元祖・萌え断?タモリさんとの関係は?名古屋名物「コンパル」のエビフライサンドを徹底調査

元祖・萌え断?タモリさんとの関係は?名古屋名物「コンパル」のエビフライサンドを徹底調査

小倉トーストや鉄板イタリアンなど、名古屋には喫茶店から生まれた名物が数々存在します。なかでも、一度は食べていただきたいのが「コンパル」のエビフライサンド。

コンパルは、市内に9店舗を構えるローカルチェーンの喫茶店です。エビフライが3本入ったボリュームたっぷりの「エビフライサンド」は、地元民にも観光客にも大人気の看板メニュー。

いつどうやって誕生したのか?そして、なぜあんなにもおいしいのか!?開発秘話や調理のこだわりなど、気になるアレコレを取材しました。

エビフライサンド誕生のきっかけは、リニューアル記念

「コンパル大須本店」は、全店舗の中で最も古い歴史のある店です。

やってきたのは、大須商店街のほぼ中心にある「コンパル大須本店」。店先にはさっそく、エビフライサンドの大きな垂れ幕が。

コンパル大須本店 店長 播磨良明さん

取材に応じてくれたのは、大須本店の店長・播磨良明さんです。まず、エビフライサンド誕生の背景について聞かせてもらいました。

戦後すぐの昭和22年(1947年)に創業したコンパル。長年レストランで勤務していたシェフをスカウトし、昭和35年からサンドイッチメニューを開発・展開してきました。現在では、なんと25種類以上のサンドイッチを揃えています。今回の主役、エビフライサンドはいつ商品化されたのでしょうか?

「エビフライサンドが誕生したのは、昭和63年(1988年)のこと。栄西店の改装にあわせて、リニューアル記念メニューとして開発されました」と答える播磨さん。

エビフライサンド/980円

当時のエビフライサンドの開発に携わった責任者やスタッフが、「エビカツ」ではなく「エビフライ」にこだわったことがポイントです。

エビフライと卵焼き、キャベツが重なった断面はインパクト抜群!ここ数年SNSではサンドイッチなどの美しい断面を楽しむ“萌え断”が話題になりましたが、エビフライサンドは30年以上前からあった「元祖・萌え断」と言えるかも?

タモリにシャチホコ…名古屋とエビフライの関係性

エビフライといえば、今ではすっかり名古屋名物の仲間入りをしていますが、これには少し複雑な背景があります。そう、地元民なら知っている人も多い、タモリさんとの関係性です。

事の発端は1980年代初頭。テレビやラジオの番組でタモリさんが「名古屋ではエビフライのことを『エビフリャー』と言う」などとネタにしてきたことから、名古屋=エビフリャーと勘違いされるようになったのです。その風潮を逆手に取り、飲食業界ではエビフライを使ったメニューが続々と創作されました。

コンパルのエビフライサンドも、タモリさんの『エビフリャー』発言を意識されていたのでしょうか?

「時代背景として、“タモリ効果”の後押しはあったと思います。当時、エビフライ定食を提供するレストランはよく見かけられたのですが、サンドイッチはまだ無いだろうと。せっかくなら豪華にエビフライを3本使ったメニューにしようと開発が進められました。また、愛知県は元々クルマエビが特産品であるため、エビは素材としてオリジナル商品の開発にぴったりだったんです」

愛知県の県魚「クルマエビ」(写真ACより)

愛知県はクルマエビの漁獲量日本一!全国シェア25.9%を誇ります(農林水産省による漁獲量調査/2019年)。エビフライサンドが開発された2年後の平成2年(1990年)には、愛知県の「県魚」にも指定されています。えびせんべいの「ゆかり」や天むすなど、エビを使った料理・お土産も昔からあることから、愛知県民は実は“エビ好き”だと言われているのです。

また、エビフライの形は名古屋城の金のシャチホコを連想させます。こうしたさまざまな要因から、エビフライサンドは名古屋名物になるべくしてなったのでしょう。

厨房に潜入!エビフライサンドの調理工程を公開

取材をしている間にも、次々とエビフライサンドの注文が厨房に通されていました。ここからは、実際に調理の様子を見せてもらうことに。普段はなかなか見られない厨房風景。コンパルファンなら必見です!

「エビフライは作り置きをせず、注文が入ってから揚げています」と話しながら、衣をまとったエビを油に投下する播磨さん。

エビを揚げている間にトーストを焼いて、さらに卵焼きを作ります。

卵焼きの上には、オリジナルのカツソースをたっぷり。

ここで、カラッと揚がったエビフライが登場しました。尻尾を切り落として、いざ着座。

エビフライにレモン汁で風味を加え、続いて味の決め手となるタルタルソースをかけていきます。ソースの調合などは企業秘密とのこと!

最後にドレッシングであえたキャベツをのせて、3等分に切り分けたら完成!手際良く調理されていましたが、想像以上に多層的で工程が多い印象です。このこだわりを見たら「そりゃあおいしいだろう」と納得せざるを得ません。

崩さず食べるにはコツがあった!

エビフライ・卵焼き・キャベツだけでなく、カツソースやタルタルソース、レモン汁といった調味料が織りなす複雑な味わいは、なんとも幸せなマリアージュ!堂々たるおいしさです。

ただ、そのボリューム感ゆえに、普通に食べようとすると崩れてしまいがち。食べ方にはちょっとしたコツがあるのだそう。播磨さんが「両手で持って、横方向からではなく縦方向から食べてみてください」とアドバイスしてくれました。つまり、エビフライに対して並行にかぶりつくということですね。サンドイッチ1切れを3口で食べるくらいの思いきりが必要なようです。

このエビフライサンド、多いときには全9店舗で月間17,000食も提供されたといいます(2019年5月)。名古屋人のエビの消費量たるや…!

名物はエビフライサンドだけじゃない!アイスコーヒーも一緒に

コンパルには他にも、「ポークカツサンド」「コーチン玉子サンド」などおいしいサンドイッチがいっぱい。あわせて、ユニークな飲み方のアイスコーヒーもぜひ味わってみてください。

氷の入ったグラスにホットコーヒーを自分で注ぐのがコンパルのスタイル。

アイスコーヒーについてはこちらの記事で深掘りしています!
熱々で提供されるアイスコーヒー?名古屋人が愛する喫茶店「コンパル」の名物を深掘り

▼コンパル大須本店
名古屋市中区大須3-20-19(大須新天地通・万松寺北)

▼コンパル公式サイト
http://www.konparu.co.jp/

文・撮影/齊藤美幸

■ライタープロフィール
齊藤 美幸|まちと文化が好きなライター。広告制作会社での勤務を経て、2020年からフリーランスとしてソトコトオンライン他で執筆中。地元・名古屋を中心に、都市の風景や歴史、地域をつくる人の物語などを伝えている。

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