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ソトコトペンクラブ

なんでも屋が感じる田舎の2025年問題

永井弘朗

永井弘朗

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千葉県南部でいわゆる便利屋を生業としている自分。地域密着型の仕事柄、依頼される仕事から、今の地方の生活の変化について、体験していることをお伝えします。

目次

田舎のなんでも屋の仕事はバリエーション豊富

田舎での地域密着型の仕事柄、依頼主は主に高齢者が多いのだが、その依頼内容は主に土地管理に関わる内容が多い。草刈り、田畑の管理、土木、小規模なリフォーム工事、木の伐採や剪定、ごみの片付け、と内容は複合的で多岐にわたる。

仕事は人柄に救われてか、依頼された方からの紹介で数珠つなぎに隣の家の方を紹介され、隣へ隣へと、気が付けばその集落全体を仕事にしていて、スーパーに行けば誰かしらに会うし、運転しててもすれ違いざまに挨拶。濃い人間関係の下、生活と仕事の境目が曖昧になるような暮らしを自分は楽しんでいる。

ただ、そうした暮らしの中、依頼される仕事の背景にある不安を感じている。それは野良仕事ができる人。動ける人の急激な減少。団塊世代の引退だ。

団塊世代の仲間意識で維持されてきた里山の風景

里山の景観の多くは田圃や畑など一次産業でもって維持されていたが、農家の減少とともに年々耕作放棄地は増加している。田圃の多くは機械化されている一方で、そのコンバインや田植え機の運転には農地に運ぶためのトラックの免許が必要だったり、公道を田植え機で走る場合、作業車の幅が1.7メートルを超える場合は大型特殊免許が必要になる。

今まではそうした法律的な問題を周辺の農家みんなで協力して耕作していたが、高齢による免許返納や、そもそも耕作してもお金にならないといった理由で農家は減少。また千葉県南部に関しては、地形上広大な水田を一か所で確保するのが難しく、飛び地で田圃を所有している農家も多いからか米の専業農家になりにくいという背景もある。

現に自分が住む周辺では50代で米を専業でやっている農家は3軒と少ない。

それぞれが約6万坪(東京ドーム4個分)ととんでもない面積をやっているからこそ、その一帯は田園風景が守られているものの、3軒を手伝える人手も減ってきている状況のため、体力的な限界の前に引退する可能性もあり現状は厳しい。

約360枚の苗箱が並べられたハウス。6万坪の田圃の場合。約5,000枚以上は必要となる。

田舎の野良仕事ができない人は、田舎でも多い

こうした農家さんたちを手伝っていると、手伝いに来ている方の多くは高齢者で団塊の世代が多く、団塊ジュニア世代や働き世代はとても少ない。

農家さんの話を聞くと、息子さんは勤め人だったり、田舎だからなのか、本当に何にもしていない人だったりと、世代間の働き方の違いが顕著に出ている。Iターン、Uターンに関わらず、草刈りをやったことがない人やそもそも道具も持ってない人も多く、そうした方からの野良仕事の依頼も最近は増えてきている。仕事があるのはいいことなのだが、その背景を考えると複雑な気持ちだ。

最近ではサンダルでも歩けるくらいのクオリティでとの依頼も多く。好みが分かれるところが面白く感じている。

現実は 「動ける人手で何とか維持されている里の風景」

自分が通っている集落のひとつに、世帯のほぼ全てが80歳以上という集落がある。

その集落は数年前までは集落合同の草刈りがあったのだが、高齢化で合同草刈りは無くなり、主要な生活道路以外は両脇から草が生い茂り、道が分からなくなっている。

最近の話で、草が放置されていることで車で通った際に車体に傷がついたとクレームがあり、道路に隣接した土地の所有者である遠方に住むお孫さんが責任を取ったという話があった。もちろん、故意に放置していたわけではなく、そんな土地を相続した土地に持っていたことも知らなかったとのことだった。飛び地でまとめて相続してしまった人にある話だ。

現在は集落の代表者から相談があり、定期的に自分が草刈りを行っているが、数年前は集落全体でそうしたトラブルが無いように自治をしていたわけで、これまた複雑な気持ちになる。

観光地においても同じような話があり、観光地として人気でも景観を維持してくれる人手が足らないという歯がゆい問題で悩んでいるところもある。そうしたところは新しい取り組みとして、草刈りをイベント化して関係人口に労力の一端を担ってもらうことをしているが、テクニカルな場所の草刈りは地元民でどうにかしている現状ではあるので手放しとはいかない。どうしても動ける人手でどうにかしているというのが現状だ。

動ける人手がいなくなったとき、田舎は果たしてどうなるのだろうか。

なんでも屋として、今しばらくは、その境目で、今を見つめて頑張っていきたい。

年間管理をしているとある御家の裏山から見た風景。御主人もこの風景が好きで依頼をしてもらえるのだが、こうした人の気持ちに寄り添って日々を送りたい。

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