2020年は長岡秀星が1970年4月突然にアメリカに渡ってから50年の節目の年になります。
当時コンピューターとは全く無縁の時代、面相筆、烏口、エアブラシで創造した宇宙・科学イラストレーションは、アフターコロナの時代、世界的に宇宙への関心が高まる中、観る側に地球・宇宙への想像と関心を限りなく膨らませてくれます。
秀星が創造したイラストレーションは、70年代イラストレーション全盛の時代、大型グラビア誌(ライフ、ルック、サタディイヴニングポスト等)を席巻し、そして70年代後半から80年代に制作された数々の宇宙をモチーフとしたレコードジャケット(Carpenters、Earth, Wind & Fire、ELO、Maze、Jefferson Starship etc.)のイラストレーションはアルバム部門での数々のプラチナディスク受賞が物語るように、レコードアルバムジャケット文化を作り上げたと云っても過言ではありません。
本展は、宇宙・科学イラストレーションの原画、アルバムジャケットの原画、全約70点で構成。40年前当時の伊勢丹美術館でその人気の高さは一種のパニック状態(1981年月刊プレイボーイより)と云われた長岡秀星展を、気鋭のデザイナー おおうち おさむ氏が秀星の世界をリニューワルして回顧展として開催します。
秀星が描いた近未来の世界は、時代を超えても、見るものを興奮と感動の世界に誘ってくれます。本企画が近い将来に来るであろう宇宙の時代に向けて、世代を超えて多くの皆様が感じ、想像し宇宙への思いを馳せる機会になることを望んでやみません。
開催概要
展覧会名: 長岡秀星回顧展 SPACE FANTASY ー透明な宇宙を求めてー
会期: 2020年12月8日(火)~27日(日) 会期中無休
会場: 代官山ヒルサイドフォーラム 東京都渋谷区猿楽町18-8ヒルサイドテラスF棟
開会時間: 11:00-20:00( 最終入場19:30)
主催・企画: 長岡秀星回顧展実行委員会
協力: 長岡徳子、株式会社なかはら、Hillside Terrace
公式ウェブサイト: https://www.bsfuji.tv/shusei_nagaoka/
入場料:一般1,700円 / 大高生1,400円 / 中小生800円
〈前売〉 一般1,500円 / 大高生1,200円 / 中小生600円 / ポストカードセット付2,000円
入場チケットについては特設サイトにて。 https://eplus.jp/nagaokasyusei/
(前売り券:2020年9月21日より発売)
※会場内混雑緩和のため、前売チケットは時間帯/曜日によって〈日付・時間指定〉とさせて頂きます。
展覧会 見所と構成
On Space & Science
高校卒業まで壱岐で過ごす。海に潜り、飛行機と船の絵ばかり描く少年だった。高校を卒業して上京、武蔵野美術大学に入学するも、3年で退学し、イラストレーターとして、百科事典の図解、少年向けの雑誌にメカニズム、宇宙向けの絵を提供した。1970年に渡米、渡米3ヶ月でカリフォルニアの雑誌「WEST」のカバーにスペースシャトルを描く。この作品で宇宙を描く画家秀星の名前を全米が注目し始めた。
つくば科学万博に展示された作品を含め約40点を展示。
On Record Jacket
1973年 Carpenters「Now & Then」のLPジャケットを描く。 レコードはミリオンセラーになり、この成功でサウンドとジャケットを視覚的に楽しむという新境地が生まれる。Earth, Wind & Fireのリーダー、モーリス・ホワイトは「秀星、LPジャケットを描いてくれ。我々は秀星のジャケットを見て、そのイメージとのヴァイブレーションの中でサウンドを創りだしていこうと思う。」と云ってジャケットの制作を依頼した。そうして生まれた「All ”N All (太陽神)」「I Am (黙示緑)」の成功で秀星はポピュラー音楽界のトップイラストレーターになった。
音楽業界に大きな影響力を与えたアルバムジャケット・ポスターなどの原画約30点を展示。
作家プロフィール
長岡秀星(ながおか しゅうせい)
本名:長岡秀三。1936年、長崎市に生まれる。武蔵野美術大学デザイン科に入学。在学中から百科事典の解説図等に才能を発揮、多忙となり3年で中退・独立する。70年大阪万国博覧会で展示用イラストレーションを担当。同年渡米し、73年Carpentersの「Now & Then」レコードジャケット画が評判を呼び、Earth, Wind & Fire等のミリオンセラーレコードを担当、幻想的ファンタジーの画風で一躍有名になる76年『ローリングストーン』誌最優秀アルバムカバー賞、77年国際イラストレーション展優秀賞を受賞。日本でもその人気は高まり、81年に新宿伊勢丹で「長岡秀星展」が開催、2週間で6万人を動員。84年には絵物語『迷宮のアンドローラ』(集英社)を出版。85年、つくば万博で公式ポスター及び政府出展パビリオン「宇宙コーナー」を担当。90年代以降、自身のライワークとしての長編SF小説「ANABASIS」の映画化に向けてストーリー、イメージ画像等の製作に精力的に取り組むも、2015年逝去。
作家メッセージ
21世紀を生きていく我々の残されたテーマは、やはり宇宙だと思います。映像、コンピューター、IC産業、セラミック、そういうものの需要は個別の需要で、その需要を作るもとのプロジェクトといったら宇宙しかありません。地球はもう分けつくされているし、トラブルの種で一杯です。皆で力を合わせてどこか外へでようよ…と、ほかの星から文句がでるのは将来の問題で、その時はその時で考えましょう、という処です。さしあたりは宇宙へ出かけていくことをテーマに、とにかく人類というものを活性化しないことには生き残れない。ですから、日本の将来においても一番役に立つのは「宇宙開発コーナー」だと手前みそで思っています。
長岡秀星の世界・PARTII より抜粋 1985年
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