8月を目前に控え、台風が頻繁にやってくる季節となりました。台風対策といえば、窓ガラスにガムテープや養生テープで“米印”を貼る方法が頭に浮かぶかもしれません。でもそれって、本当に意味があるのでしょうか?
窓にテープを貼るのはなんのため?
よく言われるのは「窓ガラスの飛散防止対策」です。ガムテープや養生テープを貼っていれば、たとえ何かが飛んできて窓ガラスが割れたとしても、ガラスが飛び散るのを防ぐことができる、ということです。なお、一般的に窓ガラスは台風の風圧にも耐える強度でつくられているため、風圧で窓ガラスが割れてしまう可能性は低いです。

ここで、アメリカ合衆国の政府機関「アメリカ海洋大気庁」の一部である「大西洋海洋気象研究所(Atlantic Oceanographic and Meteorological Laboratory、AOML)」のウェブサイトに興味深い情報がありました。
Q. ハリケーンが迫っている時、窓にテープを貼るべきでしょうか?
A:いいえ! 労力、時間、そしてテープの無駄です。ガラスの強度は低く、飛来物から保護することもできません。嵐が過ぎ去った後、窓に焼き付いたテープを剥がすために、暑い夏に時間を費やすことになるでしょう(窓が割れていなければの話ですが)。ハリケーンが発令されたら、ドアや窓にシャッターを閉めることに時間を費やした方が賢明です。
(引用:https://www.aoml.noaa.gov/hrd/shutters/index1.html)
ご存じのとおり、アメリカ合衆国ではハリケーンがよく発生します。映画などでも“窓ガラスの米印”を見たことがあるかもしれません。しかし、この方法は飛散物の対策としては意味がないことが指摘されています。
ではどうすればいい?
そもそも窓に物がぶつかったら、たとえテープを貼っていたとしても窓ガラスは割れ、大なり小なりガラスは飛び散ることでしょう。そして窓ガラスを破るくらいの勢いで物が飛んできた場合、ガムテープや養生テープもちぎれてしまうことが想像されます。
そこでおすすめなのは「窓の内側にダンボールや板を貼る」方法。これなら仮に窓ガラスに何かがぶつかったとしても、家の中にガラスが飛び散ることを可能な限り防ぐことができます。窓枠のサイズに合わせてダンボールや板を固定し、養生テープで隙間なく貼り付けることがポイントです。

事前にできる備えは万全に。
上に述べた方法は、あくまで応急処置にすぎません。もし時間の余裕があれば、ホームセンターなどで窓ガラスに貼る飛散防止フィルムを入手するのもおすすめです。長期的な対策としては、窓ガラス自体を強化ガラスや合わせガラスに交換することや、シャッターの設置を検討するのもよいでしょう。台風は、襲来の時期や規模がある程度予測できる災害です。ぜひ、今できる備えを万全にしておきましょう。