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茅ヶ崎の街に彩りを与えるRyu Ambeさんのストリートアート。人を惹きつけるアートの魅力に迫る

斉藤恵美利

斉藤恵美利

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湘南・茅ヶ崎の街には、ストリートアートが多く存在する。なぜこのように街にアートが増えていったのだろうか。今回は茅ヶ崎でストリートアートを描くRyu Ambeさんにお話を伺った。茅ヶ崎の街中にあるストリートアートの写真とともに、Ambeさんの表現の魅力に迫る。

目次

茅ヶ崎の街に点在するポップ&キュートなストリートアート

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雄三通りにある花屋『ewalu』の壁面に描かれたアート
茅ヶ崎駅から海まで続く一本の道、雄三通りを進んでいくと、いろいろな場所にストリートアートがあることに気づく。茅ヶ崎の人にとっては馴染みのある絵ではないだろうか。同じタッチで描かれたポップで可愛らしいアートは、道行く人達の視線を惹きつける魅力がある。
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ファインアーティスト Ryu Ambeさん。作品が展示されているアカネヤギャラリーにて。
このストリートアートを描いているのは、茅ヶ崎出身のファインアーティスト、Ryu Ambe(りゅう・あんべ)さん。茅ヶ崎の街のどこに、どんなストリートアートがあるのだろうか。またストリートアートを描き始めた理由とは。今回は街中にあるストリートアートを紹介しながら、Ryu Ambeさんが描くアートの魅力に迫る。

はじまりは、街の商店街からの依頼

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雄三通りにある『bowl market juice & deli』。店内でもAmbeさんのアートを見ることができる。
Ambeさんのストリートアートの多くは雄三通りに存在する。ストリートアートを描くようになったきっかけは、雄三通り商店街からの依頼があったからだと言う。
雄三通りは茅ヶ崎の中でも特に人通りの多い道。車や自転車の交通量も多いが、歩道のない場所もあるため危ないと声が挙がっていた。
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雄三通りにあるパン屋『B-grotto』の駐車場に描かれたアート
Ryuさん「最初は商店街の方から『安心安全というテーマで道や建物に絵で何か訴えられないか』と声を掛けてもらい、そこからいろんな壁面に許可を取ってオフィシャルで描くことになったんです」
今では茅ヶ崎の日常の風景となったストリートアートだが、この依頼をきっかけに街にAmbeさんのストリートアートが増えていった。

“茅ヶ崎の人”を表す自転車のストリートアート

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スーパーマーケット『たまや』に描かれたアートには、「MAKE STREET SAFE」の文字。
ストリートアートの中でも特に印象的なのが自転車の絵。雄三通りにあるスーパーマーケット「たまや」には、お母さんが子どもを乗せて自転車を漕いでいる絵が描かれている。
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ラーメン屋『BISQ』には、駐輪場所を示すためのアートが描かれている。
「BISQ」というラーメン屋さんの壁面には、自転車に乗ったおじさんの絵。これらの自転車の絵は、茅ヶ崎の人がモデルになっているのだという。
Ambeさん「まずは僕の中で印象に残っている茅ヶ崎のストリートに現れる人たちを描きたいと思ったんです」
茅ヶ崎は小道が多く、自転車を利用する人がとても多い。そんな茅ヶ崎で生まれ育ったAmbeさんの見てきた風景が、ストリートアートにも自然と表れているのだろう。そしてこれらのアートを通して、地域の人たちが安全に通行できるよう訴えかけている。

Ambeさんのアートが持つ魅力とは

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サザン通りにあるラーメン屋『蘭』には、店全体を潜水艦に見立てたインパクトのあるアートが描かれている。茅ヶ崎で一番大きな絵なのだそう。
Ambeさんの描くストリートアートには、自然と惹きつけられてしまうどこか不思議な魅力がある。その理由は何だろうか。
Ambeさん「描く時にもちろん茅ヶ崎のスローな雰囲気などは基盤にありますが、アートというくくりで見た時にやっぱり表現ですから、茅ヶ崎のあるあるを描いたって広告になってしまうというか。僕が目指してるところは、『なんだろうね、これ』という感じ。絵を見た時に何が描かれているのかはっきり分からなくてもいい。でもその色や線を見た時に、心に残るような良いバイブレーションを届けたいというところにフォーカスしています。できているかは分かりませんが、そうできるよう心に刻みながら描いてますね」
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Ambeさんがお世話になっているというサーフィン用品店『DORON’S SHOP』
確かにAmbeさんのストリートアートには、伝えたいメッセージが直接的に表現されているわけではない。想像力が広がるような絵だからこそ、人はAmbeさんの描く絵に惹きつけられるのかもしれない。
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今にも喋りだしそうなキャラクター達
そしてもう一つ、Ambeさんが大事にしているというのが表情だ。幼少期に見たアメリカのアニメに登場するキャラクター達に影響を受け、今のようなタッチになったのだそう。豊かな表情のキャラクター達は一人一人に個性があり、見る人の心を惹きつけている。

商業的な場所にこそアートを描きたい

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茅ヶ崎駅直結のショッピングセンター『ラスカ茅ヶ崎』3階中央付近の階段下にあるアート。様々な色の人や動物、モンスターなど、垣根のない茅ヶ崎の未来が描かれている。
ストリートアートは主にローカルな雰囲気が漂う茅ヶ崎駅の南口側に多い。北口側は大きな店舗が多く商業的なイメージで、ストリートアートはまだ多くはないが、Ambeさんはそんな場所にこそアートを描いてみたいと話す。
Ambeさん「ビルなど商業的な場所にこそ、アートもあったほうがきっと可愛いと思うんです。たくさんの広告の中にアートがあれば、自然と目に入ってきて、そっちほうに行ってみたくなるというか、惹かれるのではないでしょうか。そういう絵も広めて行けたらいいなと思っています」
なさそうな場所にこそアートを。広告が並ぶ中にAmbeさんの遊び心にあふれたアートがあれば、見慣れた風景の中に心躍る瞬間を届けてくれそうな気がする。

地域とのつながりを感じられる温かいストリートアート

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鉄砲道にある『あぱらぎ・犬のお風呂屋さん』のストリートアート
地域とつながりながら描いてきたRyu Ambeさんのストリートアートは、今日も茅ヶ崎の街を彩っている。ぜひストリートアートを探しながら、茅ヶ崎の温かい人、のんびりした空気、ローカルなお店を楽しみ、街歩きをしてみてはどうだろうか。
〈この記事で紹介しているストリートアート〉
・花屋『ewalu』(雄三通り)
・ジュース&&デリ『boul market juice & deli』(雄三通り)
・パン屋『B-grotto』(雄三通り)
・スーパーマーケット『たまや』(雄三通り)
・ラーメン屋『BISQ』(雄三通り)
・ラーメン屋『蘭』(サザン通り)
・サーフィン用品店『DORON’S SHOP』(サザン通り)
・駅直結ショッピングセンター『ラスカ茅ヶ崎』(3階中央階段付近)
・トリミングサロン『あぱらぎ・犬のお風呂屋さん』(鉄砲道)
りゅう・あんべ●ファインアーティスト。1989年6月生まれ。ポップ、キュート、シニカル、などをキーワードとした表現を通し活動している。オリジナリティ溢れる色とキャラクターで、これまで数々のアパレルブランドや音楽フェス(Summer Sonic2018, 2019)などとコラボーレーションをしている。また地元茅ヶ崎でのストリートアートが話題となり、雄三ストリートやサザンストリート等、街中至る所に壁画アートが描かれている。
取材・写真・文:さいとうえみり

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