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特集 | 東京の島々から私のお気に入りを見つける、あれこれ特産品座談会開催!

【好みの1本を見つけて「島酒」編】東京の島々から私のお気に入りを見つける、あれこれ特産品座談会開催!

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東京都には11の有人離島があります。そこは「東京」でありながらも、思わず息を呑むほど力強い自然や、昔ながらの人の暮らしが息づくオアシスのような場所。島ごとに個性が豊かで、宝物のような魅力にあふれる島々はまさに「東京宝島」。そんな島々に想いを馳せる中、どうにか自宅でも島のよさを体感できないものかと思い立ち、あれこれ感想を言い合う、この座談会がスタートしました!
『東京愛らんど』で扱う各島の選りすぐりの特産品​​​の中からセレクトし、関係する方々と“勝手に”盛り上がる本企画。第五回目は「島酒編」です!

物語を知るともっとハマる、“島酒沼”へようこそ。

日本全国のステキな特産品を、つくり手のストーリーとともに紹介している『ソトコト』編集部が進行役となり、以前、編集部とともに東京の離島を巡った編集者・乾祐綺さん、東京諸島の地域振興を担い、東京諸島のアンテナショップ『東京愛らんど』を運営している『東京都島しょ振興公社』の方々とで、島に思いを馳せる「東京宝島へ誘うチーム」を結成。
日本のローカルの特産品に興味があるゲストや、『ソトコト』が企画・運営に関わっている、 地域と首都圏に住む人々をつなげる「関係人口講座」の受講生とともに「あれこれ特産品座談会その5 テーマ『島酒編』」を開催しました。
東京の島々ならではの、個性あふれる島酒の数々。お酒好きなゲストの方々とともに島酒を味わい、あれやこれやと話が盛り上がった回となりました。
まずは今回の「島酒編」の参加メンバーの自己紹介から。食と農の手仕事を伝えるべくフィールドワークを続ける編集者・神吉佳奈子さんをはじめ、お酒が好きという2名が参加してくれました。
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左から写真家・編集者の乾祐綺さん、「関係人口講座」修了生の高橋靖一郎さんと大類優子さん、編集者・神吉佳奈子さん、『東京都島しょ振興公社』の百井陽敏さんと森隆志さん。
乾祐綺さん
写真家、編集者。昨年はソトコト編集部ともに東京諸島を巡り、取材の先々で島酒を堪能。「お酒は個人的にも大好きで、今回もとても楽しみです。食同様に、お酒は風土がそのまま反映されたもの。島酒を入り口に、島の暮らしについて、みなさんとお話できたらと思います」。
森隆志さん
『東京都島しょ振興公社』業務課。八丈町役場から出向。「普段は八丈のお酒をよく飲み、ほかの島のお酒はあまり飲まないので、今日は楽しく飲み比べしたいです」。
百井陽敏さん
『東京都島しょ振興公社』業務課 課長代理。新島村役場から出向。「イベントなどでお酒を販売する機会も多くあります。今日は焼酎に詳しい神吉さんもいらっしゃいますので勉強させていただき、業務に生かしたいと思います」。
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本日の座談会テーマ「島酒」で集まってくれたゲストたち。それぞれの視点から、島のお酒を楽しんでいただきます!
神吉佳奈子さん
編集者。NHK出版、家の光協会ほか、プレジデント社で「dancyu」「料理男子」などの雑誌編集に30年近くたずさわる。2017年よりフリー編集者として活動。「料理を中心に、日本酒や焼酎文化などを伝えるべく、本や雑誌をつくったり、イベントを企画したりしています。ちょうど去年、初めて八丈島の酒蔵を回りまして、すっかり島酒のファンになりました。今日はお声がけいただきうれしく思っています」。
高橋靖一郎さん
山形県小国町とソトコトによる、地域での持続可能な暮らし方や働き方を見つけていく講座「白い森サスティナブルデザインスクール」修了生。「ランドスケープデザインの仕事をしていまして、泊りがけで現場に行くときには必ず、地元の居酒屋で地酒を飲むようにしています。そんなに量は飲めないんですが、お酒は大好きです」。
大類優子さん
ソトコトが主催する、高知市の清流・鏡川の魅力を編集するオンライン講座「エディットKAGAMIGAWA」修了生。「お酒は割と飲むほうで、ワインやウイスキーをはじめ、気に入ったお酒を常時100本以上ストックしています。今日はよろしくお願いします!」。

スタートはライトな島酒から。

編集部 最初に島のお酒の楽しみ方について、神吉さんにレクチャーをお願いしたいです!

神吉佳奈子さん(以下、神吉) まずはバラエティの豊かさ。東京に、これだけ焼酎をはじめとしたお酒が集まっているエリアがあることに驚きですよね。そして東京諸島のお酒の特徴として私が感じるのは、“島の人たちが島の食材に合わせて、普段飲む”ことを意識したものが多いように思いました。個性があるんだけど、穏やかで飲みやすい。今日は味の違いをできるだけ感じてもらえるように、島毎ではなく、味わい別に分類し飲んでいきたいと思っています。

高橋靖一郎さん(以下、高橋さん) そもそも、なんでそんなに島では酒造りが盛んなんですか? どこかの酒造会社で修業した人が移り住んだとか?

神吉 ルーツは江戸時代、八丈島に流刑された鹿児島の商人。彼が焼酎造りを伝え、八丈島から諸島へ広まりました。島焼酎の基本は麦麹で、原材料は芋、麦が主流ですね。日本酒のように杜氏集団があったとか、そういうアルチザン(職人的)の世界ではなく、島民がおうちで造っていたホームメイドのお酒がはじまりだと、酒蔵の方から聞きました。特に有名なのが青ヶ島の青酎。のちほど飲みながらお話ししたいと思いますが、もともとは、各家庭で奥さんが旦那さんのためにつくっていたような、暮らしに近いお酒です。

編集部 ありがとうございます!では早速飲んでみましょう。神吉さんと飲む順番を相談し、まずは八丈島の「情け嶋」と新島の「嶋自慢」から飲んでいきたいと思います。

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左が八丈島の「情け嶋」、右が新島の「嶋自慢」。どちらもl本1500円以下とお手頃価格で買えるのもうれしい。
神吉 飲み比べるなら、まずはライトで飲みやすいものから。「情け嶋」は全国に出回る人気銘柄ですね。水などで割らずに、そのままでお試しください。

高橋 どっちもアルコール感が舌の上に回らない感じといいますか、すごくまろやか。

大類優子さん(以下、大類) 「嶋自慢」のほうは、より麦の風味を強く感じます。でも、食事に合いそうな味わい。

乾祐綺さん(以下、乾) 島だとどういうふうに飲まれるんですか?

森隆志さん(以下、森) ほぼ水割りですかね。でも、カブツという、島ならではの柑橘があるんですが、これが採れる冬の時季は、カブツを絞ってお湯割りにしたりもします。

大類 「情け嶋」は飲みやすくて危なそうです(笑)。スイスイいけちゃいます。食中酒にいいですね、刺身に合いそうだなあ。

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「個性的な島酒が多いなか、この2本は比較的ライトな飲み口で導入にいいと思います」と神吉さん。
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「情け嶋」と「嶋自慢」のフレーバーと味わいを知るために、まずはストレートで飲むゲストたち。
神吉 では次にいきましょう。八丈島の「島の華」と、三宅島の「雄山一」。「雄山一」は飲んだことがなかったので調べました。三宅島は2000年に噴火し、4年5か月、全島避難となり島に入れなかったんです。「雄山一」も蔵を閉じてしまったのですが、新たな造り手が島に入り、復興させたもののようです。これは東京の島では珍しい米麹の焼酎になります。

 島の歴史やストーリーが息づいていますね。

高橋 「島の華」は甘みが強く感じます。

大類 うん、甘みが立ってきますね。そして「雄山一」はぜんぜん違いますね。米麹でつくっているからか、すごくすっきりしています。

神吉 「島の華」は麦焼酎なのに、こんなにライトで飲みやすいのがあるんだって感じです。甘みがあるのもおもしろいです。

乾 「雄山一」は、三宅島にある山の名前が冠されたお酒なんですね。

神吉 「雄山一」は復興したお酒ですが、ラベルは昔のまま。島のたった一つの蔵がつくっていたお酒は、島のアイデンティティだったのでしょう。新しいお酒ではありますが、島の復興に想いを重ねた希望の味だったように思います。お酒って酒質などはもちろんなんですが、そういうエピソードの一つひとつまで味わうと、より深みが増す気がします。

 確かに、ただ試飲するだけでなく、そういう背景を一緒に知るとより魅力的に感じますね。腑に落ちます。

神吉 東京諸島の焼酎はほんとに興味深いです。芋焼酎でも、そんなに主張していないというか。どれもするすると飲みやすいんです。

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左から三宅島の「雄山一」、八丈島の「島の華」、八丈島の「江戸酎」
、式根島の「地鉈」。(※「江戸酎」「地鉈」は2023年2月現在、『東京愛らんど』のECサイトでのお取り扱いはございません。)
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神吉さんや森さん、百井さんの話を聞きながら、東京諸島の島酒を深めていく。
神吉 では次は、式根島の「地鉈」と八丈島の「江戸酎」を飲んでみましょう。

高橋 「地鉈」って、どういう意味ですか?

百井陽敏さん(以下、百井) 地名ですね。文字通り、鉈で割ったような地形のところに温泉が湧き出ていて、島の観光地になっています。ただ、このお酒、実は今日私も初めて飲みます。年間の生産本数も少なくて、貴重なお酒だと聞いています。

神吉 式根島には焼酎蔵がないんです。でも、式根島のスーパーのオーナーである奥山さんが、島を代表する焼酎が欲しいということでつくったお酒なんです。酒造りは八丈島の蔵にお願いしているのですが、使っているのは式根島の芋。それもあめりか芋という古い品種にこだわったものなんです。

大類 当たり前のことなのですが、島ごとでお酒の誕生の仕方が全然違うんですね。造り手さんのことが気になってきました。

神吉 八丈島の「江戸酎」も注目の焼酎です。「江戸酎」をつくっている『八丈島酒造』ですが、Jリーガーだった息子さんが島に戻って、酒造りをしているんです。原料のサツマイモは島でその年に採れるもの。その年ごとにいろんな品種が集まるので、いろんなフレーバーがするのが特徴ですね。

高橋 じゃあ、その年で味が違うということですか?

神吉 そういうことです。で、実は式根島の「地鉈」をつくっているのは、八丈島の「江戸酎」の酒蔵。なので、この2つは、パッケージの雰囲気も似てますね。「地鉈」も「江戸酎」もとにかくフレーバーが特徴です。

大類 「地鉈」、香りがすごい! 花が開いたような、フワッとした感じがします。

神吉 ライトですね。マスカット系のフルーティーな香りを感じます。

高橋 これはワイングラスで飲むのもいいかもですね。

神吉 前もって水割りしたもの冷蔵庫でよく冷やして、氷なしでワインのように飲むのもいいかも。ロックでももちろんいけます。

森 「江戸酎」は、ほのかな酸味なのかな? ソーダ割もよさそうに感じました。

大類 香りがいいから、ソーダ割もおいしいでしょうね!

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それぞれの蔵の特徴などをゲストにレクチャーする神吉さん。
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香りを確かめるように島酒を味わう参加者たち。

次は、より個性的な島酒を飲み比べ。

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左から大島の「御神火」、神津島の「盛若」、八丈島の「ジョナリー」、青ヶ島の、「青酎 池の沢」、「青酎 麦」「あおちゅう」、「青酎GREEN」。(※「青酎GREEN」は2023年2月現在、『東京愛らんど』のECサイトでのお取り扱いはございません。)
編集部 次はより個性的な島酒を飲んでいただきたいと思います。まずは、大島の「御神火」、神津島の「盛若」、八丈島の「ジョナリー」をご用意しました。

高橋 これ、3つ並べて見てみると、色が濃くなっていくような感じですね。おもしろいなあ。

大類 「御神火」は香ばしい! なんでこんな味がするんだろう。

 ほんとですね。僕はロックで飲みたい味かな。

神吉 これは、造り手である谷口さんという方の作家性が味に出ているんだと思います。麦焼酎と芋焼酎をブレンドして、この独特の味わいを設計しているんです。

高橋 え、「盛若」ってなんでこんな味がするんですか? ハッカみたいな感じ?

乾 これは以前、島取材で聞いた話ですが、貯蔵、熟成にフランス製のワイン用の樫樽を使っているそうです。

大類 確かになんだか、洋酒のような感じがしますね。

高橋 「御神火」も個性的だったけど、「盛若」もおもしろいですね。

神吉 「盛若」は、いろいろな料理に合いそうな味。和食だったら、おでん、焼き魚……うん、いろいろ合いますね。

百井 新島をはじめ、島の多くの居酒屋に置いてあると思います。焼酎が苦手でも、「盛若」なら飲める、っていう人も結構いるのではないでしょうか。

神吉 そうなんですよね。パンチはあるけど、飲みやすい印象です。不思議な魅力があります。「盛若」にはどんな食べものを合わせたいですか?

大類 餃子とかも合いそう。

高橋 チキンソテーとか、さっぱり系の鶏肉とかも試してみたいですね。

 御蔵島に取材で訪れたとき、宿で「盛若」をずっと飲んでいたんですけど、合わせていたのは島の特産品である「御蔵島かぶつ柿の種」。そういう味の濃いものでも「盛若」には合うので、結局はなんにでも合うお酒なのかも知れませんね。

編集部 「ジョナリー」はいかがですか?

 これ、ソーダ割がめちゃくちゃおいしいんです。

大類 私もソーダ割がおいしそうだと思いました!

神吉 うん、「ジョナリー」も普段飲みたい味。これまで飲んだものもそうですけど、島焼酎は全体的に優しいですよね。マイルドなんです。

大類 日常のお酒なんですね。島の暮らしを思い浮かべました。

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「御神火」、「盛若」、「ジョナリー」は色合いの違いも特徴的。
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取材で島を訪れた際に飲んだ「盛若」について話す、乾さん。

いよいよ、青ヶ島の「青酎・あおちゅう」が登場!

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「青酎・あおちゅう」に興味津々の高橋さん。「青酎 麦」のラベルを食い入るように読んでいた。
編集部 では、幻とも形容されることも多い、青ヶ島の「青酎・あおちゅう」をいただきたいと思います。今日は「あおちゅう」、「青酎 池の沢」、「青酎 麦」、「青酎GREEN」の4種類を集めました。

神吉 これはね、貴重ですよ。

 「青酎・あおちゅう」の杜氏さんは島に8人ほどいらっしゃいます。みなさん、兼業で、普段は別の仕事をされています。

神吉 興味深いのは、島の蒸留施設は一ヶ所しかなく、そこで順番に「青酎・あおちゅう」を仕込んでいくんです。蔵の環境によって醸す味の違いを「蔵ぐせ」と言いますが、ここは言うなれば、同じ蔵を使っているのに、味の違いが出ているという、おもしろさ。手仕事ですよね、もはや。杜氏さんの手の力によって、味の違いを生み出しているんですね。

百井 主原料はサツマイモと麦で、配合は杜氏さんそれぞれで違いますが、それだけで味の違いがかなり出るのがおもしろいですね。

 仕込みは、麹と主原料を一度に合わせ仕込みを終える昔ながらの「どんぶり仕込み」と、麹だけで造ったもろみに主原料を入れる「二段仕込み」の2種類があるそうです。

神吉 九州でも今ではほとんど行われていない製法で、「あおちゅう」は、そのどんぶり仕込みです。“どぶろく”のようなイメージでしょうか。味は、その時の環境や年によっても変わるので、毎年どんなお酒ができるのかわからないというおもしろさがあります。「青酎 池の沢」、「青酎(25度)」は二段仕込み。こちらも「青酎・あおちゅう」の伝統や歴史をあらわす個性的な味わいです。

高橋 いやあ、お話だけでもおもしろいなあ。

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昔ながらの製法を今も守り、つくられている「青酎・あおちゅう」。
神吉 では、そろそろ試してみましょう。「青酎GREEN」、「青酎 麦」、「青酎 池の沢」、「あおちゅう」の順に並べています。

 実は、初めて飲みます……。

 八丈島のお酒を愛飲されているとおっしゃってましたもんね。貴重な機会にご一緒できて光栄です。

大類 色味は、どれもクリアな感じですね。

高橋 「青酎GREEN」は、サツマイモの香りがすごい……。

大類 芋の感じがストレートにくる感じ。“ザ・芋”って感じ。甘みもありますね。

 もっと複雑な感じがするのかな、って思っていましたけど、すっと入ってくる感じですね。飲みやすい。

編集部 「青酎GREEN」は、島在住のデザイナーでありYouTuberの佐々木加絵さんがラベルのデザインをされています。「青酎・あおちゅう」を気軽に楽しんでもらおうと、アルコール度数は20度にしたそうです。

 八丈島の焼酎はほとんどが25度。青ヶ島は30度以上のものも普通で、島でしか飲めない60度のものもありますよね。

神吉 私は牧草っていうか、ハーブのような非常に爽やかなイメージを持ちました。

百井 さすが!表現が秀逸ですね。いい表現を探していたのですが、私もそういう印象になりました。

神吉 これは中華料理に合うと思うなあ。

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「初めて『青酎・あおちゅう』を飲みました。八丈島のお酒と全然違いますが、おいしい!」と森さん。
編集部 次は「青酎 麦」をどうぞ。

高橋 おいしい。これは「青酎GREEN」よりも複雑な味だなあ。「青酎 池の沢」も、香りもあるし、ぜいたくな味わい。

大類 「青酎GREEN」や「青酎 池の沢」は、私はロックかなあ。食事と合わせるんじゃなく、まったりゆっくり飲みたい感じです。

神吉 最近、この青酎の原始的なフレーバーにはまったというソムリエの声をあちこちで耳にします。まさに、フュージョンやイノベーティブなレストランで料理とのペアリングに登場した「青酎・あおちゅう」を何回か体験しています。

大類 青酎はチーズなんかにも合いそうですね。島ではどんな料理に合わせるんだろう。

 取材で訪れたときは、島の人にすすめられて、結構脂の乗った魚のお刺身と一緒にいただきました。唐辛子を入れた醤油に付けて。おいしかったですよ。

高橋 脂の乗った魚は合いそうですね。どんな魚ですか?

 いや、初めて聞くような名前で……エチオピアのような、そんな名前だったような気が…(苦笑)。

神吉 で、最後が最も原始的な造り方なつくりかたをしている「あおちゅう」。

高橋 あ、これは相当にうまい。なんだろう、ずっと飲んでいたい。

 こんな味わいなんですね。八丈島のお酒と全然違います。

大類 でも、なんでこういうお酒が、島に残っているんだろう。

 船もなかなか着かない絶海の孤島。流通に乗らなかったからこそ、なんでしょうか。でも、こんなお酒を味わえるなんて、本当に豊か。これからも守っていってほしいですね。

大類 若い杜氏さんはいるんですか?

編集部 杜氏さんが8人ほどいらっしゃるのですが、ほとんどが60代以上でした。

大類 じゃあ、買って飲んだり、こうやって記事として取り上げたり、みんなで応援しないといけないですね!

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島の文化の維持のため、買い支えや、蔵の応援の必要性を話す大類さん。

最後は、特産のフルーツや東京諸島の固有種・サクユリを使ったお酒。

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左から八丈島の「パッションフルーツ梅酒」、父島の「パッションリキュール」、母島の「海底熟成ラムMother」、利島の「さくゆり28度」。
編集部 最後のジャンルはまた一風変わって、島で採れるフルーツやその島だけの固有種でつくっているお酒を。まずは利島の「さくゆり28度」からいきましょう。

 これは利島で栽培しているサクユリの百合根を原料に、熊本県の蒸留所で蒸留したものだそうです。

大類 百合根の焼酎なんて、なかなかいただく機会ないですよ。

神吉 熊本と言えば球磨焼酎。米の焼酎ですね。

大類 百合根の風味かな。甘みが立っているように思います。

 うん、おいしい焼酎ですね。

高橋 八丈島の「パッションフルーツ梅酒」なんてものもあるんですね。島ではパッションフルーツ栽培が盛んなんですか? 奄美大島などのイメージがありました。

百井 はい、パッションフルーツは今では東京諸島の多くの島でつくられている特産品の一つです。

神吉 これは純米酒仕込みの梅酒をミックスしたもののようですね。

 うん、これは飲みやすいですし、パッションフルーツの風味もあっておいしい。

高橋 「パッションフルーツ梅酒」は、フルーツ感がすごくあって、食前酒という感じかな。

大類 これは、飲みすぎちゃいますね。ジュースのような感覚。

神吉 すごくいいバランスだと思います。パッションフルーツだけより、梅が入ったことで、味がまとまっていますね。若い人に人気ありそうな味だと感じます。

 父島の「パッションリキュール」もあります。小笠原もパッションフルーツをたくさんつくっている島。ラム酒と、パッションフルーツの果汁を組み合わせた、爽やかな香りが特徴だと言われています。

大類 なんでこんなにまろやかに! レモンティのような風味を感じます。

百井 母島の「海底熟成ラムMother」は、海底に沈めて熟成させたお酒です。キャップの部分に、その痕跡が見えますね。1年間、海底で熟成させているようです。

神吉 これは……おいしい! これで牡蠣食べたい!

高橋 スモーキーですねえ、おいしい。

大類 アイラ島のシングルモルトのような印象があります。これはすごいと思います。

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「海底熟成ラムMother」のつくり方にびっくりしつつ、楽しく飲み比べる大類さん(左)と高橋さん。
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さまざまな島酒を一度に味わう貴重な機会。東京諸島出身の森さん、百井さんも興味津々の回に。

今回、お気に入り好きの特産品は……。

編集部 今日の島酒、みなさんいかがでしたか? 振り返りをお願いします!

大類 私は「地鉈」が印象に残りましたね。味もおいしいのですが、焼酎がなかった島に、自分たちの焼酎のつくりたいという想いからできたというストーリーがおもしろいなあって。私は毎年、一年の最初にその年に行く旅行先を決めているんですけど、この焼酎の地元である式根島に、行ってみたいと思いました。

百井 私の出身の式根島は、自分たちの島でつくった特産品はそれほど多くないので、“島の芋でつくった”という式根島の「地鉈」がやっぱり気になりました。今日初めていただいたのですが、味も香りもすごくよくて、東京諸島のひとりとして自慢のお酒になりそうです。

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「地鉈」の味、ストーリーに感動し、いつか島にも行ってみたいと話す大類さん。
高橋 僕もどれもおいしかったんですが、「青酎・あおちゅう」4種の飲み比べが印象に残りました。島酒は生活に密着した、島ならではの文化だということを強く感じました。味もさることながら、バックストーリーもおもしろくて、原始的な製造方法や、杜氏さんが8人ほどいて、それぞれ同じ場所で同じようにつくっているけど、味が全然違うなど、いろいろ興味津々で、行ったことないのですが、島のシーンが頭に浮かび上がってくるような、そんなお酒でした。

 僕としては再確認といいますか、やはり八丈島の「江戸酎」。味や香り、ストーリーも含めて、好きでしたね。みなさんの感想もそれぞれ興味深く、島酒の可能性を感じる回となりました。今日はありがとうございました!

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青ヶ島の独特な酒造りに興味を持ったという高橋さん。
 東京諸島は取材や旅行ですべてに行ったことがあるのですが、それぞれの島に自慢の酒があって、しかも味も違っていて楽しいと感じています。オオタニワタリを使って醸す「あおちゅう・青酎」、復興の酒である「雄山一」をはじめ、それぞれのストーリー性も興味深い。島酒をきっかけに多くの人に旅に出てほしいなと思いました。

神吉 いろいろ飲み比べができたので、1本ごとの個性がしっかり理解できて、さらに島酒の虜になりました。今日一番惹かれたのは、「盛若」。ウイスキーのような樽熟香が実は苦手なんですが、これはするすると飲めましたし、シンプルにおいしかったです。このお酒のふるさとである神津島へ行ってみたくなりました。ぜひ、蔵に行って、造り手から話を聞いたり、仕込み水をいただきながら、「盛若」を味わいたいなと思いました。うーん、行ったことないのに、ここまで語りたくなるって、やっぱりお酒の力は偉大。関係人口には、やはりお酒ですね!

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焼酎のおいしさや、東京諸島の島酒の魅力を深めてくれた神吉さん。おいしそうに飲む姿が印象的。
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島酒のパッケージは、昔ながらの懐かしい趣きを持つ品が多い。

今回の島紹介は、「八丈島」&「青ヶ島」!

「八丈島」
東京本土側とは、およそ300キロ離れている八丈島ですが、アクセスに非常に恵まれた島で、竹芝桟橋からのフェリーなどのほか、東京諸島では唯一、羽田空港から飛行機でアクセスできます。年間の平均気温は約18℃で、「常春の島」とも。ただ、雨量の多さや風の強さも特徴で、梅雨や台風シーズン、冬季には悩まされる一面もあります。さまざまな産品の中で今売り出し中なのが、皮まで食べられる八丈フルーツレモン。完熟栽培のおいしい果物です。また、近年は冬場になるとクジラが回遊する姿も沖合に見られ、ホエールウォッチングも人気になりつつあります。
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「青ヶ島」
島の周囲は断崖絶壁で、まさに絶海の孤島というイメージがぴったりの青ヶ島。島全体が火山活動によってできた島で、大きなカルデラの中に小さな火山のある、二重式カルデラ火山と呼ばれる、特徴的な風景です。日本一人口の少ない自治体で、島民は160人ほど。特産品の一つはカルシウムの含有量が多い「ひんぎゃの塩」。ちなみに「ひんぎゃ」とは噴気孔のことで、島のあちこちから噴き出す蒸気を使って塩をつくっています。また、青ヶ島といえば「青酎・あおちゅう」。昔ながらの製法で手作りするため生産量も少なく、一部では幻とも形容される島ならではの焼酎です。
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東京諸島をもっと知ろう!【島巡り編】

休みの期間や、目的に合わせて、さまざまな島を楽しめるのが東京諸島の魅力です。夏はジェットフォイルの運航本数も多く、中でも大島や新島、式根島、神津島は日帰りも可能。朝都内を出発して島で海水浴を楽しんで、というお出かけが気軽にできます。1泊2日の日程ならば、たとえば大島では、ミュージックビデオの撮影などに使われる裏砂漠や三原山火口までハイキングしたり、夕日の鑑賞、島の居酒屋で地元食材を使った料理を楽しみ、翌日ゆっくり島内を散策することも。

また、2泊3日あれば、いつくかの島を巡れるのも東京諸島のおもしろさです。新島で海水浴やガラス吹き体験を楽しんでから、連絡船で式根島へ渡りサイクリングや露天温泉を楽しみ、神津島では島の最高峰・天上山ハイキングを体験する、なんていう旅も可能。青ヶ島への旅も、八丈島から発着するヘリコプターを使えば2泊3日の旅程で存分に島の魅力を味わえるでしょう。

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みなさんはどの特産品が気になりましたか? ぜひお家で試してみたいと思った方、ギフトに良さそうと思った方は、『東京愛らんど』のECサイトから購入して試してみてくださいね!
photographs & text by Yuki Inui

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