長野県在住のラーメンライター、たこにわです。ラーメン食べ歩きは40年以上、北は旭川、東は根室、西は長崎、南は石垣島まで訪麺しています。47都道府県制覇しました。僕は、ローカル色があり地味ながら頑張っているお店をみなさんにご紹介していきます。
4年前までは小学校だった
長野県北部にある自然豊かな小さな町の「飯綱(いいづな)町」。
リンゴの名産地でもある。
4年前まで牟礼(むれ)西小学校だったが、児童数の減少により町内のもう一つの小学校と統合されたため、廃校になってしまった。

子どもの声が聞こえなくなり、近隣の方は寂しさを募らせていたところ、
2年前に校舎を有効活用しようと民間が再生に乗り出した。
それが、「いいづなコネクトWEST」、今日、ご紹介するお店「とちのき食堂」は、その校舎の中にある。

元は職員室、今はまちの「食堂」
校舎の入口で靴を脱ぐのか脱がないのか、、、上履きなんか持ってきてないし.......
そして、食堂が元職員室だと聞かされると、入口の前でちょっと緊張感を覚えてしまう。


明るい職員室、、、いや食堂
とちのき食堂に入った。
目の前に広がる雰囲気は職員室ではなく、明るい食堂だった。
ゆったりとした部屋に木目調のテーブルとスタイリッシュな椅子が並んでいる。
ここでようやく妙な緊張感が解けた。

広い窓からはサッカー場が見える
初夏の陽射しが食堂を一層明るくしてくれる。
広々とした窓からは、かつての校庭も臨めるが、今は人工芝に整備されて子どもたちのサッカー場になっているそうだ。
食堂にいることを忘れてしまうし、グランドを見ると何とも言えない郷愁に誘われる。

ランチタイムは「給食時間」
メニューを見てさらに郷愁が強くなる。
何と、お昼時間は「給食」、カフェタイムは「休み時間」、夕方の営業は「放課後」だ。
この言葉自体、久しぶりに使った。
子どもの頃、給食時間にわくわくしていたものだが、今、その気分を味わっている。



牛骨ラーメンが人気ナンバーワン
メニューに人気ナンバーワンと書かれている牛骨ラーメン(660円)を注文。
聞くところによると、店主が「牛」にこだわりがあるという。
長野県内では提供されるお店が比較的少ない牛骨ラーメンを、敢えてウリにしたそうだ。
スープ、麺とも、何度も試作を重ねた結果、ようやく辿り着いた味だという。

独特の牛骨ダシにもっちりした中細麺
スープを一口飲む。
「ああ、、、まさに牛骨スープだ!」とわかる独特の風味。優しい醤油に旨味が絶妙に溶け込んでいる。
麺は、口の中に入ると日頃の疲れを癒してくれるようなもっちりした食感。
これも、懐古的。まさに給食時間に相応しい食感である。
ラーメンにはローストビーフが付いてくる。
ちょっぴりお得な気分になった。

住民の笑顔が戻ってきた!
とちのき食堂の運営を任されている店主は千葉県から長野に移住してきたそう。
飲食店、ホテルなど経験豊富な腕を買われて、経営を任されたとのことだ。
牛骨ラーメンだけでなく、近隣住民が好きな豚骨ラーメンや味噌ラーメンのメニューも加えたという。
そして放課後は居酒屋タイムとなり、住民の憩いの場と変わる。
子どもたちがサッカーのナイター練習をしているのを見ながら飲むビールの味は、格別ではないだろうか。

店舗情報
とちのき食堂
住所:長野県上水内郡飯綱町川上1535 いいづなコネクトWEST 101
TEL: 026-219-1352
営業時間:火水木 11:30~17:00、金土日11:30~21:00、月曜定休
文・写真:たこにわ
*店舗情報・メニュー内容は取材時点の内容でございます。