「火の用〜心!」という拍子木の音とともに、暗闇を駆け抜ける足音。12月28日の夜、大阪府泉大津市で前代未聞の光景が繰り広げられます。なんと、市長自らが「ランニング」で歳末夜警を行うというのです。そこには、人口減少時代の日本を救う「究極の地域づくり」のヒントが隠されていました。
異例の8km激走!市長がランナーとして11拠点を訪問
12月28日(日)午後8時。泉大津市の歳末夜警は、これまでの常識を覆すスタイルで実施されます。

南出賢一市長率いる「市長班」が取り入れるのは、同市で初となる「ながら見守りランニング」。市役所を出発し、約8キロのコースを走りながら、市内に点在する11箇所の夜警詰所を次々と訪問します。

警察署長や消防長が巡回する中、市長は自ら汗を流し、市民と同じ目線で夜の街をパトロール。その姿は、単なるパフォーマンスを超えた「本気の防犯」として、今大きな注目を集めています。
1ヶ月半で340人増!「ながら見守り」に市民が熱狂する理由
今、泉大津市では「ながら見守り」という新しいライフスタイルが急速に広がっています。これは、買い物や散歩、ランニングといった「日常の延長」で、ほんの少しだけ街を気にかける活動。特別な資格は不要で、18歳以上であれば誰でも参加可能です。

この活動、実は驚異的な勢いで浸透しています。昨年9月の開始から1年間で登録者は100人でしたが、今年11月からの「登録強化期間」で新たに約340人が加入し、総勢約440人の巨大な見守りネットワークへと成長しました。
「誰かが見る」から「みんなが気にかける」街へ
なぜ、泉大津市はここまで「人の目」にこだわるのでしょうか。背景には、地域コミュニティの希薄化と担い手不足という、日本全国が抱える深刻な課題があります。
「行政や警察が守ってくれる街」を待つのではなく、「住民が互いを気にかける街」を自ら作る。今回の市長の激走は、その哲学を自らの体で体現する強いメッセージでもあります。

58もの自治会が参加する今年の歳末夜警。冷たい夜の空気の中、拍子木の音と走る足音が重なり合う時、泉大津市は「日本一安心できる街」へとアップデートされます。


















