いがあり、私たちもお手伝いしていきたいと考えています。そこで全審査員が満場一致でNVIDIA賞に選びました」とコメントしました。

NTTPCコミュニケーションズ賞

ドローン配送の受け渡し課題をAIで解決するビジネスアイデアをプレゼンした株式会社APCが受賞

NTTPCコミュニケーションズ賞は、ドローン配送の受け渡しの課題を解決するビジネスアイデア「ドローン自律航行のためのラスト100フィートAI ~ 災害時にも対応した完全自律配送の実現に向けて ~」と題するプレゼン発表を行った株式会社APCが受賞しました。

本プレゼンに対してNTTPCコミュニケーションズの釜田氏は「プレゼン内容は技術的にもかなり進歩したものであり、審査員の中でも高評価でした。私たちのInnovation LAB(イノベーションラボ)ではAIベンチャーと一緒に活動をさせていただいていますので、それらの企業からも実現に向けた提案ができるのではないかと考え、NTTPCコミュニケーションズ賞に選びました」と期待をよせています。


NTTPCコミュニケーションズ賞を受賞したAPCへの受賞後のインタビューは、後日ソトコトNEWSにて詳しくご紹介します!