自然が豊かになることで地域がより豊かになる。まるで夢物語のような理想を実践するのが農業法人『あがらと』だ。過疎化の進む和歌山県・古座川町で耕作放棄地を開墾し、農薬・化学肥料不使用で米、野菜、食用バラを育てること4年。食用バラの栽培株数は約3000株、日本一の生産量を誇る。「バラは夜間に花に香りをためて、日光で蒸散させて遠くまで飛ばします」と、農園のリーダー・久山秋星さんは言う。だからバラの収穫は夜明け前。一番香りが高い状態で収穫したバラだけを贅沢に使ったコーディアル(シロップ)「Dew Rose」は、高貴な香りと上品な甘みが特徴だ。
今年から近隣の人にも無農薬でバラを栽培してもらい、1グラム8円〜25円で『あがらと』が買い取る取り組みを始めた。今後は買い取り金額の2割を地区に寄付する予定だ。「ここに住まわせてもらっているので、地域に何か恩返しができたら」と久山さん。数年以内には約3万株、世界一を目指して日々バラと向き合う。
サスティナブルな農法が評価され、バラの花びらは東京・銀座のレストラン『ロオジェ』のデザートで使用されている。コーディアルはHP(https://agarato.jp)から購入可能。なお、バラ栽培を手伝ってくれる仲間を絶賛募集中。
へメンディンガー綾
へめんでぃんがー・あや●大阪府出身。国道42号線沿いを中心に発見した熊野地方の絶景・秘境を写真に収めたフォトガイドブック『ROUTE42 国道42号線をめぐる旅』(青幻舎)を上梓。そろそろ和歌山県への移住を準備中。
へめんでぃんがー・あや●大阪府出身。国道42号線沿いを中心に発見した熊野地方の絶景・秘境を写真に収めたフォトガイドブック『ROUTE42 国道42号線をめぐる旅』(青幻舎)を上梓。そろそろ和歌山県への移住を準備中。
photograph by Yoshiki Maruyama text by Aya Hemmendinger
記事は雑誌ソトコト2021年11月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。