木桶仕込み醤油は全体の1%。長い年月をかけて熟成した醤油を使えば、料理のおいしさもグンと深まる。
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奥出雲町の風土とともに木桶で醸す、『森田醤油』の「当たり前」とは
まろやかな余韻が口の中でいつまでも。
直径、高さともに2メートルほどの木桶が50本以上、島根県・奥出雲町の『森田醤油』にはある。「でもね、木桶を使ったからって必ずしもおいしい醤油ができるとは限らないんですけどね」と笑うのは『森田醤油』代表の森田郁史さん。大切なのは、いかに酵母をコントロールするか。おいしく発酵するためにいい菌が棲みつける木桶を育てたうえで、状態を見ながら発酵を促し、熟成させる。
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「醤油は塩分を与えるものではなく、旨味を足す調味料」と考える森田さんは、原料に大豆油を搾った残りの「脱脂大豆」ではなく、収穫して乾燥させたままの「丸大豆」のみを使う。そのほうが豊かな旨味が感じられるからだ。そして、煎った小麦と合わせ、自社で麹に醸し、天日塩と奥出雲町の地下水とともに、もろみをつくる。
主発酵が始まったら、毎日行うのが櫂入れだ。全身を使って伸び上がり、櫂を落とすという作業を繰り返し行うことで、木桶の中からプクプクとガスが抜けて発酵が促進される。ひとつの桶に30分かかる櫂入れを、主発酵している桶すべてに行う。それが『森田醤油』の当たり前の日々なのだ。
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日本で最後の木桶屋が廃業した2012年、こうした醤油づくりができなくなる危機を感じ、香川県・小豆島の『ヤマロク醤油』が呼びかけた「木桶職人復活プロジェクト」に参加した。木桶を直して使い続けたいと思ったからだ。その後、木桶職人集団『結い物で繋ぐ会』とともに新潟県の味噌屋から昭和初期の木桶を貰い受け、組み直したのが2018年。その木桶で醸したのが「甦った木桶に仕込んだ熟成醤油 百年先も。」だ。100年後も昔ながらの製法でつくり続けていきたいという思いを名前に込めた。温度管理は自然に任せ、奥出雲町の風土の中で2年間、熟成させたこの醤油を舐めると、ふくよかな旨味が広がり、まろやかな余韻が長く続いた。
『森田醤油』のテーマは「自分の子どもが一生食べ続けられるものをつくる」。こうした「当たり前」がこれからもずっと続いてほしい。
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国産丸大豆醤油に鰹と昆布の出汁に合わせたゆず果汁がさわやかに香る「森田ぽん酢 ゆず」。「甦った木桶に仕込んだ熟成醤油 百年先も。」は刺身や冷ややっこ、炒めものの仕上げにも。「万能だし醤油」はにぼし、昆布、かつおの出汁を国内産丸大豆醤油に合わせ、口当たりまろやかに仕上げた。
醤油が香る浜松銘菓
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五穀と発酵をテーマにしたおにぎり型のおせんべい。風味豊かで栄養価の高い穀物を使用して、ザクザクと軽やかな食感が楽しめる。愛知県産の黒たまり、白たまり醤油が香ばしい。