長野県在住のラーメンライター、たこにわです。ラーメン食べ歩きは40年以上、北は旭川、東は根室、西は長崎、南は石垣島まで訪麺しています。47都道府県制覇しました。僕は、ローカル色があり地味ながら頑張っているお店をみなさんにご紹介します。
涼しい海風が心地よい千葉県勝浦市
それは、千葉県の勝浦市が、気象台の観測史上(およそ100年前から)、猛暑日(35℃以上)になったことが一度もないということだ。
つまり、真夏の最高気温で比較すると、首都圏では一番涼しいまちのようだ。
房総の海風があるのが大きな理由のようだが、
JR外房線の勝浦駅に降り立つと心地よい風を感じる。
筆者が訪問した7月下旬は都心が35℃を超えているにもかかわらず、
勝浦市は29度止まり。
避暑に最適なまちなのである。
ちば文化遺産にも登録されている「勝浦タンタンメン」
次世代に残していくべき文化的魅力を千葉県民が選定した「ちば文化遺産」に堂々と登録されている。
また、勝浦タンタンメンは無断で商用利用ができないように地域団体商標(特許庁)にも登録されており、地域ブランドをしっかり守っているのだ。
したがって、勝浦タンタンメンを名乗るためには「のぼり」を立てる。
まちを散策中、いくつかのラーメン店や食堂に、この「のぼり」が海風にはためいているのを見かけた。
もともとは、漁師や海女さんが寒い冬の海に入ったあと、その冷えた体を温めるために考案されたラーメンだ。
地元では半世紀以上前から定着しているローカルフード。
醤油ベースのスープに、辣油が多く使われる。
具材として、辣油と唐辛子で炒めた玉ねぎ、にんにく、挽肉が入っているのが特徴だ。
10年ほど前になるが、筆者は勝浦タンタンメンを食したことがある。
初めての食体験では辣油の辛さで体中から汗が噴き出て、シャツがびっしょりと濡れたことを思い出す。
しかし、辛いだけではない。具材の玉ねぎが味の決め手にもなっている。
辛さと甘さ、この絶妙なコラボこそ勝浦タンタンメンである。
コンテナのような不思議な空間「てっぱつ屋」
店舗名の入った豪快な看板と仮設的でコンテナ風な建物。
何か魅かれるものがあった。
それが今回ご紹介したい「てっぱつ屋」である。
お薦めの勝浦タンタンメン(850円)を券売機で購入する。
意外と狭く感じるが、席数は18席ほどある。
開店直後に入った筆者の後に、次々とお客さんが入る。
バイクのツーリングの若者たちも入ってきた。
真っ赤なラーメン登場!
ご覧のとおり、真っ赤なラーメン。
上に白ネギが乗っているが、赤と対比して一層白く見える。
赤は食欲を刺激するだけでなく、闘争心を掻き立てる。
筆者も、辛いラーメンに戦いを挑もうとしよう!
スープを飲むためのものと、具材を拾うために小さな穴が開いたもの。
玉ねぎや豚挽肉を残さず最後まで食べて欲しいという心遣いのようだ。
スープも具材も楽しめる巧みな工夫である。
口に入るたびに発汗
「ぐぅわ!、、、、辛い!」
けれどすぐさま玉ねぎの甘さが追いかけて来る。
麺に行く前に、スープを3口、4口、、、、クセになっていく。
麺は他の勝浦タンタンメンのお店とはちょっと違う、やや太めのもちもち麺。
辣油が絡むので、麺を食べていても辛さを感じる。
喉越しもいいので、辛くても食が進んでいく。
目から涙、
鼻の粘膜を刺激するので鼻水が止まらず、
さらに咳き込む。
どうにかこうにか完食したが、インパクトは大きい。
辣油と唐辛子の辛さに玉ねぎの甘さ。
10年前に勝浦に食べに来たときの味を思い出した。
冬は間違いなく体を温める。
夏は外に出ると涼しい海風で体温を下げてくれる。
オールシーズン型の食べ物である。
実際、お店を出た後の海風の涼しさは天然のエアコンだ。
てっぱつ屋の「てっぱつ」とは、房州弁で「すごく大きい」といった意味を持つそうだ。
筆者にとってはすごくインパクトがあった。
*店舗情報・メニュー内容は取材時点の内容でございます。