創業明治10年。蕎麦粉事業を行う株式会社カガセイフンが、蕎麦粉を利用したグルテンフリーのスイーツサイト販売するのネットショップ「そばのおと」のロールケーキを、牛乳仕様から豆乳使用へシフトチェンジ。グルテンフリー&カゼインフリーのロールケーキが完成しました。
カゼインフリーを挑戦した背景
株式会社カガセイフンは、20年近くネットショップを運営しています。福井県産無農薬のそば粉にこだわり、石臼にも徹底的にこだわった、丁寧で上品なそば粉はファンも多く、12月の年越しそばシーズンは製造が追いつきません。そのため月の中旬頃には受注受付を終了するほど。
福井県産の蕎麦の実は、他の蕎麦の実と比べて小さくて堅いことが特徴。カガセイフンは、ゆっくり時間をかけて丁寧に石臼で挽くため、生産量が非常に少なく、消費者に十分満足な量が行きわたりません。蕎麦粉以外の商品を年間を通して楽しんでもらうため、蕎麦粉を利用したスイーツ作りのプロジェクトを2017年に立ち上げました。
そばスイーツ開発に当たっては多くのスイーツ本を出版し、以前から親交の深かった料理研究家の森崎繭香氏に依頼。思いに共感してもらい、試作開始から1年以上の試行錯誤の末に完成しました。現在は高いリーピート率で多くのファンとともに成長している通販サイトになっています。
グルテンフリー(小麦粉不使用)をさらにカゼインフリー(乳製品不使用)にも対応しようと考えたきっかけは、日ごろご愛顧いただいている消費者や、始めて来店した方から「カゼインフリーにも挑戦してほしい」という声があったから。牛乳と小麦の両方のアレルギーがある方からも問い合せが多く、挑戦することになりました。
牛乳の成分(カゼイン)によって小麦粉なしでもふっくらとした生地感が出るのであって、豆乳にすることにより食感も質感も別物になってしまいます。1年以上の試行錯誤の末、ついに牛乳と遜色ない仕上がりにたどり着きました。
カガセイフンの扱うそば粉の特徴
・原材料
福井で長年栽培されている小粒で固く実の詰まった在来種のみを使用。在来種は天候に影響を受けやすく栽培が非常に難しいため、希少価値の高い高級な蕎麦粉の原料です。
・無農薬栽培そば粉
福井の農産物は一部の野菜を除いて、ほぼ農薬不使用です。福井では連作するといい蕎麦が育たないという理由から連作は行わず、いい蕎麦を作るために一年かけて土づくりを行います。また、農家1組ごとに乾燥調整設備を保有しており、収穫したソバを時間を置かず乾燥させることができるため、品質低下を最低限に抑えることができます。乾燥調節機は某大な費用が掛かるため、全国でもここまでする農家が複数存在すること自体が稀な地域と言えます。
・道具
製粉するために使用する石臼の石は、切り出してから約20年寝かせます。薪と同じように石も切り出してすぐの石は水分も保有しており、石臼として使用する場合、石自体の水分をあらかじめ空気に晒して抜かないといずれ歪みが生じ上下臼がかみ合わなくなって粉を挽かなくなるからです。事前に歪みをしっかりを出しきってから成型で石臼特有の目を起こし使えば100年、200年と長く使い続けることができるようになります。
・石臼で粉を挽く
カガセイフンには33台の石臼があり、それぞれ石臼が作られた年代や作った職人が違うため石臼ごとに個性があります。同じ産地、同じ挽き方、同じ回転数で挽いても33種類の蕎麦粉になるのです。個人売りの場合は決まった銘柄があるので、指定の石臼で挽きますが、営業店の場合は店独自の蕎麦粉に合わせて挽き臼を変えて都度製粉しています。
・製法が難しく希少で高価な蕎麦粉
一般的な蕎麦製粉所は、効率良く大量に製粉できる機械製粉(ロール挽き)がメイン。1回の蕎麦打ちで使用する蕎麦粉の量は1kgですが、1kgの蕎麦粉を挽くのに石臼なら1時間、機械なら数秒で挽けます。
石臼挽きと機械製粉では100倍以上(当社比)生産効率が違うため、機械製粉の方が生産効率が良く経済的。しかし、安い原料でも高級な原料でも仕上がりに差はほとんどなく、原料の品質をそば粉へ伝えることは難しくなっています。
石臼製粉は製造効率こそよくありませんが、原料の品質をそのままそば粉へ伝えることができます。石臼の個性を生かして製粉することで、顧客の要望に合わせて挽き分けることもできます。カガセイフンでは創業当時から受け継がれた石臼挽きの技術で無農薬栽培の福井在来種を製粉しています。
会社概要
商号: 株式会社 カガセイフン
代表者:代表取締役 加賀健太郎
所在地:〒910-0804 福井県福井市高木中央1丁目3004番地
設立: 1877年(明治10年)
事業内容:そば粉の製造、卸、販売