岡山駅から車を走らせること15分ほど。郊外のロードサイドに立つ大きな広告看板。「鰆ーさわらー」の大きな文字が目に飛び込んでくる。どうやら岡山名産の鰆を出汁に使ったラーメンを提供する店らしい。魚介出汁のラーメンは珍しくないが、鰆というと淡白な味のイメージ。一体どんな味のラーメンなのか。気になって店を訪れてみた。
鰹節と煮干し、鰆節をブレンドした煮干しラーメン
出汁に鰆節を使ったその名も「煮干しラーメン」を提供するのは、「らーめんふぁみりー岡山店」。土曜の11時過ぎ、開店してすぐの時間帯に訪れる。店名から家族連れが多いのだろうと想像したが、昼時には少し早かったせいか、男性のひとり客が多い。高速の岡山インターに近く駐車場にはトラックも数台あったので、運送会社のドライバー御用達なのかもしれない。
席に着き手にしたメニューを開くと、「煮干しラーメン」に加えてチャーハンや餃子などが選べる「煮干しランチ」なるものがあるではないか。しかも「煮干しラーメン」は、コク醤油・淡麗塩・濃厚豚骨の3つからチョイス可能。迷ったが、初めての今回は鰆節の味わいをしっかり感じてみたいので、淡麗塩を選んだ。
メニューやホームページの情報を読むと、「煮干しラーメン」は、鰹節と煮干し、それに鰆節をブレンドした出汁を使っているとのこと。鰹節と煮干しでかなり味は決まりそうなものだが、鰆がどう効いてくるのだろう。ますます興味は深まり運ばれてくるのを楽しみに待つ。
飲み干したくなるスープ。まろやかさの決め手は鰆節
これが「煮干しラーメン」の“淡麗塩”。 やや白濁しているが透明感のあるスープは見るからにあっさりしていそうだ。スープをすくうと、まず出汁の香りが鼻に抜ける。慣れ親しんだ鰹の香り、煮干しの香ばしさ。口に含むと、深みのあるしっかりとした味わいだがまろやかさもあり、キレがいい。鰹の旨味はともすれば強くなりえぐみが出ることもあるが、そこに鰆の淡白な風味が加わることで、全体をまろやかにしているようだ。
気がつくとスープだけゴクゴクと飲んでいたが、自家製麺と分厚いチャーシュー&煮卵のボリューミーなトッピングも、このあっさりスープと調和していて、最後の一滴まで完食してしまった。でもなぜか罪悪感はなく、むしろ爽快さすら感じる今までにない食後感のラーメンだった。
今回は“淡麗塩”を選んだが、次は“コク醤油”や“濃厚豚骨”もぜひトライしたい。この鰆節が入ったブレンド魚介出汁と一体どう融合するのか、また食べてみようと思う。