香川県三豊市 シーボルトが伝えた紫陽花と瀬戸内の多島美。

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 梅雨の時期、瀬戸内地域を旅しているとしばしば紫陽花の風景と出合う。欧州でも紫陽花は「Hydrangea(ハイドランジア)」として人気の植物だが、実は、この紫陽花の美しさも瀬戸内の多島美も、西洋に紹介したのは博物学者のシーボルトだ。


 シーボルトが瀬戸内海を訪れたのは江戸末期。西洋医学を日本に伝えるのと同時に、日本の植物や地理を記録し、日本文化を西洋に広めた。オペラ『椿姫』も、シャネルの『カメリアシリーズ』も、1835年に『日本植物誌』でツバキを紹介したことから始まった。紫陽花の学名「Hydrangea otaksa」には、シーボルトの妻・お滝さんの名前が入っていることから、彼が紫陽花を愛していたことが窺える。


 今日、香川県三豊市の紫雲出山(標高352メートル)の山上には、約2万株もの紫陽花が植えられており、多島美と併せて楽しめる。この季節、瀬戸内を旅する際には、シーボルトの愛した紫陽花と、霧中に浮かぶ瀬戸内の島々を愛でていただきたい。


シーボルト


 シーボルト(1796〜1866年)は鎖国政策をとっていた江戸時代に来日したドイツ人医師。診療活動や医学教育だけでなく、日本の植物を研究し欧州に持ち帰った。また、内海(The Inland Sea)の多島美を世界に広めた。

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