小倉トーストや鉄板イタリアンなど、名古屋には喫茶店から生まれた名物が数々存在します。なかでも、一度は食べていただきたいのが「コンパル」のエビフライサンド。
いつどうやって誕生したのか?そして、なぜあんなにもおいしいのか!?開発秘話や調理のこだわりなど、気になるアレコレを取材しました。
エビフライサンド誕生のきっかけは、リニューアル記念
戦後すぐの昭和22年(1947年)に創業したコンパル。長年レストランで勤務していたシェフをスカウトし、昭和35年からサンドイッチメニューを開発・展開してきました。現在では、なんと25種類以上のサンドイッチを揃えています。今回の主役、エビフライサンドはいつ商品化されたのでしょうか?
「エビフライサンドが誕生したのは、昭和63年(1988年)のこと。栄西店の改装にあわせて、リニューアル記念メニューとして開発されました」と答える播磨さん。
エビフライと卵焼き、キャベツが重なった断面はインパクト抜群!ここ数年SNSではサンドイッチなどの美しい断面を楽しむ“萌え断”が話題になりましたが、エビフライサンドは30年以上前からあった「元祖・萌え断」と言えるかも?
タモリにシャチホコ…名古屋とエビフライの関係性
事の発端は1980年代初頭。テレビやラジオの番組でタモリさんが「名古屋ではエビフライのことを『エビフリャー』と言う」などとネタにしてきたことから、名古屋=エビフリャーと勘違いされるようになったのです。その風潮を逆手に取り、飲食業界ではエビフライを使ったメニューが続々と創作されました。
「時代背景として、“タモリ効果”の後押しはあったと思います。当時、エビフライ定食を提供するレストランはよく見かけられたのですが、サンドイッチはまだ無いだろうと。せっかくなら豪華にエビフライを3本使ったメニューにしようと開発が進められました。また、愛知県は元々クルマエビが特産品であるため、エビは素材としてオリジナル商品の開発にぴったりだったんです」
また、エビフライの形は名古屋城の金のシャチホコを連想させます。こうしたさまざまな要因から、エビフライサンドは名古屋名物になるべくしてなったのでしょう。
厨房に潜入!エビフライサンドの調理工程を公開
崩さず食べるにはコツがあった!
ただ、そのボリューム感ゆえに、普通に食べようとすると崩れてしまいがち。食べ方にはちょっとしたコツがあるのだそう。播磨さんが「両手で持って、横方向からではなく縦方向から食べてみてください」とアドバイスしてくれました。つまり、エビフライに対して並行にかぶりつくということですね。サンドイッチ1切れを3口で食べるくらいの思いきりが必要なようです。
このエビフライサンド、多いときには全9店舗で月間17,000食も提供されたといいます(2019年5月)。名古屋人のエビの消費量たるや…!
名物はエビフライサンドだけじゃない!アイスコーヒーも一緒に
熱々で提供されるアイスコーヒー?名古屋人が愛する喫茶店「コンパル」の名物を深掘り
齊藤 美幸|まちと文化が好きなライター。広告制作会社での勤務を経て、2020年からフリーランスとしてソトコトオンライン他で執筆中。地元・名古屋を中心に、都市の風景や歴史、地域をつくる人の物語などを伝えている。